我慢はほどほどに。
よろしくお願いいたします。
※短編にしそこなったので、一話で完結とします。
皆さんは、投稿前にきちんとご確認くださいませ…。
「絶対お前じゃない!あのご令嬢は、お前なんかよりずっと可憐で美しかった!同じ色合いなのにくすんだお前と違ってな!」
舞踏会で、婚約者のティートが叫んだ。
「さようですか」
いつものことなので、リアンナはすん、とした表情で言った。
こちらを睨んだティートは、友人の元へ行った。
顔合わせの時から、「子爵家の娘だがお前じゃない」と何度も言われた。
しかし、子爵家の娘はリアンナだけ。確認もせず婚約を押し付けたのはティートなのに、罵倒するばかり。
こちらから婚約解消を求めても、ティートは「初恋の君をリアンナが隠している」と思い込んで拒むのだ。
「相変わらずか」
「お兄様」
リアンナと同じ色合いの兄は、ガチムチで背の高い騎士だ。
今日のパートナーである。
ティートは、エスコートなどしたこともない。
「ねぇ、もういいでしょう?」
「いやしかし」
兄は言い淀んだ。
「このままでいいと?」
「まさか。しかし俺にも体面というものがな。おっと、友人だ」
「お兄様!」
ティートも酷いのだが、兄も大概だ。
婚約からすでに2年。
新しく婚約を結ぶなら、もうタイムリミットだ。
さすがのリアンナも、そろそろ堪忍袋の緒が切れそうであった。
ティートが近くまで来た。
「お前なんか、彼女を見つけ次第捨ててやる!行き遅れればいい!!」
ぶつり、と切れた。
「もういいです。お教えします」
「やはり隠していたか!」
「いいえ」
リアンナは、ポケットに入れていたロケットペンダントを開いて見せた。
「これは……。あ!この少女だ!」
ティートは、肖像画にかじりついた。
両親と幼少期のリアンナと、年上に見える美少女。
「この少女はどこだ!」
「ティート様」
「お前と違って、さぞかし美しく――」
「兄です」
「は?」
ティートは固まった。
「だから、兄です」
「な、何を世迷言を。あの御人がまさか」
「兄は昔、私のドレスを羨ましがって。母が面白がってドレスを仕立てたんです」
「う、嘘、だろ?」
唖然とするティートに、リアンナは淡々と述べた。
「事実です。ティート様から婚約の打診があった時点でお伝えすべきだったのに、『男の矜持』がどうとかで、秘密にしたのは兄です。くだらない。さて、どうされますか?兄に乗り換えますか?」
顔色を変えたティートは、半泣きで首を大きく横に振った。
舞踏会でのやりとりだ。
兄の昔の女装のことも併せて、しばらく噂になった。
婚約は、無事に解消された。
読了ありがとうございました。
1000文字は難しかったです。
説明が足りない……。
旧タイトル(ネタばれタイトルのため没になりました)
婚約者の初恋相手が劇的ビフォーアフターを果たした兄(ビフォー)である件について




