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淑女になれるとき

ねぇ〜

黒飯って知ってる〜!?

勿論 赤飯は知っているよね?

あれはお祝い事に使うものだけど

黒飯は その反対で喜ばしくないものなの。

だけど・・赤飯なんて目じゃないほど美味しい。

小豆じゃなくて黒豆を入れて焚いたもので

赤飯のご飯が赤いように黒飯と言っても特別ご飯が黒いわけではない。

でも黒飯と呼ばれてるの。

あなたが知らなければ

北海道地方だけの物かもしれないわ。


「あぁ〜黒飯ってたまに食べたくなるよね〜♪」

しーちゃんが呟いた。

「確かに・・最近は法事でも炊き込みご飯だもんね・・」

と寂しそうに恵美子が答えた。

そうなのだ!

最近 お膳についてくるのは炊き込みおこわが主流になって

黒飯にお目見えできることが少なくなっってしまった。

口に出来ないとなると余計食べたくなるのが私たちのサガである。

で・・自分たちで作ってみることにした。

勿論7人の目は私に刺さる。

黒豆は真由美が・・もち米は友子がくれた。

さて!という段階で

あれ〜!?どうやって作るのだろう〜!?

赤飯と同じで良いのか?

PCで検索してみればよかったのだが

餅つきのときの黒豆と同じ扱いでいいだろう!

そう思い込んでしまった。

もち米の水加減に洗った黒豆を入れて普通に焚いた。

炊飯ジャーの蓋を開けてビックリ!

出来たのは紫ご飯だった。

綺麗な紫色に炊き上がったのだ。


「きゃぁ〜♪紫ご飯だ!」

これは7人にうけた。

黒飯のような不吉なイメージが無い。

あれから私たちは時々紫ご飯を炊いて食べる。

ボチボチ そんな頃合かな?

腹の虫が紫ご飯を欲しがってる気がしてきた。


いや!いや!!

腹の虫ではなく例のことが頭に引っかかって取れない。

そんな気分だから黒飯を思い出しているのかもしれない。


しーちゃんの実家で法事があった。

法事といえば最後に分けるお供物が楽しみである。

分け前が多かったときには私たちにまでおすそ分けが来る。

今回は当たった。

お茶飲みのお宝である。

だが。。

このお宝は当たり外れも大きい。

争奪戦なのだ。

「抹茶味のお菓子は嫌い!」ママが主張する。

「小豆の餡子物はいや!!」恵美子も負けて無い。

「私は何でも良いよ〜」今回しーちゃんは戦う意欲が無い。

それもそのはず前の日に勿論 好みのものを食しているのだ。

多分 家にもまだ残してきたはずである。

かといっていらないわけで無いのが しーちゃんらしい。

最後に残った2つでママが悩んでいた。

「あんたのそれ!中身は何〜!?」

私にママが聞く。

早くかじってみれと催促する。

言われるままにかじってみた。

中はこしあんだった。

「こしあんだよ!」ママに報告した。

それを聞いたママは私と同じお菓子に決めたようである。

だが・・

「それどんな味〜!?」

ママが友子に聞く。

「半分 あげようか?」

友子は 惜しそうな素振りのまま半分差し出した。

「いや〜いらないよ!」と言いながら

ママの目は まだ一点を見つめていた。

その視線に恵美子が気づいた。

「半分 あげようか〜!?」

恵美子が素直に差し出そうとした。

それを見たママが「いらない」と即答した。

見つめていた視線も外れた。

「食べてみたかったんじゃないの?」と私は聞いた。

「恵美ちゃんが簡単にくれようとしたんだから不味いんだよ!」

ママの直感は正しかった。

「これ・・差し歯が折れそうなくらい硬いの。」

恵美子が正直に答えた。

ママは私と同じお菓子を黙って食べ始めた。

8人みんなにお菓子が行き渡ると今までの騒々しさが嘘のようで

この部屋に誰も居ないような静けさが訪れた。

まるで淑女の集まりのようである。






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