カチカチ山 3
亀は、横になり、寝付こうとしていた。
亀は、今日一日のことを思い出していた。
亀にとって、今日一日のことで、忘れられないことは、今日知り合いになった若者がすごい勢いでこの亀に向かって走ってきて、この甲羅で足とられて、勢い余って、空中で1回転したあげく、道路の地面に落ち、背中を激しく打ちつけた時のことである。
亀は思った。
昔、昔のずっと昔の「亀」というもの。俺のじいさんばあさんや、そんなご先祖様をドンドンたどって行って、遙かな、遙かな昔の世界のことであるのだが、その頃の我々ら「亀」というのものは、言い伝えでも言われていることであるが、そのようなご先祖様の太古の「亀」というものは、この背中に背負っているような重い、重い甲羅というものを背負っては居なかった。
そして、俺たちのご先祖様の「亀」というものは、四つんばいで、歩くこともなく、普通の人と呼ばれる生きもののように、普通に二本の足を使って歩いていたそうだ。
様々な生き物の中で、我々「亀」の一族は、ある時代より、タイムトラベラーとして生きるようになった。
さらに時代が進むとタイムトラベラーの中でも、働きを認められ、我々「亀」のご先祖様たちは、タイムトラベラーとして最高に重要な仕事をこなすようになった。
その重要な仕事の中身というのは何かというと、それは今の世界で言うところのトランスポーターというものだった。
トランスポーターとは、何かというと、それは「時間旅行の水先案内人」というコトバから連想されるべきものだった。
トランスポーターというものは、タイムトラベラー社会において、とても重要な仕事であった。
トランスポーターの我々「亀」のご先祖様というものは、タイムトラベラーの世界の中でも一目置かれる存在であった。
我々「亀」の祖先の代々のひとりひとりは、トランスポーターとして、よりよい時間旅行の体験を時間旅行者という顧客に提供するように心を砕いた。
我々「亀」の一族は、時代が進むにつれて、トランスポーターという仕事を誇りに思い、トランスポーターという仕事を円滑に進めるように工夫を重ね、自身も「時間旅行の水先案内人」という業務に最適化されていった。
その結果として、我々の「亀」の祖先は時間旅行者という顧客が移動の際に、座りながら安楽に、快適に時間を過ごせるように、我々は、「亀」四つんばいになって背中に顧客の時間旅行者を乗せるというサービス考案した。
時空の移動の際に、時間旅行者という顧客に乗ってもらうというサービスは、非常に好評だった。
さらに後の世代の先祖の「亀」は、そのサービスをより進化させた。我々「亀」の、背中は時間旅行者という顧客がより快適に過ごせるように、最適化された。
つまり、時間旅行者という顧客に快適に「亀」背中に乗ってもらえるように、甲羅というものが、発明されたのである。
我々「亀」の一族の未来は、この頃輝いて見えた。
しかし、俺は考える。今日、我々「亀」の「時間旅行者の水先案内人」としての一族の未来は明るくはない。
これが、「亀」一族の将来を担い、探偵事務所を開業した理由である。