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第5-3話 Memory Energy

 朧が相手を振り切る為に行動を起こした頃、歌燐とのーりんは緑を引きつれて全力で『Memory』へと走っていた。歌燐が緑の手を引き、のーりんが後ろを振り返りながら走る。

 すぐに『Memory』のある敷地の入口が見えてきた。

「ちょ、ちょっと、歌燐!?いったいなにがあったの!?」

「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」

 緑は声をかけ、そして口を噤む。その表情には見覚えがあった。それもつい最近。

海馬くんが体育倉庫の中で見せた時と同じような表情だった。

 彼女は何かに脅えて、そして恐怖していた。

 歌燐とのーりんは息をつくこともなく、敷地に入り、『Memory』の中へと飛び込んだ。

「メモリさん!」

 歌燐が開口一番に叫ぶ。その切迫するような声を聞き、廊下の中間あたりにある扉から小学生ぐらいの子供が顔を出した。

「ひーくん!メモリさんは?」

「食堂だよ。トラが来たって」

「っ!早く戻りなさい!」

 歌燐がそう言うと、少年はすぐに頭を引っ込めた。

 彼女は靴を脱ぐことなく玄関を上がり、食堂へと入っていった。

「この馬鹿黒助!お前が元凶だぞ!だからお前は死にかけでも愛を告白するなと言っているんだ!」

 ちょうどメモリさんが黒助に携帯電話をぶつけているところだった。

「はぁっ・・・はあぁっ・・・メモリさん!」

 息が整わないまま、歌燐は声を張り上げる。息は上がり、心臓は激しく胸を打ち、足は震えていた。なのに、血の気は下がり切っていた。

「歌燐!トラが来た」

 トラが来る。それは緊急事態を示す『Memory』の隠語であり、なおかつ緊急時の避難部屋であるパニックルームに逃げ込むサインでもあった。

「わかってます!・・・朧が・・・朧が・・・」

「ああ知っている。今しがた知り合いから連絡が入った。町内一帯の世帯で集団意識消失だ。そこで喧嘩をする二人が目撃された。喧嘩とは名ばかりの魔法合戦だがな。」

 やっぱり。

 歌燐は胸が締め付けられるような気がした。朧はまた『魔法』を使ったんだ。

「だが、奴は無事だ」

「え?」

「大丈夫だ」

 確証があった台詞だっただろうか?

歌燐にはわからない。でも、メモリさんの不敵な笑みを見たら、気が付けば歌燐の呼吸は落ち着いていた。

 我ながら現金なもんだ。でも、この単純さが私の力なのだ。

「え?魔法合戦?トラ?えと、あの」

 顔に血の気が戻り、ようやく歌燐は明日香が自分の服の裾をしきりに引っ張っていたことに気が付いた。

「歌燐、こいつは?」

「あっ!緑!緑明日香!」

「名前じゃなくてだな」

「あっ、えと・・・」

 なんと言えばいいのだろうか?歌燐は言葉を探す。説明しようと思えばできる。クラスメイトだとか、今日体育倉庫で事件を起こしたとか。

だが、それを一言で説明できる言葉を歌燐は思いついた。

「友達です」

 メモリは一瞬だけ驚いたような顔になり、そして相貌を崩した。

「なら、大事にしないとな。のーりん、部屋へ案内しろ」

「・・・メモリさんは?」

「私か?私は・・・」

 そしてメモリさんは机の下から小さな鉄塊のうなものを取り出した。それを見てのーりんがぼそりと呟く。

「・・・MP5K」

「さすがにのーりんは知っているな」

 市街地戦で多用される取り回しのしやすいサブマシンガン。建物の壁などを貫通せず、余計な被害を生み出さない拳銃弾を用いた面制圧を主とする銃機。それが四丁、弾薬は山のように用意されていた。

