天秤ばかりは故障中
今朝 突然
「昨日 タイヤキを見せびらかされたの!」としーちゃんが言い出した。
一緒に居た妹が自分の分だけタイヤキを購入して車の中で食べだしたらしい。
「運転手は食べられないでしょ!」と言われたと言う。
「普通 一緒にいる人がいるのに一つだけ買う〜!?」と聞く。
うぅ〜〜ん、妹は姉のことを考えて買わなかったのかな?
かもしれない・・・!?
「たいやきかぁ〜 タイヤキも良いけどおやきもいいね!」
私が言った。
「でも〜今は美味しいおやき屋さんが無くなっちゃったもんね・・」
寂しそうに しーちゃんが言った。
確かに美味しかったおやき屋さんは閉店してしまっている。
今残っているのは 大きなチェーン店の店と
皮の厚いもったりとした飲み込みにくいおやきの店しか残っていない。
この店の餡子も小豆が良くないのか 時々硬いところがあり美味しくない。
なのになぜ潰れないのか・・・!?
それは高校生向きの新商品が多いからである。
お好み焼き味にクリームチーズ・・・
今の子は餡子なんて買わないから小豆にこだわっていないようだ。
「あのおやき もう一度食べたいね・・」
遠い視線を投げながらしーちゃんが言った。
しーちゃんの意識は過去にさかのぼり おやきを手にしているようだった。
確かに あのおやきはもう一度食べたい。
無いとなると余計食べたくなるものである。
「仕方が無い タイヤキで我慢するか・・・」
ともちゃんが呟やきながら カントリーマームを食べた。
「そんなんじゃ 満足出来ない!」
私は思ったが・・・無いものは仕方がないので
私も今日はカントリーマームで我慢した。
「私・・今日からコーヒー止める」とママが言い出した。
「どうして 急に止めるの?」マサ子が聞く。
「コーヒーに砂糖が入ってるからよ!」ママが答えた。
「違うって!入ってるんじゃなくて入れてるの!!」
友子が訂正する。
「だって〜入れなきゃ飲めないし・・」ママが弁解する。
「私は砂糖は要らないけど 牛乳入れる。」としーちゃんは言う。
「でも今朝コーヒーを入れたのに牛乳が無かったから飲めなかったの。」
と残念そうに続けた。
「隣に売ってるでしょう〜!?」と私が言った。
しーちゃんの家の隣といって良いほど近くにコンビニがある。
私たちは この店をしーちゃんの冷蔵庫と呼んでいる。
勿論 彼女は超お得意様である。
「店が開いてないほど早い時間に起きてたらしいよ!」
友子が説明してくれた。
「じゃぁ〜自分の絞ればよかったのに〜」
おばさん会話が飛び出した。
そんな話を無視してママはお茶を飲み始めた。
「これからお茶に変えるわ」ママの意思は固そうである。
ママは痩せる気なのかな?
私が そう思っているとお茶を飲みながらママは
かばんの中を探り始めた。
で・・取り出したものはチョコレートだった。
「いやぁ〜最近チョコレートに懲りだしたのよ〜」
取り出したチョコレートをみんなにも勧めた。
「・・・・・・・・・」
私は返す言葉が見つからなかった。
ただ勧められるままチョコレートを口にした。
ママは美味しそうにチョコレートを食べお茶を飲んでいる。
コーヒーに入れる砂糖と手にしたチョコレートの糖分を
天秤にかけながら私はその姿をただ眺めていた。