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二つの資料

 翌朝。俺は実にいい夢からさめた、といっておこう。ふふん!

 ガラにもなく余韻を楽しみながら、ベッドに横になったまま、枕元に置いていたスマホを手づかみする。

 昨夜の、10万エンの支出入を、もう一度、噛みしめたかったから!

 と、メールが2件入っていることに気づいた。成田陽菜からと、宮内凛からだ。それぞれ、添付ファイル付。俺は一発で意識がフレッシュになった。

 起き上がり、部屋の机に転送する。内臓プリンタが、机の引き出しの中に、A4サイズの紙にしてプリントアウトした。

 それは、“おなべさん”銅像の、全国所在リストだった。昨夜、個別に二人に依頼したものだ。

 おそらく陽菜は、10万エンという成果をバックボーンとして、早速にもJLFに資料を交渉したのだろう。

 凛は凛で、独自に俺の希望を叶えてくれたのだろう。

 二人とも仕事が早いのは流石の一言だ。

 幸福感に包まれながら二つを見比べる。同じJLFのはずなのに、ソースが違うのはご愛嬌に思えた。あるいは、陽菜の上位に座する凛が、気を利かせたかだ。

 陽菜のは、民間の出荷台帳から。つまり、実際に銅像の注文を受け、出荷したメーカーの営業記録だ。

 対して凛のは、文部科学省の文化財登録目録をもとにした資料だった。

 どちらも価値が高い。まず一般人にはおいそれと入手できるものではなく、つまりはJLFの情報収集能力のレベルを示す証拠ともいえる。

 吟味すると、若干の差異があった。資料の性格だろうか、陽菜のが、数が少し多い。つまり、より最新のデータといえた。

 ふふん、ふふん――♪

 俺はもう有頂天になりながら、陽菜あてに感謝と、お誘い、すなわちデートの申し込みメールを送ったもんである。もちろん、感謝メールは凛にもね。ふふーん!


 俺は得意の絶頂だった! 一階からの「朝ごはんだよ」というお袋の声に「はぁい!」と元気よく返事し、部屋の扉を陽気に踊り出てしまうほど。

 ちらりと窓の外を見たが、今日ーもいー天気ー、笑。

 いいことありそうな気がするんだな!

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