「これで迎え撃つさ。ついでに朧も迎えてやらなきゃならないしな」

 メモリさんはそう言って悪戯を仕掛ける少女のように笑った。

「そして黒助もしっかり働かせる。こいつが今回奴らを釣ってきたんだ。いや、正確には奴らが釣られてきたんだ」

「・・・・・・まさかとは思いますが・・・」

 のーりんはゴミ屑でも見下すような酷い顔で黒助睨みつけた。黒助はというと、足を添え木と包帯で固定され、腕も片側は首から吊っている有様だった。そのシャツはあちこちが破け、酷い擦り傷だらけだ。

「・・・・・・まさにそのボロ雑巾のような恰好でおめおめここに逃げてきて、相手にこちらの位置を知らせたわけではありませんよね。まさかと思いますが、尾行されていることにも気づかなかったんですか?うちの朧は発信機まで警戒してどぶ川に身を投げましたけどあなたは何かしたんですか?してないんですね。だからここがばれたんですね。そうなんですね?それでも元自衛官なんですか?かっこ悪いにもほどがありますよ。しかもさっきのメモリさんの言い方からすると、まさかこの場で死亡フラグのように愛の告白なんてものをしてくれやがったんじゃありませんか?」

「あ・・・えと・・・その」

 おお・・・

 しどろもどろになる黒助を尻目に歌燐とメモリは全てを忘れて感嘆の声を漏らした。

 のーりんがここまで感情を露わにして怒るというのも珍しい。

「いやいや!ちょっと待ってくれって、俺がそんなミスすると思うか!」

「・・・違うと言い張るんですか?」

「これでも特殊部隊出身だぞ!さすがにそんなヘマはしないって!いや、告白はしたけどさ」

「・・・したんですか」

「したんだ」

「ああ、しやがった。で、その直後この私の息子が最悪の状況になっているであろう電話がかかってきた」

 目の前に敵の魔の手が迫っている。だというのに、この男は何をしているのか。

 そんな視線が3人分突き刺さる。唯一の良心はいまいち現場を理解していない緑の視線だけだった。

「いやいやいや、なんだその目は!俺は何もしてないだろ!」

「ああ、いや。むしろ情報を持ち帰ってくれたからな。本当なら愛の告白を一時的に聞き入れてやってもいいぐらいだったんだがな」

 メモリさんは手にしたメモを握りつぶした。

「大学教授、相模恭二。あの時の下っ端がよもやそこまで出世するとはな」

「知っているんですか?」

「ああ、知っているさ。あいつがこの事件の首謀者だと言うならこの特定の速さも、張り込みの少なさも納得がいく。なにせ奴は朧と会った時点で『答え』にたどり着いていたんだ」

「え?」

「奴は・・・私の動向をずっと前から監視していたいたんだ。おそらく朧に会ったのもこの養護施設を調査していた帰りだろう。あいつもまさか、ここにあの施設の生き残りが隠れてるとは思っていなかったようだがな」

 その時、食堂にアラームが鳴った。

「来たか・・・歌燐、のーりん。下にいろ。そのうち朧も放り込む」

「・・・はい」

「わかりました。明日香、こっち!」

 歌燐と凛堂は緑を引っ張り、食堂の片隅にあるテレビの裏の戸棚に向かう。そこがこの部屋から行ける最も近いパニックルームの入口だった。

 滑り台のようなものを滑り下りていく二人を見送り、黒助は小さく笑った。

「相変わらず子供心に溢れた造りだな。あの施設の子供部屋を改修した時を思い出すな」

「勝手に思い出して感動に浸るのは勝手だがな。手足の怪我ぐらいで音をあげるなよ」

 黒助は今度こそ声をあげて笑った。

「俺を誰だと思っている」

「馬鹿で間の抜けたところのある、特殊部隊出身という杵柄を後生大事に抱えながら、民間警備会社に勤める会社員だ」

「それで間違いはないがな」

 黒助はサブマシンガンを手に取った。添え木がしてある足でも何のためらいもなく歩く。痛みが無いわけではない。ただ、痛いだけなら相応の動き方があるのを知っているだけだ。

