恐いものしらず
とりさんが毎日毎日尽きることが無い。
いったい どこから入ってくるのか〜!?
お手上げ状態である。
床に落ちる糞にも困るのだが・・
今日は妙な物が落ちていることに気が付いた。
糞だと思っていたのに よく見るとなんだか違う。
発泡スチロールのくず・・?のように見える。
「なんだろう〜!?」施設中で頭を抱えた。
取り除いても取り除いても落ちている。
「これ・・もしかして・・断熱材〜!?」
恵美子が思いついた。
どうもとりさんは断熱材を突付いているようである。
巣作りをしているのだろうか?
逃がしても逃がしても現れると言うことは
とりさんだけが知っている入り口があるのだろう。
それが何処かは解らない。
隙間風も感じないような場所のようである。
進入場所の特定も大事なのだが
まず断熱材を突付くのを止めさせなきゃいけない。
天井から ズボッと落ちてきては堪らない。
断熱材の危険度を確認するために事務所の人が上ることになった。
だが その場所は吹き抜け3階の天井部分である。
天井がガラス張りになっているため
この部分には電動で動く橋のようなものが設置されている。
これに乗って天井を点検することになったのだが・・・
その段階になって誰が乗る?
高所恐怖症の人は乗ることが出来ない。
あの人もこの人も辞退するものばかりだった。
「私 乗ってみたいのに〜」
ママが志願したけど却下された。
「あんなもの10万 貰っても乗らないわ!」
と恵美子が言った。
「うぅ〜ん 悩むけど私も乗らない」
しーちゃんも同じ意見だった。
「面白そうじゃない!?」
ママは乗る気満々だった。
恐そうな気分を味わってみたいそうである。
「100万くれたら頑張ってもいいな。」
私が言ったら
「100万でも嫌だ!」と恵美子は言う。
「100万かぁ〜」しーちゃんの心は動いていた。
しっかり命綱をつけて乗ると意見が変わった。
「命綱が切れたらどうするの!?」と恵美子が聞く。
「だから〜切れたら困るから4本くらいつけるのさ!」
しーちゃんはお気楽気分である。
「4本もつければ大丈夫だよ〜100万だよ〜頑張れるさ〜♪」
100万くれるなんて話は無いが盛り上がっていた。
10万じゃ頑張れないが100万なら頑張れる。
人の頑張りもお金次第だった。
「命綱4本は切れないだろうけど〜
あの橋の耐久重量は何キロだろうね・・・・」
私が呟いた。
「・・・・・・・・・・」
もう100万ゲットの話を誰もしなくなってしまった。
天井を走る橋の手すりはあまり頑丈そうには見えないのである。
そうこうしているうちに誰が乗るのか事務の人の話はついていた。
事務所に戻り業者に電話を入れたようである。
ママ一人が未だに乗りたがっている。
彼女があの橋に乗ることが出来る日はやってくるのだろうか?
羽が生えていれば私が確認してきてあげるのに・・・
恵美子が天井を眺めながら呟いた。
「口を開けてちゃダメだよ!」
しーちゃんの声で我に返った私たちは口を閉じた。
このお土産は絶対に口にしたくない。
誰も同じ意見だった。