脱エタ!見切り発車で始めてしまった物語を終わらせる方法
このエッセイの中で出しているエタ率などの数字は、下記のエッセイを(勝手に)参考にさせていただきました。
《参考エッセイ》
拝啓 エタりそうな作者様、エタが嫌いな読者様。これがなろうの現実です。
作者:応援されたい作者
https://ncode.syosetu.com/n4624eq/
《小説家になろう》に投稿されている連載作品の7割は未完で終わるそうです。そして、連載全てを完結させている人は全体の10%もいないとのこと。
たぶんきっとあれですよね。
適当にプロローグを書いたら『うわなんかめちゃめちゃ良い文章がさらりと書けた……天才かもしれない』なんて思ったりして勢いで投稿したものの、肝心の本編なんも浮かばないとかですよね。
こういう系はその日にエタる。
小説書くのなんて初めてなのに、いきなり超大作書こうとしたりとか、風呂敷広げ過ぎてたためないとか、そんなパターンもありますよね。何十話もかけて頑張って書いた後に、燃え尽きてエタる。
あと、今まで書いた小説の中で一番反響あったから、すぐ終わらせるのが惜しくなって引き延ばして……さあ終わりどころがわからないぞ、みたいな。迷走系エタ。
急に始まる学園編(女性向けでありがち)。突如始まるバトル展開(男性向けでありがち)。
ああ、新章なんてやるんじゃなかった。あの日あの時あの場所で終わっておけばよかった!
あるある。
書き方エッセイを好んで読むんですが……小説の書き方的なノウハウはよく見るのに、物語の終わらせ方を書いてるエッセイは見たことないです。
それはやはり、連載を完結させる人が少ないからなのでしょう。
というわけで、いつも行き当たりばったりで始めるわりに、一応、全部完結させている私が、物語を完結させる為に自分の中で設定しているルールを公開したいと思います。
私にできるんだから、君もできるさ……たぶん。
■第1章■そもそも、その投稿ちょっと待った!
■ルール1-1:とりあえず投稿前に5話は書くべし
プロローグしか書けない系のエタは、このルールでほぼ絶滅することでしょう。
というか、そもそもプロローグなんて、登場人物もメインストーリーも物語の舞台もなんも考えてなくたって書けるんですよ。
『なんで私はあの時、あんなことをしてしまったんだろう……そんなことを考えてももう遅い。なぜなら……この物語は既に始まってしまい、運命の輪は巡り始めてしまったのだから!』みたいなのとか。
でも投稿前に一度立ち止まって冷静に考えてみてください。そのプロローグでその先のストーリーを想像できますか?
……ほら、エタるー。
しかし例え行き当たりばったりでも、5話まで書ければ、さすがになんとなく物語の雰囲気も見えてくるというもの。5話使ってもまだプロローグもどきなら……さすがに前に進もうぜ。
そしてその5話の中で、主要人物は全部出す、くらいな勢いで書くておくと良いです。キャラの言動は早めに固めるべし。
そうして、キャラが勝手に動き始めた的な感覚がつかめたら、見切り発車でもいける率は上がります。
■ルール1-2:ストーリーの方向性は決めておこう
進む方向見失う系エタは、これで減少するはずです。
キャラが動き始めたなーとなったら今度は、そんなキャラ達がつむぎそうな物語の方向性を決めましょう。何事もゴールが必要です。物語の展開を完璧に把握しろなんて言わないけれど、どの辺に向かうかくらいは決めておこう?