「魔法の用意はいいか?」

「ああ、問題ないさ」

 二人はヘッドセットのような機械を頭に取り付ける。外付けの『ME』出力装置だ。記憶の消費が非常に少ないが威力が数段落ちる。できることは手品レベルのことだが、やりようはある。

「さぁ、ガキ共を守ろうじゃないか。ロックンロールだ!」

 二人は銃を両手に、夕焼けの刺す外へと繰り出していった。

 夕日が照らす真っ直ぐな敷地内。真正面にどうどうと装甲車が止まっていた。そこからポリカーボネート製の透明な盾を構えた一団が降りてきた。プラ版のように見えるが、子の盾は恐るべき防弾能力と軽量性を実現している。しかも一団の連中はボディーアーマーでフル装備ときている。総勢約20名。銃まで装備している徹底ぶりだった。明らかに日本で合法的に活動している警備会社の類ではなかった。

 奴らは既に完全武装で敷地内に足を踏み入れている。

「まったく、ここまでするかね」

「流れ弾の心配しなくていいじゃないか。それとも何か?人間を相手取るのは嫌か?」

「どうせ実弾なんか入っていないんだろ?」

 黒助はそう言って、MP5Kを片腕で持つ。もう片方のサブマシンガンはスリングベルトで肩から下げていた。

「まぁな。ゴム弾だが、火薬式だ。当たって死ぬことはないが、死にたくなるぐらい痛いぞ」

「そうか、顔面にぶち込めば意識を奪うぐらいは出来そうだな」

黒助は肩で下げて固定している腕にMP5Kを乗せ、唐突にトリガーを引いた。思い切りのよい行動はまさに軍人のようだ。

 敷地の門までおよそ100m。敵との距離はもう80m程だ。サブマシンガンの有効射程内だが奴らには盾がある。

 効果は薄いのは黒助もわかっていた。だからはこれは単なる

「宣戦布告だ」

 メモリが突然駆け出した。長い手足で素早く道を駆ける。女子100mの世界記録が10秒49。メモリのスピードはそれには到底及ばないが、11秒に迫る速度であることは変わらない。

 その速度で突撃しながら両手のサブマシンガンを連射する。

 牽制で弾倉を撃ちつくし、マガジンを交換する。

 そんなメモリ目がけ何かが複数飛んできた。空中にある缶。相手を音と光で気絶させるスタングレネード?それともただの催涙弾か?

 どちらにせよ対策は変わらなかった。メモリは更に加速した。盾の隙間から出てくる銃口。

 メモリは口の端で笑う。そんなものが何の役に立つ。

 メモリは集中力を上げる。真っ先に頭に浮かんだのは明日の天気予報。

「・・・晴れ時々曇り」

 メモリの頭に付けた装置が全てをあざ笑うかのように駆動音を立てる。銃口がメモリに向けて狙いを定める。

「撃てぇぇえ!」

 直後、メモリの眼前が音を立てて火花を散らした。炎より更に高温。固体液体気体を越え、全てを蒸発気化させる超高温体。『プラズマ』だ。

 メモリは当然防弾装備を着込んでいる。『プラズマ』による防御壁を展開したのは守れていない頭部のみ。

 そこに迫っていた暴徒鎮圧用ゴム弾が音を立てて蒸発した。

 防弾装備に弾があたり、それが覆っていない大腿に弾が一発叩き込まれる。だが、その程度でメモリは怯みはしない。

 一気に肉薄し、盾と盾の間に体をねじ込んだ。

「来たぞ!抑え込め!!」

 完全接敵の白兵戦。相手の陣の中央という四面楚歌の状況下。それだからこそ、相手は同士討ちを恐れて銃のトリガーが引けないのだ。当然それはメモリには関係ない。

 MP5Kを両手に構え、接射に近い距離で引き金を引き絞る。一発で二人の鼻血を吹かせ、メモリは体を沈み込ませる。低い位置から男の股間目がけて三発。ボディーアーマーで守れない急所の一つだ。

