018.妹かける妹は……可愛さ二乗
朝っぱらから投稿していいのか、という天丼ネタですがお楽しみいただければ幸いです。
「うにゃ……もう限界だよお兄ちゃん」
「まだまだ。強くしてって言ったのはミィだろう?」
体全体で珠のような汗をかき、抑えようとしても我慢できずに出るミィのつらそうな声。
肌も赤らみ、呼吸も先ほどから荒くなっている。俺は内心の動揺を他所に、やや強めにいって動きを止めない。じっとしている方が長引いて大変だろうからな。
「だって……だって! うにゅううう!!」
俺を追い出そうとするかのようにミィのそれに力が入るのがわかるが、逆に押し込むようにして何度も突く。
その度にミィの体に衝撃が伝わるのか、小さな体が跳ねるのがよくわかる。
『実際、そーろそろ私の方も限界なんだけど、お兄様?』
ミィの後ろで重なっているイアも実体化していないのに汗をかくという器用な状態でこちらを見ている。
「一緒にっていったのはイアだろ? 大丈夫、すぐに慣れるさ」
本当はミィにこんな思いはさせたくないけど、ミィが望んだことだし、俺もいつかこういう時が来るとは思っていた。
(慣れってのもあるからな……)
だから、ぐっと力を籠める。
「もう、駄目ぇぇぇ!」
それが限界となったようで、ミィは叫びながら衝撃に身を任せることになった。
俺の視線の先で、砂埃を上げてミィはごろごろと転がっていった
「ふにゃああ……」
「ミィ、大丈夫か? ごめんな、痛かったろ?」
慌てて姿勢を戻し、ミィに追いついて抱き起す。
イアも一緒に転がってしまったようなのでそちらを見ると浮いたまま器用に目を回していた。
『さすがに半分つながったままだったから逃げられなかったわ……』
ただ、さすがに魔王の経験が物を言ったのかすぐに気を取り戻し、疲れた様子ながらもこちらに漂ってきた。
イアと一緒にミィの顔を覗き込むと、疲れた表情ながらも何かをやり切った顔をしている。
桃色の髪もぼさぼさで、あちこちが汚れてしまっているけど、ミィにとってそれは努力の証と言えるんじゃないかな。
「昨日よりは長くなったかなぁ?」
「ああ、そうだな。ただまぁ……まだまだだな」
えへへと笑うミィを抱き上げて、家へと歩き出す。今日の訓練はここまで、だ。
きっかけはミィの一言だった。ちゃんと強くなりたい、という決意の言葉。
これまでも魔法の練習はしていたわけだけど、それはあくまでも暴走しない様に、といった面が強かった。
イアも魔法を教えるのはもう少し後の予定だったのだ。
ただ、ミィは今後も俺やイアと一緒に出歩くためには自分を守れるぐらいは強くなっていないと足手まといということを気にしていたのだった。
俺としてはおぶったままでも、抱きかかえたままでも大体大丈夫だけど、本人としてはやはりそれでは不満らしい。
イアには、一緒にしたいってことよ、わかるでしょ?と怒られてしまった。
では何から始めるか、となった時に俺が提案したのは2つ。
走り込みによる体力増加と、魔力合戦による全般的な強化だ。
走り込みは文字通りの物だが、魔力合戦とは何か?
