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難易度の高い恋

掲載日:2026/05/06

15分短編です

 日曜日の昼下がり、人気の少ない公園で、俺は彼女に告白をした。

 思わず目をつぶって手を出してしまったから、彼女の顔は見られない。

 おなじ人物に、合計七回目の告白。これが成功すれば、俺は、ようやく彼氏になれる。

「・・・よろしく、お願いします」

 彼女のか細い声が、そう呟いた。嬉しくなって顔を上げると、顔を真っ赤にした彼女と目が合った。

 か、可愛い。

 彼女は数か月前に転校してきた。誰がどう見ても美人で可愛くて、すぐに注目の的になったけど、一週間が経っても、彼女には同性の友達すらできない状態になっていた。

「私には七人の人格が居ます」

 そう言った彼女の言葉に嘘はなかった。無口、ツンデレ、泣き虫、陰鬱、朗らか、オタク気質、おとなしい、それぞれの曜日に必ずそれぞれの人格が現れた。記憶の共有もない様で、月曜日に仲良くなったやつは、火曜日には忘れ去られていた。そのせいで、今までも友達すらできたことがないらしい。

 俺は初日から彼女に一目ぼれしていたから、まったく気にはならなかったけど、クラスメイト達はどう接してよいかわからないといった様子で、彼女を敬遠しているようだった。これはチャンスだ、彼女と仲良くなって、あわよくば彼氏の立ち位置を獲得して、リア充の仲間入りがしたい。

初めはそんな下心満載だったけど、彼女と接するようになって、毎日変わる彼女の変化に、妙なハマり方をしていったのは事実だ。

 だって考えても見てくれよ。同じ顔、同じ容姿、なのに性格や話し方が全く違う。次に何が飛び出してくるのか全く予想がつかない。そんな彼女を好きになるのに、時間はかからなかった。

 俺は毎日彼女に話しかけ、ゆっくりそれぞれの彼女との距離を縮めていった。

 一番手を焼いたのは土日の彼女だ。そもそも土日は、彼女に会うのが難しい。

 でも俺は連絡先を交換して、毎日連絡を送った。

 初めこそ警戒していた彼女も、俺との連絡を楽しんでくれているようだった。

 そして今日、ようやく俺の願いが成就した。最後の日曜日の彼女からようやくOKを貰えたんだ。こんなにうれしいことは無い。

 舞い上がりそうな心を抑えつつ「ありがとう」と言って抱き着こうとした瞬間、彼女の体が光り輝き始めた。

「な、なんだ!?」

 彼女の頭上に、真っ白な服を着た天使のような女性が現れた。

「「あなたは、どの彼女を選びますか?」」

 まるで頭の中に直接語り掛けてくるような声が響いた。

「選ぶって・・・」

「「一人の人間の人格は、一つしか選べません。さぁ、選択の時です」」

 妙に厳かな曲が流れ、選択肢が浮かび上がる。

 月、火、水、木、金、土、日。どの彼女も、大好きで、どの彼女も、俺の大切な彼女たちだ。

「選べないよ。だって、俺はみんな好きだから!毎日変わる彼女と一緒に過ごしていきたいんだ!」

 どうする、どの彼女を選べばよい?どの選択が正解なんだ!?

選択肢を選べないままでいると、画面が急に切り替わった。

「「強欲、しかし正直な願い。良いでしょう・・・」」

 そう言って画面が真っ白に輝いたかと思うと、天使のような女性はいなくなっていた。

「「あなたは彼女との人生を選びました。どうぞ末永く、彼女を大切にしてください」」End…



 俺はコントローラーを置いた。エンドロールと物悲しい音楽が心に沁みる。

 このゲームをクリアするのに一年近くかかってしまった。

一週間ごとに変わる彼女の好感度を毎日毎日上げて、たまに他の曜日の子を怒らせると、全員の好感度が下がる、そんな難易度の高いゲームだったけど、終わってみると、なんだかあっさりと終わってしまったし、燃え尽き症候群みたいな、そんな感覚が俺のナカに芽生えていた。

「・・・・・あ~・・・頑張ったぁ・・・・」


——恋愛ゲームならうまくいくのになぁ・・・——

待てよ?これもしかして、曜日ごとのEndも有り得るのか・・・?

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