ようこそ、名ばかり『違法ナイトミーティング』に(作成中)
数か月後……
留年や、出席などの単位不足といった、面白そうなハプニングイベントもなくメリヤス高校を卒業した
(学校関係のイベントは極力書かない)
自室。椅子に座り卒業証書のつつを、ポンポンと右手のひらに当てながら
卓上の、返却された免許書を眺めている。
(毎度の事だけど三ねんという長い時間も……すぎてしまうと一瞬だったな)
「おかえり免許証……サヨナラ僕の青春か……ははは……てこうしちゃいられない、バイトの時間だ!」
バーガー屋店長。先輩店員
「卒業の日くらい、電話一本で休ませてやるのに」
「この『まじめクン』め……もしかしてこのまま正社員になりたいとか」
「お……確かにバイト三年以上だからな……これといって働くところが無かったら……決まるまで働いてもいいぞ」
「ありがとうございます……考えておき~お願いします!」
「はは……変わった返事だな……よし、近いうちに書類用意しておく」
その夜、さっそく運転。
助手席に教官は居ない、当然だけど、自転車とはまるで違う……油断したらそれこそ大変、慣れるまで音楽なんてかけていられない……とりあえずうわさの空港行ってみよう
空港入り口でガードマンに止められる。
むろん彼らはこのイベントの為のガードマンだ。
違法とは雰囲気づけの名ばかり……先にも説明したが、主催者はちゃんと役所と警察に届け出をし料金も払っている。
「バッチ(通行資格)、をはいけん」
「バッチ?」
「このような物ですが。持っていなければ、お通しすることは出来ません」
バッチ。それを持つ資格は主催者が決め……ある日ポストに投函される……断る事も出来る、住所を特定されないよう返信封筒はなく『必要なければ警察に届けて』と書かれているだけだ
「見学だけで良いから」「いちげん様お断り」「そこをなんとか」「バッチを持った人か、主催者のすいせん書は」
などど問答して、弱気になって……涙ぐむ
困っているところに、キャリアカーに乗った零(『青き聖女』通り名)が来て……推薦し、ガードマンからバッチを受けとる
「いくら聖女だって、主催者の許可なく独断はいけない……特殊規約にて代償として、ここで誓いを立てていただこう」
「ジョニーが引退するまでに、彼に空港のジムカーナレースで勝つ」
大胆な発言だが……彼女の曇りなき眼に言葉が出ない
と、そこにジョーニーとうじょう
「ははは! わいに勝つてか、その一般車で……ちさい乳して、おおきゅう出たな。ってイデ!」
背後に現れた女性がジョニーの頭を殴る
「へんたい発言禁止」
「真弓さん」
「ええ……で聖女さん? じゃなくてお嬢ちゃん、その言葉にいつわりはないかい……あたしもジョニーも、きっとそこの彼も、嘘つきは嫌いだよ」
「ウソじゃない……今すぐじゃないけど、ジョニーがこんまけしない限り……何度だって再戦して、勝ってやる」
「ははは、いいねその目! 高校時代のあたしに……あたしに挑戦するジョニーの目にそっくりだよ」
「て……まさかあんたら、付き合っとるんか?」
「いや~」
「はは。まさかじょうだん……パーツ屋の店員と、かもじゃなくお客様……いや、先生と生徒かな」
「え今、かもって」
「ははは、おもろいな」
……そして会場……
スキール・エキゾースト……入り混じる沢山の音と非日なふんいきに……キョロキョロと挙動不審気味な僕を笑う僕。
と……不意に零が背中をたたき笑う
「ははっ。新人君、楽しんでる?」
「あっあ、はい」
「新人というより、むしろ不審者ね……怖いおにいさん達にからまれそう」
「……」
「心配しないで。出番まで案内してあげるから、あたしについてきて」
「ありがとう……でも出番て?」
「あ。走るの……それより早く、行くよ」
「うん」
「まずは滑走路……ここがバトルステージ。冗談でもここに駐車したり横断したら、最悪バッジはくだつだからきおつけて」
「うん……まさにドライバーの聖域だね」
「聖域か。良いね……つづいて管制塔は審判や管理……その下のロビーは、千円有料の冷房の効いた観覧席……蒸し暑い夏は完売するの早いからね」
「うん」
「格納庫は……整備したり、ドレスアップした車の展示会場……もちろん撮影OK……で、管制塔前の駐機場……カーオーディオバトルの会場」
