餌付け
7人に餌付けしようと思い 海苔巻きを作って持っていった。
部屋に入るなり・・・
「何 持ってるの?」
一番向こうに居る恵美子が気づいた。
まぁ〜ラップに包んだ海苔巻きをむき出しのまま
持って歩いていた私も私だが あまりにも気づくのが早すぎる。
実はこの海苔巻きは呪われていた。
まず最初に
すのこの上に広げたはずの海苔が
ご飯を乗せる段階になって二つに折れ曲がっていたのだ。
形状記憶合金のように袋に入ってた状態に戻っていた。
へらにご飯を乗せたまま
「あ!」っと気づいたときには その上にご飯がぼろぼろと落ちてしまった。
気を取り直して海苔を広げご飯を乗せ巻いた。
「おぉ〜いい太さの海苔巻きが出来た!」と思ったのもつかの間
海苔に亀裂が入っていたらしく裂けた。
そこからご飯がはみ出してきた。
仕方が無いから もう1枚海苔を巻いた。
2枚重ねの海苔巻きは噛み切れないかもしれない。
ラップに巻いてしんなりさせよう〜♪
切るのはその後だ。
そんな呪われた海苔巻きでも ここでは歓迎される。
熱い眼差しで迎え入れられるのである。
海苔巻きにとっても本望なはずだ。
だが この切ってない海苔巻きと言うもの自体が曲者である。
私は 具が はみ出たようになってる端が好みだが
綺麗な切り口の真ん中が好みの者もいる。
人それぞれである。
どの部分をゲット出来るかは
お茶飲み時間の集まる順番が重要である。
一番最初の場合は海苔巻きの切断という仕事が課せられる。
その仕事は重要である。
ものさしで測れとまでは言わないが
出来る限り同じ大きさに切らなければいけない。
神経を使う作業なのだ。
この仕事は避けたかったのだが私に当たってしまった。
当然 私は好みだし〜
切った本人なので端っこを取った。
一緒に入ってきたマサ子は
「中央が好みなのだが まさか最初に真ん中を取るわけにはいかない」
と言いながら反対側の端を取った。
「好きな所を取ればいいしょ〜」と私は言ってみたのだが彼女は辞退した。
残りの6人が綺麗な部分を食することとなった。
後から入ってきたあきちゃんが
「わぁ〜綺麗な海苔巻きだね!真ん中にちゃんと具が入ってるね〜」と
手にとって眺めながら言った。
褒めてくれたんだろうが・・・・
端を食べた私たちには確認が取れなかった。
腹に入れば同じさ〜♪
なぜか そうは思えない気分を味わった。
やはり海苔巻き1本では 何処に入ったのか解らない。
「もう無いの〜!?」
ブーブーと声があがるお茶飲みの時間が終わった。
次回は 2本持ってくるように約束させられてしまった。
しかも韓国風海苔巻きが食べたいそうである。
自分が一番にならないようにせっせと食べさせなければいけない。
餌付けするのも大変な仕事である。