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006.兄妹の大事なスキンシップとはこうあるべき(絶対に違う

自分でニヤニヤしてたら少し遅れました。

「うにゃう! お兄ちゃん捕まえたー!」


 普段のミィからは想像もできない甘い声で彼女は叫び、俺に抱き付いてくる。

 いや、これは俺を逃がさないようにするための捕縛行動だ。お腹を狙い、低い姿勢からの突撃。


 勢いと、恐らくは魔法による強化を得た突撃は油断していた俺を見事にベッドに押し倒す。

 ミィの姿とふわりと鼻に届く何かの匂いに一瞬気を取られ、その隙に見事に押し倒されてしまったのだ。


「ミィ、待てって!」


「待たない!」


 ランプのほのかな明かりの中、ミィの目は爛々と輝いているようにもみえ、吐息も妙に水っぽい。

 咄嗟の事に判断が遅れた俺が体を起こし、引きはがそうとするもミィは抱き付く力を緩めず、するりと両足が腰に回されて固定された。


 もっとミィが小さい頃に良くした抱っこの姿勢にも似ているが、今日のミィは体温も高く、服越しだというのに妙に温かい。


(くそっ、もっと対処法を聞いておくべきだった)


 髪が乱れるのも気にせず、俺の胸元に頭をぐりぐりと押し付け、匂いを嗅いでは指先で俺の体をなぞるミィ。


「にゅっふー。お兄ちゃん、お兄ちゃん!」


 引きはがすだけなら無理やりにでも出来るけど、そうするのがいいとも思えない。

 助けを求めるように部屋の隅に浮いたままのイアに目をやると、呆れたように肩をすくめ、首を振るのが見える。


「見てないでなんとかしろよ!」


『ええー? 私じゃ吸えないって言ったじゃない、もう忘れたのお兄様』


 ちゃんと説明しておいたよねーと冷たい態度のイア。

 確かに、確かにそうなのだ。いざこうなるとイアではどうにもできないんだという説明は受けていたのだ。


 しかし、まさかここまでとは……。


 全身に自分の匂いを付ける勢いで腕の中でうにゃうにゃと悶えながらミィは動きを止めようとしない。魔力過多による発情行動……半ばあきらめ、数日前の事に思いをはせる。









 あれはミィの風邪が治り、村のために森に木を切りだしに行く手伝いの日の事だ。


「ラディ、ミィちゃんいくつになった?」


 突然、同行していた獣人の一人がこんなことを聞いてきたのだ。

 確か狼種の獣人でそろそろ嫁さん探さないととか言ってたな……。


「確か11歳ぐらいだが……ミィはやらんぞ」


「違うって。ラディは知らないかもしれないけど、獣人じゃ12ぐらいで成人扱いなんだよ」


 半眼になっての俺の視線はそれなりに圧迫感があったのか、少し引いた様子で彼、ルフスはそう答えてきた。そうか、12歳でか……早くないか?


「早いな? 人間だとそうだな……15か18ぐらいじゃないとまだまだって扱いだが」


「そうなのか。獣人はハーフでも多少血を引いてるぐらいでも成長が早いんだ。

 特に後半の1、2年は。たぶん、ミィちゃんは春ぐらいからすごい成長するぞ?」


 ミィは住んでいた場所から純血の獣人が住めていたとは思えないから、ハーフ未満、あるいは先祖返りぐらいの血の薄さだとは思うけど、影響は結構あるようだ。

 言われてみればミィは立って歩くのも村の子供より早かった気がする。

 女の子としての成長は一部ささやかであったようだけども。


「そうなると獲物ももっとしとめておかないといけないか……後服とか」


「うむ。もう1つ、重要な問題が……でもミィちゃんぐらいの血の薄さだとどうだろうなあ」


 手ごろな木を見つけ、斧を叩き始めた俺に思わせぶりなことを言ってくるルフス。

 問題があるというのなら聞く以外選択肢があるはずもない。妹のことはちゃんと把握しておかねば。


「何かあってからじゃ遅いから、教えてくれないか?」


「ん? まあ、ラディがそう言うなら……要は、成人扱いってことは体も大人になっていくってことなんだ。まあ、ミィちゃんぐらいならまだ何年かは成長しきらないような気もするけどねえ」


