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ZEROミッシングリンクⅡ【2】ZERO MISSING LINK2  作者: タイニ
第八章 河漢
21/110

19 一番の地雷



『酒は飲むな!絶対飲むなよ』

というサルガス命により、せっかく焼肉を食べに来たのに酒は無しである。


「酒飲みたいな。」

いつの間にか来たジェイも思わず言ってしまうが、キファが止めた。

「とにかくアーツの集まりにおいて酒は無しだ。大房で飲め。

その理由は後程お伝えする。」

と、念を押すキファ。


「とにかく食べよう!力付けよう!全部奢るから!はいっ、カンパーイ!」

と響は音頭をとる。

「だから何の?響さんも明日から朝練するの?」

元気な響に違和感を感じる、今日は饒舌なジェイ。

「朝は瞑想の時間です!運動はしません!」

「今日の響さんおかしいですね。」

「まあいい。食おう。」

なぜか奢ってくれる人の許可も取らずにサーロインを注文して、もう食べているファクト。


「ねーねー。キファも響先生推しなの?」

「は?」

ファイの疑問に本人含む全員が止まってしまう。

「オシ?」

「この場合は、『好きなの?』ってこと!」

「はー??!!」

響の方がびっくりする。


「………」

目が合う二人。


キファが止まったまま答える。

「……好きだけど。」


「はああーーーー!??」

赤い顔のキファとすっごくイヤな顔の響。


「あなたたちバカなの?!!半年以上我慢し過ぎてちょっとおかしくなってない??

私モテたことないよ??あなたたちの世界は半径何メートルなの?!」

「えー?先生かわいいのに。最推しはチコさんだけど!フフフ、うなじ出してほしい!」

ファイにも引く。

「響さんが何でモテるの?いつもドン引きされていそうなのに。」

冷静にジェイは呟く。


その時、バシっとキファとジェイが叩かれた。

「お前らな…。」

「あ、イオニア様……」

「キファ、お前何なんだ?」


後発組が来ていた。


「なんでイオニアさんまで!おかしい人たちがいっぱい来た!!」

動揺する響。

「よお!」

シグマが手を振り、どこにでも現るクルバト書記官も便乗していた。

「タラゼドさんもいる!!」

もう一度ビビる。

実は響は、ファイにタラゼドにはワンコールしかしなくていいと言っておいた。どうせ来ないし来なくてもいいと思っていたのだ。

「響先生ひどーい!ホントひどい!タラゼドに助けてもらったのに。来なくていい感じだった!ワン切りなんて!」

怒ったリーブラたちは、先発組の横に隣に席を取る。タラゼドはリーブラに連行状態であった。


「響先生、酒飲まないからこっちに来てください!」

「イヤです!」

イオニアが響を呼ぶが避けてキロンやジェイの横に隠れられた。


が、目の前にキファがいた。

「うわ!ライかファクト君と席を変わって!」

「イヤっす。先生、お見合い止めてくれたら席変わります!」



「お見合い?!」

イオニア、タラゼドが固まる。


そんなのドラマや漫画でしか聞いたことがないと思う、いつもの下町ズ。お見合いという意外な言葉に動揺しかない。なにそれ、食えるの?


