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01話 「異世界職業斡旋所ハローワールド」

 ある程度書き溜めていますので暫く週5回投稿予定です。

ー異世界職業斡旋所 ハローワールド


「ここは異世界職業斡旋所ハローワールドです!」


 元気の良い溌剌(はつらつ)とした声で、薫の目の前の女性は答えた。

 先程まで暴走トラックに追い掛けられていた薫には唐突過ぎて、訳が分からず聞き返した。


「すいません...状況が飲み込めないんですが...?」


「あなたは死亡しました。

 しかし、魂を成仏させようにも天国へのマイルが足りない為、現世に残留頂いてマイルを稼いで頂かないといけません。

 そんな方の為に死亡した世界とは異なる世界で仕事を斡旋するのがここハローワールド、通称ハロワの役目何です!」


 そう言って女性は笑顔で微笑みかける。


 

 暫く薫の理解が追い付けず黙っていると、女性は問答無用と言った感じで話を続ける。


「先ずは履歴書を確認しますね。

 綾瀬 薫さん...16歳男性。

 出身は地球の日本。

 最終学歴は高校中退。

 趣味は料理、主にお菓子作りと...。

 何か希望される業種はありますか?」


 淡々と進められるハロワのお姉さんの事務処理に圧倒されながらも、薫は何とか言葉を返す。


「あの...異世界って...剣と魔法の世界に行って勇者になって魔王を倒して世界を救う...とかそう言う小説みたいな話ですか...?」


「勇者志望ですか...。

 確かに求人は幾つかありますが...例えばこの惑星ですね...。」

 

 そう言うと、ハロワのお姉さんは空中にモニターを出して、薫に見せる。

 そこには大きな城と草原が広がった中性ヨーロッパ風の景色が広がっていた。


「でもこれはオススメしません...。綾瀬さんの職業適正はS〜Eの6段階の中で最低のEなので、3日も経たない内にゴブリンはおろか、野犬に噛み殺されて死ぬと思います。」


 ハロワのお姉さんは淡々と薫に言い聞かせる様に言う。


「え?いやいやそこはチート能力とか貰えないんですか?」


「チート能力ですか?そういったのは職業適正ランクB以上の方の優遇処置ですね。

 適性の高い方に能力を与えた方が目的を達成し易いのでどうしても...。

 この画面の右下の募集要項を見てください。」


 ハロワのお姉さんが指し示す部分には募集要項があり、下記の様な記載がある。


〈募集要項〉

職業内容︰

魔獣、魔族が跳梁跋扈する星での魔王の討伐


勤務時間︰

18h/日

週7日勤務


待遇︰

武具衣装貸与、格闘技経験者優遇【特にレンジャー、SWAT隊員など】、年齢・国籍不問、チート能力貸与【職業適正B以上】


給与︰

完全歩合制【主に魔獣の討伐報酬】


その他︰

緑豊かな職場で伸び伸び働けます






「この格闘技経験者優遇のところなんですけど...。優遇と書いていますが実際に格闘技を(かじ)ってないとまず生きていく事すら出来ません。

 綾瀬さんは...そういった経験は無く職業適正Eですので......照会したところ、待遇は”ひのきのぼう”と”布の服”、チート能力無しですね。」


 募集要項を見た薫の血の気が引いていく。

 格闘技はおろか、ろくに喧嘩もした事が無い薫に”ひのきのぼう”で魔獣を倒すイメージなど出来なかった。


「わ、分かりました...。因みに僕の適正にあった職業とかって無いんですか...?出来たら安全な所がいいんですが...。」


「検索してみますね。」


 するとハロワのお姉さんは空中のキーボードの様なものを操作する。


「あっ...!こ、これ凄いですよ!職業適正Sがあります!すごいS何て初めて見ますよ!」


 するとハロワのお姉さんは薫の目の前の空間にモニターを出す。



〈募集要項〉

職業内容︰

人類が滅亡したので、繁殖させて貰っていいですか?


勤務時間︰

3〜4h/日程度


待遇︰

衣装貸与、未経験者優遇、15歳〜30歳の健康な男性、国籍不問、3食昼寝付き、専属のボディガード貸与


給与︰

成果に応じ可能な範囲で好きな物を差し上げます


その他︰

基本的に宇宙船での暮らしになる為、外出は出来ませんが中はとても広く、アットホームな職場です





 (あ、怪し過ぎるっ!そもそも何だこの職業内容...繁殖してくれ?人類が滅亡してる時点で無理じゃ...。

 それにアットホームって宇宙船の中だからアットホームなだけだよね...?

 でも他の条件はさっきの異世界に比べれば、文明も進んでてボディガードも付けてもらえる見たいだし安全そうではあるけど...。)


「この未経験者優遇と言うのは?」


 経験者よりも未経験者を優遇する理由が理解出来ない薫は意を決して質問してみた。


「あぁ、それは童貞(・・)と言う意味です。」


「どどどど、童貞ちゃうは!」


「いえいえ、隠さなくても綾瀬さんの”人生の履歴書”があるのでまるっとお見通しです!」


 そう言って薫を指差し微笑むハロワのお姉さん。


 (し、死にたい...いやもう死んでるのか...?)



「じ、じゃあこの職業内容の繁殖ってのは何なんですか?」


「こちらの世界は宇宙空間戦争により人類と惑星が滅亡し、人造人間(ガイノイド)のみが生き残った宇宙船(せかい)です。

 人造人間(ガイノイド)と言うのは、人類が滅亡する直前に解明に成功した、女性の遺伝子を持った人造人間(ガイノイド)の事です。

 しかし、守るべき目的を失くしてしまった彼女達は新たな”目的”を手にするべく、自らの手で人類を産む為に今回の男性の求人がかかった様です。」


 薫は人造人間(ガイノイド)と言う単語を聞いて、胸が熱くなるのを感じた。



「でもどうして僕の職業適正がS何ですか...?その位の年齢で死んだど、童貞とか今の世の中幾らでもいると思うんですが...。」


「それは色々ありますが、先ずこちらの募集要項の詳細に、中性顔、女顔であると◎とあります。

 次に綾瀬さんの性癖にあります。

 綾瀬さんの生涯射〇回数2192回の内、ロ〇ータモノ540回、成人女性モノ555回、人妻モノ45回、熟女モノ24回、”機械娘モノ728回”、その他300回と偏りはあるものの、その守備範囲はまさに全盛期のイチ〇ーを彷彿とさせるものがあります。」


 (やめてくださいしんでしまいます...。)

 

 そこで薫は泡を吹いて椅子から転げ落ちる。


「綾瀬さん大丈夫ですか?

 それにしても728回とこれは...綾瀬さんも満更でもない様ですね。

 如何でしょうか?

 因みに求人先に直接照会をしたところ、職業適正Sであれば専属の人造人間(ガイノイド)を3人付けるので是非来てくれと言って来ています。」


 そこでハロワのお姉さんは薫の前に人造人間(ガイノイド)の映像を映す。


 そこには薫が今までテレビで見てきたアイドルや女優が霞む様な美しく整った、作り物(・・・)の美少女が映し出されていた。


 次回投稿は明後日の日曜日となります。明日は「黒騎士」の方の投稿となりますので、よろしければ”作者マイページ”からご覧下さい。

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