「のおぉん!」

 悶絶する声をあげてまた一人沈む。

 目の前に盾が現れた。

「うおおおおおお!」

その裏に兵が隠れながら猛烈な勢いで突っ込んでくる。

メモリが頭に思い浮かべたのは芸能人のゴシップネタだった。

MP5Kの銃の先に極微量のプラズマを発生させる。高温という言葉すら生温いカッターを下から振り上げる。金属プレートを切断するような火花を散らせて盾が両断された。

「うおっ!」

 両側に別れた盾の隙間に覗いた顔にもう片方のMP5Kを突き付け、撃ちこむ。

 更に頭に思い浮かべるのは今朝の新聞のコラム欄。

 両側から銃を棍棒のように振りかぶって二人が殴りかかろうとしている。メモリはMP5Kを二刀流の剣士のように振り切った。銃が見るも無残な様に分解され、銃のストックやバレルが切れて地面に落ちた。

 メモリは武器を失った二人に対して銃口を向け、引き金を引いた。

 直後、地面が突然隆起した。コンクリが割れ、地が裂ける。そこに幾人もの男達がはまり、バランスを崩した。だが、メモリの周囲だけは一切の変化がない。

「遅い」

 黒助の援護だった。

 メモリは落ち着いて、顔が射線にあがった男共を撃ちぬいていく。

「このぉおおお!」

 最後の一人。そいつが5mぐらいの位置で銃を構えていた。メモリのMP5Kの弾は切れている。もう相手も同士討ちを気にする必要はない。銃を構え、そしてあざ笑う。自分の勝利を確信している笑いだった。

 メモリは即座に行動を起こしていた。

「なっ!」

 一瞬だった。5m程もあったであろう距離がもう縮んでいた。

蹴り足で1m、体重移動で1m、勢いを乗せて1m、踏み込んだ足で1m、最後の1mは私の間合いだ。

 左足を踏み込み、自分の中に越えてはいけない支点を築きあげる。足裏でコンクリを掴む。右足を蹴りだし、勢いを左足で抑え込む。二本の足でため込んだパワーを下半身で育て上げ、上半身、腕、そして掌へとひねり込む。

 掌の底部。掌底と言われる箇所を胸部のボディアーマーに叩き込んだ。骨と骨がぶつかるような激しい音が響く。

「かはっ!」

 肺の中の空気が全て抜ける音がした。彼は中東でも戦闘経験のある傭兵だった。だが、その一撃は今まで喰らってきたどんなものよりも体内に染みわたった。銃弾を至近距離で放たれるよりも強烈な一撃だ。

 膝が笑い、苦悶の表情で腰が曲がる。そこに影が差した。夕日をバックにその女は長い足を振り上げていた。

 金髪を優雅に振り乱し、碧眼で冷たく敵を見据え、その長い足を垂直になるまで振り上げた姿。

 天使と悪魔が同居するような美しさがそこにあった。

「ちぇぇえええすとぉぉぉぉおおおお!」

 全力で振られた踵落とし。それが男の後頭部を直撃し、頭部が割れた地面にめり込んだ。

 男はそのまま軽く痙攣し、そして動かなくなる。メモリが足で転がすと泡を吹いていた。脳震盪ですんだらしい。殺していたらそれなりに処理の方法も知っているメモリだが、面倒ではあった。その手間がかからないことにひとまず安堵する。