これは魔法を使うのではなく、その前段階。
自分の魔力を練り込み、不可視の力である魔力領域として放出することでの力比べだ。
魔力領域は本人の素質次第ではあるが、壁のように展開して飛来物を防いだり、剣先に鋭く展開して間合いを誤魔化したりなど多彩に使える。
その利用方法の1つが、先ほどのように向かい合って互いの魔力領域をぶつけ合う、あるいはつき壊すことを狙って争う魔力合戦だ。
防御のために展開されたミィの魔力領域を俺が突き崩すべく何度もついていたわけだ。
その際には、ミィにまでその衝撃は伝わっていくので突破された時、その勢いのままミィは転がったということになる。
そのために全身砂まみれになってしまったミィは現在、お湯をたっぷり張った桶の様な物の中でご満悦だ。
桶のような、というのはそれが大きな石を魔法でくりぬき、段差も細かくつけた球を半分にしたような物だからだ。
普段は洗濯にも使える段差付、便利です、と言った時のイアのこちらを見る目が忘れられない。
またこんな物に上位神の魔法を使って、とつぶやかれたけどこんな細かく削る魔法は俺ぐらいにしかできないぞ? たぶん。
第一、イアも一緒に使ってるのだから文句は言わせない。
家の横に作ったこれ用の離れで普段2人はわいわいとお話をしている。
今は、疲れからか言葉少なめの様だけども。
(しかし、2人そろっての力はなかなかすごいな)
俺は一人、順番待ちの間に食事の支度をする。
2人にはどうせなら一緒にと言われたけど、俺も入るには狭いこともあるし、3人一緒だと密着してばかりでお湯の部分がほとんどなくなってしまうのだ。
ともあれ、俺は2人の共同での動きを思い出す。
イアがミィに半分入り込み、ミィの魔力をイアの運用能力で魔力障壁につぎ込むのだ。
イアがミィの魔力を吸うとほとんど全部吸ってしまうのは問題だが、外から使い方を誘導する分には問題ないらしい。
さすがに勇者と相打ったという魔王の制御は魔力の大小を別として別格だった。
俺が両手を使いかけたのだからとんでもないことだ。
これでミィがしっかり成長し、イアも何らかの形で力を取り戻したら……敵は無いな。
そんなことを思いながら、3人分の昼食をささっと作る。
後は俺が体を洗った後に火を通せばいい感じだ。そろそろか?と思う頃、離れと家の間の扉が開く。
「お兄ちゃん、お待たせ!」
「着替えぐらい着てから来なさい!」
座って待ってるように言おうとそちらを向き、明らかに素っ裸で着替えを抱えた状態のミィだとわかり、慌てて入れ替わるようにして離れに向かう。
「むー、早く食べたかったのになー」
閉めた扉の向こうから、ミィの少し不満そうな声が聞こえるが一緒に出てきたイアに任せるしかない。大丈夫か少し不安だけど……丸見えは逆効果よ、などと言うのが聞こえたので俺の目的自体は達成されると思う。
今後が不安ではあるけども……。
手早くお湯を貼り直し、俺も汗を流すことにする。
俺一人であれば十分くつろげる石の器。お風呂と言い切るにはちょっと色々と足りないのが難点だ。ふと、お湯の湯気の中に自分じゃない誰かの匂いが混じっているような気がした。
(そうか、ミィ達が入っていたんだもんな。だから……だから?)
慌ててそのままお湯を増量し、押し流すようにしてごまかす。
2人は妹、と思い直すたびに決定的な何かが変わっていくような変な気持ちだった。
温まるというよりまさに汗を流す、という時間で俺は2人の待つ部屋へと戻る。
そうして3人そろっての食事の後、俺はミィに向き直って話をすることにした。
「ミィ、最近よく頑張ってるな」
「え? うん、お兄ちゃんとイアちゃんと一緒にいろいろしたいもん」
首後ろからイアに抱き付かれたまま、ミィはそういって細く感じる腕でぐっと姿勢を決めて見せる。
(そうだな……いつまでも小さい赤ん坊ではない、よな)
改めて、寂しさも胸に飛来しながら俺はミィに1つの知らせを告げる。
「明日から一緒にお仕事しよう。3人、一緒だ」
「……ほんと?」
ミィは俺の言葉がすぐには信じられなかったのか、俺とイアを交互に見ながらほんと?と繰り返している。その度に俺とイアは頷いてやる。
「……やったー!」
叫びながら飛び込んでくるミィを支えきれず、3人そろって床を転がる。
それの何かが面白かったのか、ミィから始まり3人は笑ってしまう。
きっと、ミィの楽しさが俺やイアにも伝わったのだろう。
そのうち、まじかるシスターズ、などと呼ばれることになるのを俺もミィも、イアも思いもしなかったわけだけど……。
感覚が無いのでつまらないですけど、
体をむにむにしたり、ぺろんとめくったり(何を)
不可能ではないです。
感想やポイントはいつでも歓迎です。
こんなシチュ良いよね!とかは
R18じゃないようになっていれば……何とか考えます。
誤字脱字や矛盾点なんかはこーっそりとお願いします。




