第十話 冒険者ギルドのギルドマスター
冒険者ギルドのギルドマスター。それは冒険者ギルドの支部における最高責任者である。
その者は、かつて名を馳せた冒険者であり、心身ともに強くそして気高い。
その者は、その地の冒険者たちをまとめ、依頼の危険度を見極めることで冒険者を守る。
冒険者の憧れであり、父であり、先輩である。
・・・・・・あるはずなのだが、
「ちょぉっと待ったぁぁ!!」
暑苦しくそして馬鹿でかい声と共に扉を蹴破ってきたのは、見た感じ冒険者としては引退を決めるぎりぎりの年齢である人間年齢で45くらいのおっさんだった。
「お、おっさん!」
俺がそんな風に呼べるのは、この破天荒なおっさんに初めて会ったわけではないからである。それは
「おっさん言うな!師匠と呼べ!」
俺が冒険者登録してから初心者講習を終えるまでついていた教官がこのおっさんだからである。
「つーか、なんでおっさんがここにいるんだよ!おっさんは確かもっと北の街を拠点にするとか言ってただろ!」
9ヶ月前の情報だけどさぁ!
「嫁さん貰ったから引退したらSSランク冒険者にいたから、幹部になれって言われて丸め込まれた。1ヶ月前から俺がドコロダイの(冒険者ギルドの)ギルドマスターだ!」
そんなんでいいのか冒険者ギルド!
いや、それよりもおっさん44でしたよね?やっと結婚したんですか!?
「まじかよ」
俺がいろんな意味で、衝撃を受けていると胡散臭い笑顔が横槍に入った。
「やれやれ、エミッド・イェーガギルドマスター?あなたの冒険者時代のご高名と今の役職を私は十分理解していますが、これはどういうことです?商人ギルドと戦争をしたいのですか?」
「そっちのせいだろ!ジローは元々こっちの所属だ。引き抜いてプロテクトリングA++の製造機器扱いにしようとする。商人ギルドに名前をだけでも入れさせるかよ!」
「おや、何を勘違いされているのか知りませんが、ジロー様は、自ら望んで商人ギルドに来たのですよ?むしろ冒険者ギルドの待遇が悪かったのでは?」
え?もしかして、この応接室の応対もおっさんが蹴破って乗り込んできたのも、おれのせい?
「商人ギルドにプロテクトリングA++の管理が移って値段を吊り上げられたら冒険者があぶねぇんだよ!」
「おや、冒険者ギルドが管理するせいで、値段が下がらないのでは?」
どうやら、それで確定っぽい。マジかよ・・・・・・。
「作り手が一人しかいないんだから仕方ねーだろ!」
「大した事無いですね。冒険者と言うのは」
「商人ギルドも含めて全てのギルドのやつを数人ずつ学ばせに行かせたが、誰も習得できなかったじゃねーか!たしかギルデンスターン、お前もいただろ!」
学びに来てたって、あぁ、あの時の俺専用の緊急クエスト扱いの魔法具臨時講師のクエストか。
確かにまとまった金も手に入ったし、あれをもっと作れって懇願されるのもあれだったから作り方教えたけど。
誰も習得できなかったんだよね。
「ぐぬぬぬぬ」
「ふふふふふ」
二人は、笑みを浮かべつつも目から火花を飛ばしあってる。これじゃいつまで経ってもこっち用事が終わらない。
仕方ない。あれに割り込むのは勇気がいるが、終わらない戦いを眺めているわけにもいくまい。
「あの~、そもそもあのリングで商売を始めるために俺は来たわけではないので。」
「「え?」」
俺以外の時が止まった。
異界拉麺店主手記に初めて感想がつきました!
ありがたいです。
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4/2 誤字修正
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