Prologue
順番が本編→エピローグ→プロローグとする予定になっておりますので予めご了承ください。
プロローグは文字数が少ないです。
なお、この作品はフィクションです。実際の技術名、事件名、人物名、団体名等とは一切関係ありません。
それはこのゲームのオープニングテーマだった。
しばし、この場を美しくも悲しい旋律が包み込む。その調べに、ここにいた誰もが何かを探すように空を仰いだ。
俺もこのゲームを始めたばかりの頃は、ログインするのも忘れて聴き入ってしまったものだ。あの頃は何もかもが新鮮で、これも例外ではなかった。
「あ、これ……」
「……オープニングテーマですね」
隣からぽつりぽつりと声が漏れた。きっとネコもスキリルも気付いたのだろう。
俺は、否、俺たちプレイヤーは、つい最近までこのテーマを聞いていた。しかしこれから先、オープニングでこのテーマを聞くことは当分できないだろう。
「ううっ……」
どこかから、誰かが泣く声が聞こえてきた。それを皮切りに、広場のあちこちから泣き声が上がる。
戻れない。もうあの頃に戻ることは叶わないのだ。それはここにいる全員が知っていることだった。
だが知っていても我慢する事など出来ない。それほどまでに残酷に、再度目の前に突き付けられた”現実”だった。
それでも、俺たちはここで生きていかなければならない。この過酷な現実から、逃げる術など無いのだから。
俺は、自分の頬を伝う涙に気が付いた。知らぬ間に俺も泣いていたようだ。
「……参ったな」
なおも伝い続けるそれを、乱暴に服の袖で拭った。吸水性など全く無いそれに弾かれて、涙の粒が石畳で飛び散る。
東の空から、一条の光が差し込んだ。たちまち辺りが曙光によって染め上げられる。
「……行こうよ。私、お腹空いちゃった」
ネコが、一歩進み出ながら言った。その横顔は、フードで隠れてしまって見えない。
「……行きましょう」
夜が、明けていく。
プロローグは書ける情報が少ないので文章が膨らみません。文章も前後の繋がりが怪しくなっています。
誤字、脱字、表現や語尾の間違い、違和感などがありましたら報告してくださると嬉しいです。