 ふと後ろを振り返ると、黒助がゆっくりとこっちに歩いてきていた。

 メモリはサブマシンガンを操作し、弾倉を地に落とす。最後の弾倉を叩き込み、メモリは装甲車を睨みつけた。

「・・・・・・さて、そろそろ出てきたらどうだ。いるんだろ?」

 直後、敷地内の建物の隙間から何かが飛び出してきた。それと同時に強烈な風が木々を鳴らす。

「やっぱりきたか」

 メモリは身を逸らせるようにそれをかわす。メモリの背後で建物のガラスが吹き飛んだ。

「・・・相変わらず、したたかな奴だな」

「真正面から戦う必要性などどこにありますか?」

「久しぶりだな。相模恭二」

 現れたのは、白衣を着た男。くたびれたように歩くどこにでも転がっていそうな中年の痩せた男だ。だが、メモリの目には油断はない。

「あの時、研究所で会って以来だから10年以上前だな」

「ええ、そうなりますかね。どうです?養護施設は順調ですか?まさか、この国に被験体を残しているとは思いませんでしたよ。あの時のモルモットは全て国外に逃がされたとばかり思っていましたからね」

「ああ、そうだな。そういう風に書類を偽装したからな」

「・・・なるほど。私があなたの動向を追っていたのも把握していましたか」

 その相模は余裕を感じさせる笑みを浮かべて答える。

「しかし・・・十二年前。あなたが施設を破壊するとは思いませんでしたがね。あなたはあの研究を愛してやまなかったじゃないですか」

「私が愛していたのはあの研究の数字と結果だ。だが、その間に挟まる人間のことを慮って何が悪い」

「それで施設を破壊し、大勢の人を殺したんですか?」

「ふん、あのクソったれた老人共の老い先なんてもんは若い命に比べれば安いと思わないか?」

 そう言うと、相模の顔がメモリを見下すようなものに変わる。

「命は平等ですよ。長い人生の知識を持つ命もこれから育つ命も皆平等。そんなこともわからないで教育者とは笑わせますね」

「そうかい?だったらあんたが脳を弄繰り回されてみればいい。あいつらの気持ちも少しはわかるようになるだろう」

「ははは、それこそナンセンスだ。私は学者だ」

 わざとらしく白衣をはためかせ、相模は続ける。

「仮説を立て、実験を行い、結果を照らし合わせる。データを集めて新たな科学をくみ上げる。私にはそれができる。だが、できないものもいる。そういう奴は実験対象にするに限るだろう。適材適所という奴さ」

「・・・そうかい、そうだな。お前はそういう奴だったな。だからあの時にも逃げおおせたわけだ」

 メモリは横目で黒助の位置を確認。彼も準備はできているようだった。

 人を前にして視線を逸らすメモリ。相模はそれを自分の意見を聞かない意思のように受け取った。

「・・・君は何もわかっていないようだな。自分が過去にしでかしたことを・・・『ME』の研究を最前線で推し進めていた実験の頭脳を殺し、そして研究の重要サンプルである被験体を全員持ち去った。あれのおかげで『ME』という技術が相当の遅れを取ったのだぞ」

「だが、そのおかげでお前は今や教授の地位だ。上が軒並みくたばったお蔭で昇進も早かったろ?ん?」

「私の地位など関係ない!」

 相模のヒステリックな叫びが敷地内に響いた。

「あの研究はこの国に革新的なエネルギー革命を行える最高の機関を建造できたかもしれないんだぞ!それをお前がたった一日で50年、いや500年は遅らせたんだ!」

「はっ!」

 メモリはそれを鼻で笑った。

「革新的なエネルギー?最高の機関?貴様はこの十数年で全く成長していないらしいな。あれはそんな素晴らしいものじゃない。人の記憶を奪って得られるエネルギー。あれは地獄の窯底でやるべき研究だ。あの世でジジィ共の下っ端として血液検査でもやってろよ」

「そうかい・・・やはり分かり合えないか。だが、君には喋ってもらわなければならないことがある。君が連れ去った被験体の居場所はもちろんだが、君は被験体の調整の為に研究データを盗んだはずだ」

「吐くと思うか?」

「吐かせるさ。その為にここに来たんだ。幼子共を人質に取れば君も喋るだろう」

「させんよ。私がここにいるからな」

 メモリは仕掛ける。それと同時に地面が隆起した。黒助の援護を受けながらメモリは相模へと突っ込んでいった。

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