呪われた家
その日のうちに家を出ることになった私は、荷物を纏めるとトランク一つを片手に、屋敷から外へ出た。
誰も見送りに来ない中、家の近くにあるバス停からバスへ乗った。私が乗ったバスは未練など何もなかったかのように、まっすぐ駅へ向かった。
──西園寺家は呪われている。
それはパーティーで、まことしやかに流れる噂話だった。数年前、会社で不正を行ったことが原因で、西園寺家の人間が何人か殺されたと聞いていた。しかも、その事件は迷宮入りしたという。国の監視下にある西園寺家は、黒魔術により呪われていると今でも噂されていた。
緊張して向かった先の西園寺邸では、穏やかな笑顔の男性が出迎えてくれた。
男性は私をエスコートすると、応接室へ案内した。穏やかな笑顔を見て、執事だと思った私は、西園寺リュウの居場所を聞いた。
「申し遅れました。私が西園寺リュウでございます」
「し、失礼しました。釣書は見なかったものですから……」
さわやか笑顔の青年を見て、この人はパーティーでも人気者なのではないのだろうか、と思った。なぜ私が嫁ぐ事になったのか話が見えない。
気になった事と言えば、顔は笑っているのに、目が笑っていないということだった。
※※※※※
結婚してからも、彼は私に優しかった。衣服は足りてるか、嫌いな食べ物はないか、部屋の温度はちょうどいいか──いたれり尽くせりである。
気になったのは、夫の目がいつも笑っていないということだけ。
私は彼を愛していたし、彼の役に立ちたいと思っていた。
それなのに、何でこんなことになってしまったのか、訳が分からなかった。