異世界恋愛ジャンルなら『誰と誰をくっつける』とか『逆ハーにしたい』とか『婚約破棄ざまぁ入れる』とか『ラブコメ』とか『純愛』とか、それくらいのキーワード的なもので大丈夫。
ちなみに私が最近、4カ月かけて連載完結した作品は『悪役令嬢』『ざまぁ』『ラブコメ』『登場人物全員性格が残念』という4つのキーワードを最初に設定してから始めました。
そうすると、登場人物はとりあえず全員、残念なほうに振り切れば良いので、さくさく物語を進められます。
物語の柱が1本立って、芯のある物語になる気がするし、連載中に迷わなくなるのでオススメです。
■ルール1-3:物語を壮大にしない。風呂敷広げない。ミニマリストでええじゃないか。
シンプルイズベストです。
魔王を倒しに行くような大冒険の始まりがスライム倒すところから? そ、こ、か、ら、か。しんどすぎる。
そして町に立ち寄る度に問題を解決したり人を救ったり、敵もいきなり魔王とはいかないから配下の四天王とかと戦ったりするんですよね。考えるだけで目標遠すぎてエタります。
断罪回避したい悪役令嬢が奔走する系も、断罪回避ついでに攻略対象全員落とすとかってなると……もうキャラクター多すぎて各キャラのエピソード書こうとするだけで遠い目です。頑張って書いたら最初の2人くらいならいける気がするけれど……3人目くらいで『もうバッドエンドでいいかな』ってなります。私は。
サブストーリーのノルマが過酷すぎて、メインストーリーを書く意欲が死んだ、なんて。悲しみのエタですよ。
なので、話が壮大になりそうな場合は、投稿する前にエンディングまでの最短距離を考えておくといいと思います。
街中でいきなり魔王とか(あ、そんな話ありますね)。このヒロインの断罪回避は、ぶっちゃけこの人だけ味方にしておけばいけるとか。
といいつつ……私はそもそも壮大な物語を書いたことがないのでこの辺についてはまったく自信がありません。
なので『書くな』なんて言えないけれど……どう考えてもいばらの道じゃないですか。壮大な物語って。
ひとまず完結実績と経験値を貯めて、今の自分なら完結できるかも、みたいな自信を持てるようになってからチャレンジするほうがいいと思う。
それに、枝葉ばかりにこだわって、幹から目をそらしていたらたぶんかなり順当に詰む。
なので幹となるメインストーリーをしっかり進めて、余裕があれば枝葉のサイドストーリーをからめるといいと思いますよ。
逆ハー要員と偶然出会う為だけのエピソードを書くのはしんどいけれど、断罪回避作戦中の主人公を偶然手助けしてくれたキャラと、行動を共にする中で仲良くなるなら一石二鳥。そんなイメージです。
ハーレムメンバー全員と一つ屋根の下、なんてのも、書くの超しんどそう。だって全員と平等に毎日会話する、ただそれだけで。チリ積もハード。
現地妻とかのほうが、遠征ついでに別の妻といちゃつけていいんじゃないでしょうか。私はなんの話をしてるんでしょうか。
投稿前に考えておくことはこんな感じですかね。
・とりあえず投稿前に5話は書く
・進む方向を決める(キーワードレベルでOK)
・エンディングまでの最短ルートを確保する
ん? もう始めてしまったからいまさら遅い?
どんまい。それなら、次の章へGo!
■第2章■終わりに向かって進め
■ルール2-1:どんなエンディングにしたい?
終わりをイメージできますか?
映画とかアニメとか漫画とかで、完結まで追いかけて、ああいい話だったなあと思うのはどんなエンディングの時でしょう。
私的には下記の2種類です。
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《1》最初の頃と比べて、圧倒的に良い状態で終わる
シンデレラみたいなやつです。つらい境遇の中で毎日を耐えてやり過ごしていた主人公が、王子様に見初められたりとかして、幸せな状態で終わるやつ。
《2》最初の頃と比べて、少し良い状態で終わる
日常で始まり日常で終わるけれど、以前より少しだけ変わった気がする。的なやつ。
国民的ご長寿アニメの映画をイメージすると分かりやすいです。あれは、映画が終わったら元の日常に戻らないといけないから。
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《1》は最初からそのエンディングありきで書き進めないといけないから、ちゃんと計画してから始めないと難しいと思います。
《2》は圧倒的に書きやすいけれど……ここで気をつけないといけない点は『日常と日常の間に《非日常》を差し込むべし』というところです。
それがない物語はかなりヤバイです。
だって、日常で始まり、日常が続き、日常で……
え。なにも始まらないで終わり? 嘘やん。
山なしオチなし意味なし。これがヤオイか。
書くことの労力を思うと、悲しみの完結。
いったいなにを書いていたんだろう。ここ数ヶ月の記憶がない。
クライマックスは盛り上げたいですよね!
