私達の家~our house
家がやけに静かだ。
日菜は下唇を噛み、こみ上がってくる涙がこぼれないよう必死にたえていた。
私はさっきまで何をしていたのだろう。
なんであんなことをしたんだろう。
近くに落ちていた薫のくまを投げた。圭のサッカーユニフォームも投げた。
心の奥ではこれがどんなに無意味なことかはわかっていたが、もう止まらない。
泣きじゃくりながら、手が届く物すべて今薫と圭が出ていった玄関めがけ投げた。
日菜の手が、薫がおいていったペンダントにのびた。
強くつかんでいた手がゆるんだ。
なぜ、薫はペンダントをおいていったんだろう。
パカッとペンダントを開けて見ると、昔、みんなでいった海で撮った家族写真が入っていた。
何度も何度も開けてさわっていたのだろう、写真はしわしわで、今にも破れそうだった。
写真には、八才くらいの日菜に抱かれた不機嫌そうな薫、サッカーボールを持った圭、そしてはち切れんばかりの笑顔のお父さんとお母さんが写っている。
そうだ、そうだった。お父さんの突然の死からがらっと変わったお母さん。そして、お母さんが毎晩うなされ叫んでいたあのころ。起きたら、家にはもうお母さんが、出ていっていなかったあの朝。とうとう、薫と圭までがいなくなった。
日菜は泣いた。
涙がもう一生出ないほど泣いた。
やっと泣き止んだのは、気分をかえるために風呂につかった時だ。
暑いお湯に肩までつかっていると、さっきまで止まらなかった涙は出なくなった。
なぜか、さっきまで何がなんだかわからなくなっていたのに、起こったことがどこかで読んだ小説のあらすじのようにはっきりと浮かんで来る。ため息をついて、日菜は風呂を上がった。
セミが鳴いている。確か、あの日もそうだった。お母さんの誕生日が近いから、とお父さんが自慢の車で出かけていった。お母さんの提案で、お父さんの帰りを待つ間にお父さんが好きなスパゲッティを作っている途中だった、電話がかかって来たのは。お父さんからだ、と思い電話にでたら、知らないひとの声が聞こえてきた。
最初は何を言っているのかわからなかった。少しずつ意味がわかった頃には、涙が止まらなかった。その時聞いた声は今でも忘れていない。
"お父さんが、事故にあい、今病院にいます...残念ながら、たすからないかもしれません。"
その時、ドアをたたく音がした。我に帰った日菜は、急いで洋服を着て玄関に飛び出て行った。
ドアを開けた瞬間に、家の中が大変なことになっていることを思い出し、片付けてから開けた方が良かったな、と後悔したが、その心配なは必要なかった。なぜなら、そこに立っていたのは日菜のおじいちゃんだったからだ。
投稿はこれが初めてだったのでちょっと緊張しています。漢字が違ったり、文におかしなところがあったらすみません。(この小説は、まだ書いている途中です。そういう場合は、連載小説にした方がよかったのでしょうか?そうなら、間違えました。すみません。




