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ライハルト学園 特別魔法教室

壇上でのその後の説明、午後の授業案内のオリエンテーションの話をまとめると、イグニスがライハルト学園にいる経緯が分かってきた。

ライハルト学園では今年から、ブルグラス王国肝いりの特別魔法教室を開設するとのことらしい。他種族に比べ魔法能力が圧倒的に劣る人族。その欠点を改善するために国を上げて対策に乗り出し、その一歩目がこの教室というわけだ

教える教師陣も、国内で有数の魔法の使い手を集めているがその中の目玉教師が、エルフ族のイグニスだということを壇上で学年主任が熱く語っていた。

明日、ライハルト学園の大ホールで参加希望者を募集する。そして、その場で魔力鑑定を行い、規定値以上の魔力をもつ生徒が特別魔法教室の参加資格を得る。ありがたいことに、対象はライハルト学園に在学する全生徒。今日入学したばかりのランも対象内であり、既に自分に魔力が備わっていることも判明済みである。よほどじゃない限り落選することはないだろう。

何より、イグニスに再会出来るというのが1番の魅力だ。

まだ、空を飛んで大陸を横断することは出来ないが、それでも半年前よりは成長しているという自身がある。その姿をイグニスにも見てもらいたい。ランは期待に胸を踊らせ、その日は眠りについた。


翌日、午前中をかけて各授業の担当教師が自分が受け持つ学科の1年の授業内容を説明して、授業時間が過ぎていった。

ちなみに、1クラス30人✕10クラスで1学年が構成されており、ランのクラスで飛び級級入学はラン1人であった。ランの中性的な容姿からか、年上のクラスメイトから可愛がられ、入学2日目においてクラスのマスコット的存在になっていた。

そんな自分を可愛がってくれるクラスメイトの中にも、特別魔法教室に参加したいという子たちがいたので、ランはクラスメイト数人と共に、大ホールへと向かっていった。

昨日入学式が行われた大ホールに入ると、中には既に大勢の生徒で溢れかえりそうになっていた。

対象がライハルト学園生徒全員ということで、中等、高等学校の背が高い生徒たちもたくさんおり、背の高さは年相応のランはその中に埋もれる形になってしまった。

クラスメイトが手を伸ばし、離れないようにしようとしてくれたが、クラスメイトも昨日入学したばかりの小さい身体、ランの手を掴むことは出来ず、ランは1人、人の波にのまれてしまった。

こうなっては仕方がない。むしろこの身体の小ささを利用して最前列まで行ってやろうと意気込むと、人の波の隙間をすり抜けくぐり抜け這い抜けて、5分程経つうちに最前列まで辿り着いた。

周りにいた上級生、壇上で準備をしていた教師陣が、明らかに周りより小さいランを見て驚いていたが、その誰よりも驚いていた存在が、ランの姿を見つけ歓喜の叫びをあげていた。


「キャー!ランくん!なんでここにいるの!?え、飛び級入学!?じゃあ、ランくんとまた生活出来るの!?やったー!」


いや、一緒に生活は出来ないのだが…。

ランがイグニスの反応に若干引く。周りの人たちはもっと引いている。

イグニスと共に特別魔法教室を担当するとみられる教師が、「イグニスさん、そろそろ…」と登壇するよう促すが、ランと再会し、テンションが上がっているイグニスの耳に届いていない。


「ランくんもこのあと、魔力鑑定受けるの?必要ないよ〜。むしろ私と一緒に鑑定する側に回ってよ。こんなに人が集まると思わなかってなくて、人手が足りないんだよ〜」


イグニスはそう言うと、ランを抱きかかえ、そのまま登壇してしまった。

イグニスの歓喜の叫びに、既にザワザワしていた大ホールがさらに騒然とする。特別講師のエルフに抱えられている小さい子供は何者かと。

こうしてランは、入学2日目にして、学園内に存在が知れ渡ることとなってしまった。

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