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終幕
人の表情を読むことに長けたコイツが、このときばかりは、何もいわずにただ柔らかく、ほほ笑んだのであった。
「……楽しみにしてるよ」
「おお、期待しててくれ」
つないだ手に少し握力が加わった。
「どうだろう?」
「ん?」
「――これから、食事にでも行かないか?」
歩く先に、瑛の長大な鯨リムジンが待機していた。手回しがよくて、俺は、どうしても顔がほころんでしまう。
そうだよなぁ……。
こいつに、ラーメンとかは、まだ無理か。
俺ら二人、すり合わせるにはまだ、時間が必要だ。
さて、お袋にどう言い訳しよう。そんなことを楽しく考えつつ、俺は答えたのだ。
「なぁ。今度、一緒に登校してみるか?」
瑛が目を輝かせた。
「約束だぞ!」
「おう」
こうして、俺のゴールデンウィークは、ゆるやかに幕を閉じていったのでありました。
<了>




