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NOISE.3  作者: 坂津狂鬼
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再会

「魔神と酷似した反応が二つゥ? 何の冗談ですか王様ァ?」

「冗談じゃない。酷似した反応は二つあり、そしてそれぞれ別の場所へ移動している」

「……簡潔に言えば、囮がいると」

「そういう事になる。まあどちらも潰せば問題無いが」

「うわッ、どっちも爆弾かよ」

「どちらかが残れば、こちらに不利益な事が起こるだけだ」

「んじァ……オレはこっち潰すしますよ。ついでに死神を殺せるし」

「それじゃ、こちらは―――」

「―――あァ気を付けて王様。そっちにはアンタを殺した奴がいるからさ」

「平気だ。今のこの体では殺される心配はない」


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「……?」

襲撃班を全滅させた人物を闇雲に追っていたシキだったが、その途中でおかしな気配に気付く。

おかしな、とはその気配の数のこと。数十名の気配を周囲から察しられる。

話によれば、襲撃班を全滅させた人物は少年一人。シキの味方側の人間も今は動いていないはずだ。

ならばこの気配は一体何なのか。

…………敵、ということは薄々感じられはするのだが。

「全員出てこい。出なければ殺すぞ」

警告を発する。反応はない。

シキは溜息を吐く。先程から異常なものばかりだ。

オトアは能力を封じられ、襲撃班はものの30分で全滅、それを行ったのは一人の少年。

今度は正体不明の数十名にも及ぶ敵。一体今この戦場ではどんな事態が起こっているのか。

元から考えることが苦手なシキにとっては溜息を吐きたくなるほどに、ややこしい。

再度溜息を吐き、肩から力が抜ける。

それを隙と感じたのか、隠れていた一人がシキの背後から襲い掛かってきた。

「……お前らの意思は理解したよ」

手を振りかざし、襲撃した一人に蒼い炎を叩き付ける。

シキが放つ蒼い炎には熱が無い。その代り、物の生死を操ることができる。

当然、そんな炎を叩き付けられればその襲撃者の命運はたった一つに絞られる。死だ。

勢いを失い、地に落ちた人間を蹴り飛ばし、辺りに隠れる者たちに晒す。

それに警告の意味は無い。ただの意思表示だ。

「お前たちが殺しに掛かってくるなら、アタシもお前たちを殺していいんだよな?」


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最後の一人を《処刑刃(ギロチン)》で絶ち、能力をすべて解除する。

不可視の鎧(インビジブル ロック)》はいつも通り。身体機能も良好。別段、調子の悪い箇所はない。

今の状態ならば、アレに届く。

「音にぃ、どうする?」

唯音が問いかけてきたため、そちらへ顔を向ける。

「音にぃがいつも通りに戻ったから逃げる必要は無くなったよ。これからどうするの?」

雇い主(オーナー)をどこかに隠して、魔神を餌に【虚無の王】か隼綛を誘き出す」

「妥当ね。戦いが始まったら非力な少女は邪魔だものね」

自分自身のことを皮肉しながら雇い主(オーナー)はオトアの案に賛同した。

「安全策として《不可視の鎧》で他から見えないようにはしてやる。後は自力で歩け」

「うわっ、首輪外した途端にこの態度。まあ感謝するけどね」

すぐさまにオトアは雇い主の体を包み込むように《不可視の鎧》を纏わせ、さらに空間を歪める力を応用して内側からの光をすべて反射する。

「それじゃね、篠守君」

「あァ」

雇い主の姿はもう見えない。まだここにいるのか。それとももう逃げ去ったのか。

とにかくこれから先、彼女はこの事件のすべてをオトアに託した。

もう干渉することはないだろう。

もうオトアとの関係は断ち切れたのだ。

「それじゃ音にぃ、私たちも行こうか」

「……今度は守るさ」

「えっ? 何か言った?」

オトアの呟きは幸い、唯音の耳までには届かないほどに小さかった。

その小ささとは対極に、その言葉に篭った覚悟は大きかった。大きいつもりだ。

「いや……今度は死なねェように気を付けろと言ッただけだ」

「音にぃ、守ってくれないの!?」

「さァな」

唯音の問いをはぐらかし、オトアは先へと歩を進める。

その先に何があろうとも歩を進める。


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シキの周りに死屍累々が広がる。

当然の結果だった。彼らは人で、彼女は死神だ。

怪物でもなければ彼女に立ち向かうことはできない。

いくら小賢しくても、力が無ければ刃向うことすらできない。

彼女も前へ歩を進めようとする。その先に自分が望むものが、自分が望む人がいると信じて。

だが。

死屍累々の中、一人が急に起き上がると共に彼女の背中へと奇襲を仕掛けた。

たまたま彼女の蒼い炎を逃れ、死体と一緒に紛れていた一人。

彼女も敵よりも望む人への再会を目指すばかり、敵の死亡を一々確認する気にはなれなかった。

奇襲にはすぐに気付いた。迎撃はギリギリのところで間に合うと算段した。

しかしその算段はすぐに無駄となる。

「っ!?」

乾いた銃声が二発。シキを襲おうとした人間へと撃ち込まれる。

すぐに勢いを失い地に落ちた人間などにシキは目を向けない。向ける余裕が無い。

白と黒が混じったような髪をした灰色のコートの少年。

証言と同じ。おおよそこの少年が襲撃班を全滅させたのだろう。

そうこの少年が―――――。

「……張空小月」

長い黒髪の蒼い瞳をした少女と―――――――。

「シキ……久し振りだな」

―――――――――対峙した。

まとめる力が落ちてる。何書きたいか分かんなくなってきた。

まあでもこれも何も世間一般がバレンタインとか騒ぐせいだし、ゲームイベントがクソのせいだし、そもそも今年もチョコを一個も貰えないことが原因なんだよ。


……なんだ、俺のせいか。

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