「あー。みんな私をばかにしているみたいだけれど、けっこう打診来てるんだよ~。これでお見合いするの6回目かな?」

得意げな響。逆に言えば、5回も決まらなかったという事だ。

「今度のお相手は…」


「セラミックリーブスの三男でーす!」


「セラミックリーブス?!!」

今度はキロンが真っ先に反応し、イオニアもちょっと驚いていた。

「何それ?すごいの?」

「最大手ではないけれど、セラミックで西アジアでは1、2番の会社なんじゃないかな…。」

「え?お坊ちゃま?」

リーブラが輝く。


「友達がそこの長男に嫁いでいて、紹介してくれるって!」

「……。」

なんだその人脈。

「でもさ、響さんそんな環境絶対合わなさそう。大きな家の妻や嫁の責務なんて果たせなさそう。」

お!毒舌ジェイ。いいこと言う!と思う男子ズ。西アジアは家族系列の記号がこの時代もまだまだ多い。

「ふふふ、舐めてはいけません。私を知り尽くした、私の親友の紹介ですよ!」


何なんだ…。


「そこ、男四人兄弟でみんな優秀だから、三男は自由にしていてダンサーなんだって!振付師もしてるって。お固くないでしょ?」


……。

えー。それ地雷っぽい、と思うアーツ。


金回(かねまわ)りは違うかもしれないけれど、自分たちと同じだよ。

音楽系よりはいいかもしれないけれど地雷じゃん!

芸能と舞台と音楽系は地雷なのだ。大房民はよく知っている。


「プロダンサー?」

キファが怪訝な顔で聞き返す。

「…知らない。」

実はあまり本人には関心がないので、今更響はデバイスで検索する。

「えっと…『モダンバレエ』って書いてある…。海外のバレエ団だね。」


うわー。絶対響さんと合わなそうと思うファクト以外の一同。


「生きるタイミングからスッテプまで全て合わなさそう…」

ジェイは顔をしかめる。

「響先生はステップなんて踏めないよ。私のお仲間だもん。」

ファイは響にリズム感がないのを知っている。フォークダンスすらおかしいことになっているのだ。


「先生、旦那のために何かの折に海外に飛べる?」

「…うーん。行かなきゃダメ?」

旦那のために飛行機に乗る気もない時点でこれは無理だなと思う。自分のためにならどこの国にでも行きそうだが。


みんな検索画面をのぞき込んだ。

「一応ちゃんとしたところだな。定期公演してる。モダンまでは分からん。」

「どんな顔?」

「…ちょいキザ目だけど顔は男の目から見ても…それなりに見れる。」

「動画ないの?」

「おーー!!これは絶対女が寄ってくるタイプだ。俺は好きじゃないけど。」

「手足なげ-な。俺の心には触れないけれど。」

「ムカつく。結構筋肉あるじゃん。バレエってそうなのか?」

みんななぜか対抗意識を出してくる。


「こういう世界は周りに女性も多いから、先生とは絶対に合わないよ。旦那がいろんな女性と手や体が絡んでるのに耐えられる?」

ダンス仲間が多いアーツにはなんとなく分かる。大房のようなストリート系より女性と接触するであろう。腰も抱くし手足も絡める。モダン系なので自由だ。

「先生が虫取りしてる間に、恋人できてさようならしそう。」

「これならまだ、社長親族の方が現実味がある…。」

「浮気されても見抜けなさそう。」


勝手なことを言いまくっている一同に、響はだんだん不機嫌になる。


「あ、でもチコさん。ムギと響の結婚相手は自分がいい男連れてくるから、安心しろ!って言っていましたよ。」

ライがかわいくミサイル投下。

「マジか!」

「オミクロンはやめといたほうがいい…。」

「そう見せかけて、内情はナオスの方が大変らしいぞ。」

「響さんはどこにも耐えられなさそう…。」



「…みんな失礼過ぎる!」

言われっぱなしで遂に響が怒ってしまった。


怒ってその勢いで、幼馴染の友達に電話を入れる。

「…という訳ですっごいバカにされまくってるんだけど!!」

『ほー…。ちょい替わりな。』

響さん親友が突然現れた。画面に映っているのはいかにもセレブで美人な人だ。


『ちょっと!そこの大房ども!』

「…はい?」

俺ら?と思う、大房男子。


『あんたたちウチの親戚とウチの親友に何勝手なこと言ってるの?!

……というか何、響?なんでそんなガラの悪そうなのと遊んでるの?!』

大房民は柄が悪いかチャラい。

『響は義弟と絶対気が合うから!そんで響と義姉妹になれば、家族行事、セラミックリーバス人生超イージーモードでしょ!親戚の前で猫被るの疲れたのよ!私の人生計画に口出ししないで!!』

と、一気に言ってのける。


「………」


あれ?響さん親友が一番の地雷?…と思うアーツであった。





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