「僕の目指すべき場所」
「そう……でも今のあなた(カオス(車))のレベルじゃ、存在すら気づかれないかも……当分は見てるだけにしなさい」
カーオーディオバトル。と聞いて簡単に思いつくのは大音量。重低音のダンスミュージック……だろうけどオーディオはそんな浅い世界ではない
ジャズやクラシック。ヴォーカル……雑味のないクリアで生々しい音を聞かせたり……車のダッシュボードが、まるでステージみたい狭い車内の壁が無くなったような……音場定位など多種目にわたるらしいが
今回はダンスミュージックバトルらしい
まるでダンスホール(クラブ)、圧倒的なパワー感に、とうぶん勝てる気がしない。
曲名知らずともノリのいい曲に体を揺らしていると……
アラームが鳴りおどろく僕に、零が頭をかきながら
「あっ。もう出番か」
「がんばって……僕も応援するから」
「言われなくても! 応援してくれるなら、どこでも良いから、出来る限り前で見てて」
「うん」
「それじゃあ……ってあたしの車。色とか覚えてるわよね」
「青……さっきもキャリアカーに載ってるの見たからばっちり」
「うん、じゃ」と零はゆっくり息をはくと一変、真剣な表情で格納庫へと向かった。
人波のうすいところをさがし、ロープ前に立つと、目の前の滑走路では二台の車がデッドヒート。バトルをしている
(ゲームやアニメでしか見た事の無いシーンが……今、目の前に)
興奮せずにいられない。
零とバトルする相手は……三ツ星の赤く平たいターボ車だ
(どう見たってパワーがありそう)
ストレート、中後半では赤……ターボラグあり
コーナーでは見事なドリフトで零
ほぼ同着……司会者がゴールそばの表彰台に上がるよう指示
「観客の声に任せる……赤が勝ったと思うやつ声上げろ……よし……青が勝ったと思うやつ声上げろ」
零(青)が勝ったが、赤のドライバーは「女だから色仕掛けだ」
「は! 女だからって、古い考えね……だったら来週。台風が直撃しようが再戦してあげるから、それまでせいぜい磨けば光る車とひからない腕(首)を洗っておきなさい」
と……零の挑発にみごとのって、言い返そうとする男の声ををさえぎらんまでのひときわ大きな声援がまきおこり、男をひるませる
(会場全員? もしかして対戦相手のファンまでかっさらっていった?)
「おっ。おう……お前こそ忘れるなよ」
「ええ……て、これ以上は時間の無駄ね。しつれいするわ」
そう言って零は観客と司会者(対戦者以外)に頭を下げ表彰台を降りる
会場の熱気に当てられたのか、零を追うように、気がつけば僕は格納庫の前に立っていた。
中では、数人の観客をよそに彼女が車をキャリアカーに載せているところだ
(ここには入れたのも彼女のおかげ……何か手伝えることはないか)
彼女に駆け寄ろうとした時「なんだひ弱そうな男だな」
零の言うところの『こわい系お兄さん』に肩をつかまれ言葉をうしなう
「何きょどってんだ」言い寄ってくる
「ストップ! ねえ、それ以上こわがらせたら……あんたは、ファンじゃなく敵だよ」
周囲が静まりかえる
「バッジを裏返して、みんなに見せてやれ」
と言うなり零は、自分のバッジを外し裏面を、ぼう時代劇のようにしゅういにみせつける……僕もまねしてまわりに見せた
裏面には僕のナンバープレートと、イニシャル、その下に推薦人と書いたらんに彼女のナンバープレートとイニシャルが刻まれていた
そして僕は、積み込みを手伝いながら
「どうだった初めてのイベント」
「楽しかった」
「それは何より」
「でもごめんなさい……僕のせいで、あんな誓いたてさせて」
「気にしないで。ここで一番になる夢のため……越えなきゃいけない壁、その予定が誓い(絶対)になっただけよ……しかもその本人の前でね」
「ごめん……でも君ならできるかもしれない」
「ありがとう」
読んでいただき、ありがとうございます。
『車に興味ない僕が、カーオーディオ、はじめました。』
第七部『ようこそ、名ばかり『違法ナイトミーティング』に』
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by.メガネ君(作者)