 ルフスも俺とは別の木に斧をたたきつけながら、何でもないようにそんなことを呟く。

 ルフスの言うことだけなら特に問題は無いように思えるが……。


「これは個人差があるんだけど、獣人には血を残そうとする衝動と言うか、そういうのがあるのさ。原因は自分の中の魔力。獣人が人より魔力が高めなのは知ってるだろう?」


「ああ……腕には自信があるんだけどな。故郷の兵士達と考えるとこの村の皆はかなり強い。普通の見た目なのにな」


 言いながら木を切る速度はルフスもまた、かなり早い。

 彼らはごく当たり前に刃に魔力を込めることをしているからだ。


「そうそう。だから、子供から大人になる時に自分の中の魔力量が結構増えるのさ。

 そうなると、扱いきれないときがある。そうなるとちょっと大変だね」


 木の枝葉を切り落とし、持ち帰るための場所に置いてルフスはそんな厄介の匂いがすることを言いだした。


「どう大変なんだ? って聞いてばかりだな」


「いいよいいよ。ラディも自分以外に任せたくないって思うだろうから。

 何がっていうと、魔力過多になると発情したみたいになって、欲望が抑えきれなくなるんだよね。男だと大体肉を食べたい、とか食欲なんだけどさ」


 反省を込めた俺にルフスはさわやかに笑い、獣人における成人の際の問題とやらを説明してくれる。


(ん? 男は……?)


「そう、男はそっちが多いんだ。問題は女の子だよね。さっき、獣人は血を残す衝動があるっていったよね。女性陣は食欲に向かう子も多いけど、そうじゃない子も結構いるんだ。

 ここは違うけど、大陸の中の方にある獣人の街とかだと大体10歳ぐらいで婚約して、15ぐらいには初産済ませてる子が多いんだよ。びっくりだよねー……どうしたの、ラディ」


 俺はルフスに答えることができなかった。

 彼の言っていること、その中身に頭を抱えていたからだ。


 ミィが……?


 想像もできない。でも、ミィだっていつか大人になるのだ。


「あー、深呼吸深呼吸。ミィちゃんは人間の街にいたんでしょ?

 だから純血じゃないだろうからそこまで衝動は強くないと思うよ。

 ただまあ、いざそうなったときに近くに獣人の男は置かないほうが良いだろうね。ちなみに解決策は聞きたい?」


「聞きたい! 対価はなんだ、20本ぐらい切ってくればいいか?」


 その時の俺はよほど必死な顔をしていたのだろう。ルフスは慌てた様子で俺の肩をつかみ、無理やりに座らせた。


「そんなのはいいよ。ちょっとラディが大変なだけだから。でも……義理だから……いや? 実でも別に無いわけじゃないなあ」


「どういうことだ……?」


 落ち着くために水筒から水を一口飲む。

 ルフスもまた、自分が切り倒した木に腰掛けて休憩用に持ってきていたのか干し肉の欠片をかじりながら俺の方を見た。


「この衝動って短期的な物でさ。それが満たされるとすっきりするんだ。

 つまり……ラディがしちゃえばいいんだよ」


「!? ミィにそんなことできるわけないだろう!」


 何でもないように言われた内容を理解した時、抑えていたはずの力がわずかながら溢れ、近くの木を揺らしてしまう。

 降り積もった雪がどさどさと落下し、一瞬周囲を粉雪が覆う。


「わぷっ。ふうむ、ラディは過保護だねえ。獣人じゃよくあるとは言わないけど、儀式みたいなものだよ。

 それに、誰でもいいってわけじゃない。ちゃんと本人が好意を持ってないと嫌がるからね。

 その場合でも大体は兄か従兄かな。ほら、小さい頃のあこがれってやつさ」


 ルフスの言葉は半分ぐらいしか正直、入ってこない。

 ミィがそんなことになったらどうしようかという思いでいっぱいだった。


「後他にはちょっと難易度高いけど方法はあるにはあるよ」

「ぜひ速やかに、詳細に」


 かぶせ気味に言う俺にルフスは驚いているようだけどほかに手段があるならそれに越したことは無い。


「原因が魔力過多だからね。抜いてあげればいいのさ。

 さっき言った方法も自然と魔力が抜ける行為だからであって、相手から魔力が抜けるならそれでいい。

 ただねえ、難しいんだこれが。空っぽにしちゃうと危機感からか衝動が激しくなるし、かといってちょっとしか抜けないとただ刺激するだけだからね」


「なるほど……コツみたいなのはないのか?」


 獣人としては常識なのかもしれないがルフスは妙に博識だ。

 あるいはもしかして彼自身が経験者とかなのかもしれない。

 その後も木は切りながらもルフスから話を詳しく聞く。いつしか必要量の倍ぐらいになってしまったところで帰路に就く。


 家に戻り、ミィが寝ているのを確認してイアを呼び、聞いたことを相談してみると、イアの表情は明るい物ではなかった。


『そういえばそういうこともあったわね。すっかり忘れてたわ。まず、私じゃミィの魔力はもう抜けないわ』


「え? イアの魔力の半分ぐらいはミィから出てくるときに持って行ったんだろう?