■ルール2-2:終わりに向かって進め
なんかこう『なぜ人はエタるのか』みたいなエッセイで『応援してもらったら頑張れる』とか読んだことがあるんですが……応援の有無はエタまでの寿命を延ばすだけで、エタを無くすことはできないと私は思います。
だって人気が出なくて諦めたとしても、そこから最短距離で完結する方向に進んだらエタらない。
逆に『応援してもらえた嬉しい!』と、やる気をおこして連続して文章を投稿したとしても……終わりに向かって進んでなければ終わらない。
物語を完結させるには、物語を終わりに向かって進めないといけません。
1つの物語が登山だとしたら、その山が、低かろうが高かろうが、頂上を目指す道のりとなります。
登り始めて中腹に来たりすると、もう、簡単には戻れない。ここまで来たら、最後まで登るしかない。
道なき道もあるし、書くのがしんどい部分もあるし、どうやっても進めない場所に来てしまったりとか。でも、その山を必死によじのぼらないといけません。
道のりは、時に過酷で苦しくて、木々が鬱蒼としていると一寸先すら見えなくて怖い。
だから登る前はたたらを踏みます。
で、もう少し準備してから登ろうなんて思うと……延々、平坦な道のお散歩コースです。それでは物語が終われない。だって始まってませんから。
閑話休題とか、おまけとか、他者視点とかサイドストーリーを書いてる時に、物語が終わりへと進んでないのなら、何話書いても完結はしません。
■2-3:目標を達成したら速やかに締めるべし
唐突に物語が完結したら……人はそれを打ち切りエンドと呼ぶでしょう。
じゃあいつ完結したらいいのかというと……なにか大きな目標を達成した後だと思います。
その物語の到達目標。
例えば、卒業式で婚約破棄されたことが不幸の始まりだった悪役令嬢の時間が1年前に巻き戻る、みたいな物語なら……『卒業式をつつがなく終わらせる』が目的になります。
このパターンの場合は、泣いても笑っても、運命の日が過ぎれば終わりですよね。
他の例だと、例えば異世界恋愛ジャンルなら『ヒーローと両思いになる』が最たる目的となるでしょう。
その目的に向かってがむしゃらに進み、いざ目標を達成したら……そのクライマックスの余韻が残っている間に、さっさと物語を締めるべし。
『ああ、あの物語のクライマックス良かったなあ! あれ? どんなエンディングだったっけ?』
エンディングなんて、それくらいの影の薄さでいいと思います。ただし、速やかに締めるべし。
締めるタイミングを逃すとヤバイです。
さらなるエタの脅威が襲う。
クライマックスを書ききる筆力があったのに!?
主人公とヒーローが両思いになった後、両思いルートが始まってしまうと……もうこの物語、どうやって終わらせたらいいんだ、ってなりません?
『両家のお家騒動』とか『ヒロイン誘拐』とか2人に襲いかかるさらなる試練を乗り越える、みたいな。両思いイベントと同程度のイベントをもう1本作らないといけなくなるんですよ。完結タイミングを逃すと。
余韻を楽しみたかっただけなのに!
筆者の体力はもうゼロよ……っ!
なので私は、老婆心からこう言うのです。
悪いことは言わん、クライマックスの余韻があるうちに終わりなされ。
というわけで、考えたらその他にもまだまだありそうですが、主要エタの回避方法と完結への道のりは、こんな感じだと思っております。
・エンディングのイメージを持つべし
・終わりに向かって進め
・目標を達成したら速やかに締めるべし
でも私は別に、特別そういう勉強をしたわけではありません。このエッセイは、素人の持論であり、独断と偏見による独白であり、私が物語をいくつか書いてきた中で培ってきた野生の勘です。
そんなエッセイですが、完結に向かう人が増えて、完結作品が増えたらいいなあと思います。
執筆がんばってください!