妄想は止まらない
「ねぇ〜TVに反町君出てたの見た?」とママが聞いた。
「うん。料理の番組でしょう?」と恵美子。
「でも〜家族の話ってしちゃいけないみたいだったよね?」とママ
「反町君は言いたいみたいだったけどね」と友子
「奥さんのイメージの問題じゃないの?ぬかみそくさくなったらまずいんじゃない?」
と私が言った。
すると
「そうなのよね〜庶民の匂いは要らないでしょう?」と恵美子が言い出した。
あ・・・また始まった。
恵美子は奈々子の仮の姿であると前にも話したと思うけど・・・覚えてる?
あれが始まったのだ。
最近子育てで疲れちゃってるんだけど
奈々子のまま世間に出てると子供にも悪影響があるだろうし〜
普通の家庭の子供のように育てたいから〜
と延々と続く。
この暑いのに恵美子の皮をかぶった奈々子はあせもで大変だろうな。
要らぬ心配をしてしまった。
ここには もう一人皮をかぶったやつがいた。
ノリカである。
私たちの話題はあの夫婦の離婚問題に流れていったのだが
「そういえば・・ノリカって自分の部屋に鍵をかけるんだってね」
と恵美子が言い出した。
「えぇ〜どうして鍵をかけるんだろうね!?」友子が聞いた。
「元彼からの貰いものとか保存してあるとか?」とマサ子。
「自分で買ったものか人に貰ったものか 何て解る訳無いもん
隠す必要はないんじゃないの?」とママが言う。
確かに・・・私たち庶民と違うのだブランド物がどれだけあっても
もらい物ってことにはならない。
手紙や写真だったら部屋ごと鍵を書ける必要は無いじゃないか?
私たちの疑問は膨らんで言った。
「寝るときくらい楽したいでしょう?」しーちゃんが言い出した。
「え?」私たちはしーちゃんの顔を見る。
するとしーちゃんは済ました顔で言い出したのだ。
しーちゃんいわく
奈々子と違ってノリカはしーちゃんの仮の姿だと言う。
しーちゃんがノリカの皮をかぶりバイトをしているそうである。
その証拠に暑くてやりきれないから最近TVに出演していない。
ボランテア活動で海外に言ってるという話は嘘なんだそうだ。
涼しくなるまで もう少し ここでお茶飲みを続けるつもりらしい。
「鍵をかけてるのは箪笥に入った私の洋服を見られたくないためよ!」
私たちの妄想は 止まることを知らない。
誰に迷惑をかけるわけじゃなし
ノリカと奈々子は美味しそうにおやつを食べていた。