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ライハルト学園 師弟関係

「ランの驚く顔が見たかったのよ〜」

「ランくんの驚く顔、可愛かったよ」


セレスとイグニスから驚愕の種明かしをされたあと、父ウォーク、母セレス、師匠イグニスと共に食卓を囲む中、ランがなんで今まで隠していたのかを追求した答えがそれである。

この2人、性格が似ているのか、ランを同じぐらい可愛いと思っているからか、相性が良いみたいだ。

ちなみにウォークも事前に知らされていたが、セレスからランには秘密にしてと強く言われていたらしい。セレスとイグニス2人から種明かしをされて言葉も出ないランを見て、申し訳なさそうな表情をしていた。

今後この家は、セレスとイグニスの無茶振りにランが巻き込まれ、ウォークがその後始末をするというのが日常化するのではないかと、ランはこれからの生活に一抹の不安を覚えた。


晩ごはんを食べ終え、お風呂に入ったあと、ランはイグニスをいつもは親戚等が泊まるときに使う部屋へと案内した。

12畳ぐらいの部屋にはソファに本棚、ベットといった簡易的な家具が置いてある。飾り気のない質素な部屋である。

イグニスがアルジャーシュに泊まっていた部屋とは比べものにならないだろうし、昨日までイグニスが与えられていた部屋の方が圧倒的に豪華だったと思う。

いくらランの驚く顔が見たかったとはいえ、その決断、本当に正しいものか疑わしいものである。

何はともあれ、部屋の案内も済んだので、自分の部屋に戻ろうとしたランをイグニスは呼び止めた。


「ランくん!久しぶりに一緒に飛ぼうよ!もう暗いから誰かに見つかることもないだろうし!」


そう言うとイグニスは部屋を出ていこうとするランの手を取り、窓の方へ引き連れていった。そしてランにも分かるように空を飛ぶ為の術式を唱えていく。

本気で飛ぶつもりだと悟ったランは、諦めの気持ちを抱きながら、イグニスに少し遅れる形で術式を唱えていく。

イグニスの方が速く唱え終わり先に窓の外へ出る。続けて唱え終わったランの手を笑顔で引っ張り、真夜中の空へと飛び立った。


生前の日本の都会と違い、夜になると家の明かりがぽつんぽつんと見えるぐらいで、月と星がはっきりと見える綺麗な夜空であった。

イグニスは家が密集している地区から少し離れた場所までかなりのスピードで飛んでいた。

ランもそんなイグニスに置いていかれないよう、魔力を込めてスピードをあげて飛んでいった。

下の景色が開けた草原と森だけになり始めた頃、イグニスは急ブレーキをするかの如くスピードを落とし、ランの方へと振り返った。その様子を見たランも同様にブレーキをかけ、イグニスのちょうど目の前の位置でストップした。

イグニスは笑顔で大きく頷き、ランの頭を撫でた。


「今のスピードについてこれるってことは、サボらずに鍛錬を続けてたんだね。先生は嬉しいよ〜」


頭を撫でるだけに飽き足らず、イグニスはランを思いっきり抱きしめた。

確かに、先程のスピードは、アルジャーシュで飛び方を教えてもらっていた頃には出していなかったスピードだ。ランも鍛錬を欠かさなかったし、飛ぶのとは別の方法でも魔力量を増やしてきた。その成果を試す機会、比較する対象がなかったので効果があったかどうかが自己評価でしか判断できなかったが、こうしてイグニスという存在のお陰で、無駄な鍛錬ではなかったのだと実感できた。


一通り撫でて、抱きしめ、そして飽きたところでイグニスはランを離してくれた。


「ランくんには悪いけど、あの魔法教室、最初はランくんが最初にやった基礎の繰り返しになると思うから、ランくんには退屈な時間になっちゃうかもな〜。しかも、ランくんみたいに他の生徒も短い時間でものになるかは分からないし。

もちろん、基礎の復習も重要だからランくんにも一緒にやってもらうけど…。だからランくんさえよければ、魔法教室とは別に特別コースで魔法を教えていきたいんだ。ちょっと試したいこともあるしね」


その話は、ランとしても願ってもないことである。イグニスが言うように復習も大事だと思うが、それだけなら参加する意味も薄い。特別コースというのがどんな内容かは分からないが大いに興味はあるし、イグニスの「試したいこと」というのも気になる。ランにとって悪いことは何もないように思えた。

ランはイグニスの提案を受託する意味も込めて大きく頷いた。その反応を見たイグニスが満面の笑みで手を差し出した。


「ありがとう!それじゃ、改めてこれからよろしくね!」


その笑顔に、応えるように、ランも笑顔で差し出された手を強く握った

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