 同じことをしてくれればいいんじゃないか?」


 俺が驚いてそう聞き返すと、イアは首を振り、手のひらから何の変哲もない魔力光を1つ生み出す。


『その通りなんだけど、私とミィはいわば魔力の双子みたいなものなのよ。

 お兄様と違って、近すぎる。だから一気に抜いちゃうことになる。つまり……頑張って、お兄様☆』


「ちょ!? ど、どうやるんだ……」


 練習あるのみねーとイアは呟いてどこかに浮いていく。

 くすくす笑いながらだからこの状況を楽しんでいるに違いない。


「なんてこった……」


 1人残された俺はどうしたものかと途方に暮れる。そしてまだミィは小さいし、そんな衝動が来るとも限らないしな!と後回しにしたのはそんな夜だった。








『お兄様ってたまにあれ?って感じで抜けたことするわよね。そこがいいんだけど』


「つ、疲れた……」


 あれから数刻。ミィは飽きることなく俺の体を蹂躙し、衣服は乱れ、あちこちをミィが匂い付けにか舐められた状態だ。というか段々動きが大胆になっている。

 ミィがそういうことを知っているとは思わないけど、本能のような物でそれにたどり着かないとも限らない。


(よしっ、やってみるか!)


 勿論、魔力抜きをである。


「ミィ!」


「わぷっ、にゃふーん。お兄ちゃんだー!」


 ずっと抱き付いているというのに、俺が抱きしめた途端、ミィはまるで初めて抱きしめられたかのように喜び、体を密着させて来る。

 まだまだ成長途中で、膨らみきっていない諸々が服越しにふにょんとミィと俺に挟まれて形を変えるのがわかる。

 気合を入れてそちらを考えないようにし、ルフスに教わったことを思い出す。


 曰く、獣人の魔力は心臓と尻尾と耳で産まれる、と。


 勿論実際にはそうではなく、あくまで象徴と言うか、意識されることが多い場所、ということらしい。


「ひゃ!」


「ちょっとだけ我慢してくれよ」


 俺はミィを逃がさないように抱きしめたまま、尻尾と猫耳に手を伸ばす。

 そしてにぎにぎとしながらミィの魔力を感じることに集中する。


(この流れを水を飲むように自分の中に……)


「ふううううんんっっ!!!」


 耳元でミィの吐息が弾ける。びくびくと腕の中で小さい体が躍るのがわかる。

 ちょっと勢いがありすぎたのだろうか? 逆に少し弱めてみると、ミィの反応は変わった。


「ふゆ……ふみゃん?」


 普段なら出来るだけ我慢して出さないようにしている猫の様な声が漏れ出ている。

 それどころか、お風呂に入ってるときの様な呆けた顔だ。


「良い子だなー。もうちょっと頑張ってな」


「お兄ちゃんがそう言うならがんばるぅぅ」


 何を頑張るのかをわかっていないであろう声で、ミィは腕の中で力が抜けた様子で俺にもたれかかる。


『絵的には単に妹に手を付けてるいけない兄の図よね……さすがだわ!』


「何がさすがだ!」


 それからしばらくして、ミィの体から魔力の異常な反応は無くなった。

 同時に気絶したようにミィは眠ってしまっている。

 どうやら上手く行ったようだ、とミィから手を放すとどちらも汗でぐっしょりの状態だった。

 起きたら……お風呂にしないとな。


 結構記憶が残っていたようで、起きたミィが真っ赤になって叫んだのはそれからしばらくしてからのことだった。



何をしちゃえばいいかって? そりゃあもう、アレですよ。


感想やポイントはいつでも歓迎です。


こんなシチュ良いよね!とかは

R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。



誤字脱字や矛盾点なんかはこーっそりとお願いします。

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