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02話 「宇宙空母ヴィズィオネーア」

ー宇宙空母ヴィズィオネーア 転送ルーム


「ようこそ、宇宙空母ヴィズィオネーアへ!私はこの艦の副艦長で、あなたのマネジメントを担当する指揮能力特化型ガイノイドで、識別コードはL2-0310、階級はOR14です。」


 ハロワから転送されると薫の目の前には、緑髪のショートカットが似合う白い軍服姿の25歳位のお姉さんが立っていた。

 普通の人間の女性と変わらない、いやそれ以上にスタイルが良くて美しい人造人間(ガイノイド)がそこにはいた。


「どうも...初めまして...。ぼ、僕は綾瀬 薫です。」


「うわぁ、映像で見た以上に綺麗な顔ねぇ。うん、これなら今回は上手くいきそうね!

 あ、先ずは仕事の内容から説明するわね。」


 (今回...?)

 薫は疑問を浮かべるが副艦長は薫の前に大きなモニターを出し、説明を続けた。


「先ず、薫君にやって貰いたい事は、私達人造人間(ガイノイド)を繁殖...つまり子供を産ませて欲しいの。」


 薫はハロワのお姉さんから話しを聞いてはいたが、実際の人造人間(ガイノイド)から直接話を聞き更に現実味を感じた。


「人類が居なくなった今も私達は敵軍の人造人間(ガイノイド)...宇宙空母アウスガングとの戦争が続いているの。

 しかし、今はどちらも”目的”である人類の守護が無いのに戦っている状態。その脱却が今回の目的なの。」


「え?戦争の目的が無くなったんなら、戦争を止めることは出来ないんですか?」


「それは無理よ。私達の殆どは戦争をする為に人類に産み出されたの。戦争を止めるということは私達の存在意義(レーゾンデートル)の否定に繋がるのよ...。」


 すると副艦長は薫から目を逸らし、遠くを見る。

 それは明るくとても人当たりが良さそうな彼女が見せるとても悲しい表情だった。


「わ、分かりました。具体的には僕はどうすればいいんですか?」


「斡旋所で聞いてると思うけど、薫君には3人の専属の人造人間(ガイノイド)を付けます。

 それぞれメイド兼ボディガード、バスケア、メディクを担当します。

 また人造人間(ガイノイド)とこの艦の常識も知っておいて欲しいので午前中は座学を受けてもらいます。

 で、夜は気に入った女の子がいればアクセスコードを使って部屋に呼び出して貰って”繁殖活動”を行って下さい。

 それ以外は自由です。機密エリア以外を出歩いて貰っても構わないし、昼寝して貰っても構わないわ!」


「あ、あの...アクセスコードと言うのは?」


「うーんと、”地球”で言うところの、”電話番号”が近いかな?

 私達、人造人間(ガイノイド)は言葉を必要とせず、人造人間(ガイノイド)専用の電脳空間ガイナスペースを共有しているから、言葉を使用せずに意思を伝える事が出来るの。

 でも個人のガイナスペースにはセキュリティがあって、それを解除するには個体毎に設定されたアクセスコードが必要になるの。

 だから、それを女の子から聞き出す事が出来れば、それは”脈アリ”と思って貰って構わないわ。くれぐれもいきなり襲ったりしちゃ駄目よ?私達も乙女だから!」


 そう言うと副艦長は冗談ぽくウインクした。


 (なるほど...。無闇矢鱈って訳でもないのか...。でもそう言う合図がある方が、”初心者”の僕には行動に移しやすいな...。)


 薫は名前と女顔と趣味のお菓子作りのせいで女友達は大勢いたが、彼女は出来たことが無かった。

 薫の女友達曰く、薫はあくまで”同性”の友達。”男”と違って緊張せずに付き合える、という事で友達として人気だったそうだ。


「あ、それと識別コードの後についている階級がOR9以上の人造人間(ガイノイド)も駄目よ?

 OR9以上の人造人間(ガイノイド)が産休に入られたらパワーバランスが崩れて、艦の安全保障に影響を与えてしまうから。

 まぁ後の細かい事は専属メイドのS3-0009から聞いて頂戴!」


 すると抜群のタイミングで部屋の扉がスライドし、中に女性が入って来る。ガイナスペースで話は伝わっていたのだ。



────その時薫の心臓はドクンと跳ねた。


 絹の様に柔らかな銀髪にパッチリと開いた鋭い銀の瞳、そしてスラッと伸びた足。肌は玉の様に美しく、白い軍服を着こなし、地球のどんな美女と比較しても相手が可哀想に思えて来る程の美しさだった。

 それは薫がハロワで写真を見せて貰い、ここに決めた理由になった女性だった。


 (写真を見せられた時は流石にイン〇タ映えじゃぁ...とか思ってたけど、まさか実物の方が断然綺麗だとは...。そしてさらに人造人間(ガイノイド)何て...!最高じゃないかっ!)


 機械娘好きな薫は生まれて初めて”一目惚れ”をした。

 『 どうやってアクセスコードを聞き出すか?』そんな事を考えている薫に、絶望的な言葉が投げ掛けられる。


「初めまして薫様。私は薫様専属のメイド兼ボディガードの特型ガイノイドS3-0009-OR9(・・・)です。」


 (そ...そんなぁ!いきなりOR9なんて...!)

 そう彼女は”繁殖”対象外の人造人間(ガイノイド)であったのだ。

 薫はショックの余り崩れ落ちそうになるのを堪えるが、少しフラついてしまう。

 すると直ぐに銀髪のメイドに支えられる。


「あぁ!薫様大丈夫ですか?”星間ジャンプ”の影響かも知れません。取り敢えず休める様に薫様の自室に参りましょう。」


 次回は明日2/5に投稿予定です。今回登場したS3-0009の挿絵を掲載します。

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