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カチカチ山 6

『オールワークアンドノープレイ(働くばかりで娯楽はなし)』事務所の竜宮城の亀こと、亀さんこ考える「カチカチ山」とは?


      *       *


今、タイムトラベラーたちを脅かす影のシンジケート、その悪の本質、というか彼らの悪の基本スタイルが「カチカチ山」のストーリーに描かれている。


ただし、「カチカチ山」の物語というのは、悪者たちが、自分たちの日頃の悪行を正当化するために書かれている物語であるため、「カチカチ山」を正しく理解するためには、タイムトラベラーたちを脅かす影のシンジケートの目論見もくろみを見抜くことが大事である。


そこを見抜ければ、ここに悪者として描かれるタヌキが正しく、タヌキを捕まえタヌキ汁にしようとしたじいさんが悪者であることが、はっきり見えてくる。


「カチカチ山」のこのじいさんは、森に対する侵略者である。森を切り開き、畑に変えて、森の住人たちからねぐらを奪う。森の住人の食べ物としての木の実のなる木を切り倒して、柿の木を切り倒して、森の住人の動物たちから、食べ物を奪い、これらの動物たちを飢えに追い込む。


タヌキは、じいさんがやっていることは間違っていることであると抗議してみても、じいさんは全くタヌキの話を聞き入れようとはしない。


自分たちに、ねぐらと食べ物を提供している森をじいさんに奪われたタヌキは、年から年中お腹を空かせているという有様である。


あまりの空腹のために、出来心から、じいさんが畑で育てている作物に、出来心で手を出してしまった。


じいさんは、タヌキが畑の作物を盗んだことを見とがめると、それ以来、じいさんはタヌキを追いかけ回し、ついにはタヌキをとらえ、タヌキを縄で縛り上げ、タヌキをタヌキ汁にするためにうちに持って帰った。


じいさんの家には、じいさんの嫁であるばあさんが、じいさんの帰りを腹を空かせて待っていた。


じいさんは、畑で一仕事残っているから、タヌキでタヌキ汁を作るのは、畑仕事を終えたじいさんが畑から帰ってからにすると念を押して、畑に出かけていった。


ばあさんは、じいさんが、出て行った後、じいさんが捕まえてきたタヌキをよーーく見てみると、ばあさんはそのタヌキが、程よく育っており、このタヌキで作れば、絶品のタヌキ汁が出来そうに思えた。


ばあさんは、このタヌキを早速絞めて、タヌキ汁をひとり占めして食いたいと思った。


「じいさんには、タヌキ汁の残りかすと残り汁でももったいないくらいだ」


そこで、ばあさんは、善は急げと、よく切れる包丁を取りに炊事場に行った。


タヌキは、婆さんの独り言は聞こえなかったが、ばあさんの魂胆を見抜いていた。


ここで、タヌキは、知恵を使い、必死のおもいで縄に化けるアイデアを思いついたのだ。


タヌキは、自分を縛っているのと全く同じ藁縄わらなわに姿を変えた。そのために、タヌキは姿がどこかに消えてしまったかのように見えた。


ばあさんは、炊事場からよく切れそうな包丁を持って戻ってきたのだが、タヌキが縛られていたはずのところにはもうタヌキの姿はなく、縄のかたまりだけが残されていただけだった。


「タヌキっ子は、どこ行った?」


ばあさんは、縄のかたまりのあるところに、飛んでいくと、縄のかたまりをチェックした。


ばあさんは、いちいち、縄に残された結び目をチェックした。


そうするうちに、ばあさんは、知らぬ間に縄の結び目をほどいてしまった。


こうして、縄に化けていた自由になったのだ。


「縄が足を生やして逃げていく。縄から尻尾が生えてきた」


ようやく、ばあさんは、タヌキが縄に化けていたことに気づいた。ばあさんは、縄のタヌキを追いかけた。


「わしのタヌキ汁!」


ばあさんは、うまそうなご飯に逃げられ、腹の虫が治まらなかった。


そこに、じいさんが畑から帰って来た。二人は夫婦喧嘩を始めた。じいさんは、勢い余って、ばあさんを殺してしまった。


じいさんは、さすがに、ばあさんの死体を見て途方に暮れた。


そこに、じいさんの上役で、ここらあたりの山里を取り仕切っているウサギが現れた。


じいさんは、ウサギにタヌキのことも含めて出来事のすべてを話した。


ウサギは、じいさんの話をしまいまで落ち着いて聞いた。


そして、ウサギは、じいさんに言った。


「このばあさんの死体で汁を作りましょう。そして、お腹がいっぱいになればタヌキのことについてもよい知恵が生まれるでしょう」



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