表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/39

2度目の振り直し 自主トレ

エルフの定期交易船とイグニスがアルジャーシュの港を離れ、ランがマルドゥックの家に帰ってきて半年がたった。

その間に飛び級入学試験をなんなく突破し、来年から晴れて初等学校への入学が決まった。

イグニスに教わった魔法に関する知識が、今まで身につけたこの世界の知識を圧迫していないか多少心配であったが、そもそもが初等学校の入学試験。そこまで深い知識は必要なく、図書館での読書で得た知識でなんの問題もなく解けてしまった。

学校自体は3ヶ月後から始まるが、事前の準備等は必要ないだろうから、その間、ランはイグニスから教えてもらった魔法の修練を続け、さらに自己流に改良することに日常の大半の時間を当てることとした。


イグニスと別れてからも、絶えず修練を続けてきたことにより、もともと人族の中では飛び抜けていた魔力量はさらに増大した。まだ大陸間を移動するのは無理だが、近くの街への移動なら空を飛んで可能になる程である。

しかし、この空を飛ぶという行為、とにかく目立つのである。特に晴れた日にやろうものならよほどの高さまで飛ばない限り地上にいる人たちに2度見されてしまう。高く飛んだ場合、魔力量は問題ないが酸素が薄くなってしまい、流石のランといえど、身体に支障をきたしてしまう。

そこで、ランは空を飛ぶのに比べたら地味であるが、より目立たなく、かつ速く移動でき、さらに魔力量を増やす方法をいくつか考え出していた。


方法はイグニスオリジナルの空を飛ぶ魔法のパクリ…オマージュである。

イグニスは肩甲骨辺りに魔力を集中させ、羽の役割を果たさせていた。

ランはそれを下半身…特に走る際使う筋肉に魔力を集中し、走るスピードを飛躍的に高めるのに魔法を使った。

ただ、下半身だけに集中したとしても、心肺機能がついてこないと話にならないので肺と心臓にも魔力を分配し、体力も向上させることも忘れなかった。

生前、10000mを30分切るスピードで走り抜けてきたランにとって、それと同等、いやそれ以上のスピードで長時間走れるのはそれだけで快感であった。

また走っている最中、絶えず魔力を消費しているので、そこからの回復、そして魔力増強にも役立つ。ランにとって一石二鳥以上の魔法の使い方であった。

図書館に毎日通ってきた子が、1ヶ月見ない間に外を走り回り続ける体育会系になってしまったので、両親や近所の知り合いには若干の心配を与えてしまったようだが…。


とにもかくにも、初等学校入学までの期間、ランは有意義な時間を過ごし、己を高め続けた。

そして、春の花がほぼ満開になった季節。ランは初等学校の門を、飛び級生徒としてくぐることとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