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アップグレード・十月(スポーツカー体験)

 少しずつ涼しくなってきたとはいえ、まだ長袖には早い十月のある日(仕事休み)。

『津出自動車』駐車場で僕は、零といっしょににカオス(車)のエンジンを覗きながら今後を相談した。

「月一万で今月はどこを改造できるかな?」


「ちまちまいじれば、まだまだ有るけど……変化を感じるレベルとなれば、ここからは一万円じゃ済みそうにないから……二、三か月に一度にした方がいい」

「うん」


(でも『おあずけ』を食らってるようでいやだな)

 顔を曇らせる僕をみて、何をひらめいたたのか零が小馬鹿にするように笑みを浮かべながら質問してきた。

「あんたの免許って、もしかして『オートマ』?」


「親のつてで、建設会社に就職した事も考えて『マニュアル』だけど……って免許ならカオス(車)買う時に見せたと思うけど」


「あ……そう言われたら、確かに……でもせこい理由ね。ここはうそでも良いから『男は黙ってマニュアル免許』て言ってほしかったわ」

「景気は良くなってるけど……僕の頭(学歴など)じゃまだ就職難」


「ははは、ごめんごめん……でも『マニュアル免許』なら、あたしの車も運転できるわけだ……やる?」


「やるって何を?」(いやな予感)


「だから、あたしの車運転してみる?」


(やっぱり)

「いやいやいや」

全力で拒否おことわりする僕に、零はまたしても笑みを浮かべ、首をかしげる。


「拒否してるわりに、あたしの車じろじろ見っるじゃない『嫌よ嫌よも好きのうち』……もしかしてこれが世に言う『ツンデレ』ってやつ?」


「いや違うと思う……けどある意味」

不意に考え込む僕の背中を、零が押す


「……あの零さん、まさかこのまま僕を運転席へ押し込むつもりじゃ」

「ちっ、ばれたか」

「ばれたかって」(みえみえ)


「でもあたしの車、興味あるでしょ?」

「う……うん」


 実は『スポーツカーが嫌いな男子なんかいません』と豪語したいくらい、すごく興味がある……けど彼女が大切にしている物をキズつけたくない。


「……だったら助手席で良いから乗ってくれないかな?」


 そして助手席へ……「いくよ」と、これ見よがしにキーをさし『アクセサリー』の位置まで回すと……オーディオ、計器に電源が入り針が一回転するなど演出が、僕の心をくすぐる……。


「おお」思わずもらすぼくに、零が「ふふん」と鼻をならす。


 そしてエンジンがかかり、再度演出と同時に『ドドドドド……』

「すごい、シートが」

「震えてるでしょ……ほら」

軽くふかしてみせる……心地良い排気音と振動に、動く回転系タコメーター


(たまらない……僕も、やりたい)

「はあはあ」あらく息をもらしていると……不意に助手席のドアが開き、視線を向けると、そこには零が立っていた。


「ほら運転席が空いてるよ」


 指さす彼女にながされるまま、運転席へ座りハンドルに手を掛ける。

(いつもと違う景色……狭いと同時に、生き物の中にいる、包まれてるという妙な安心感)


「しれじゃまず、エンジンを切って」

「え?」

予想外の言葉に、動揺を隠せない

「演出、エンジンスタートから始めたいでしょ」


 エンジンをかけると……当たり前だけど、目の前であの演出が始まり、助手席とはまるで違う振動に……自然と足がペダルへ伸びる。

「ペダルが、かたい」(けれどあの音と振動が僕の操作(いしき?)と同調する)

「でしょ……運転がこわ。じゃなくて、その、難しかったら店の周囲を大回りするだけでいいから……とりあえず行ってみよう」


「うん」少し回転を上げ、クラッチをつないだ。


『ガコン!』

「ちょっと」

「マニュアルなんて、教習所いらいなんだ」


 それから……何度かエンストしながらも……なんとかぶじ戻ってこれた。


「時速二十キロ前後で運転するなんて……はは」

「車を傷つけたくなくて」

「ありがとう……でも、原付や自転車はおろか、ジョギングしてる歩行者にすら追い越され、不思議な顔で振り向かれてたじゃない……吸排気のバランスが……ああもう代わって! このままじゃエンジンもあたしも壊れそう」


 そして席を交代する。


「いい、スポーツカーっていうのを体感させてあげる」

少し感情的にはなし、エンジンをふかす零。


(もしかしてドリフトしながら駐車場を出るのか?)『当然交通違反です』

交通違反と分かっていても、吹かされるエンジン音に期待してしまう。


 だが零はちゃんと左右を確認するなど、法定速度内で運転する。

低いエンジン音が安定してまるで高級車だ。


「確かにすごいけど、制限速度が有るんだから、いくら馬力があったってな」

鼻で笑いつぶやく僕にカチンときたのか

「ここじゃだめね、制限速度八十キロの自動車道に行くわよ」


八十キロ……軽自動車にはエンジン音がうるさくなって少しきついか

そしてのぼり道……ここでいつも速度が落ちる

けどまるで、のぼり道なんて存在しないみたいに昇ろきる

その運動性を見せつける

「スポーツカーっていったって僕の軽と変わらない……少しがっかり」

「なに言ってるの? 当たり前じゃない。スポーツカーは早い。早くはしらなきゃいけない(速度違反しちゃえ)。なんて危険な幻想は捨てなさい」



「だったらスポーツカーの実力はどこで」

「サーキット(走行会)ね……て、丁度良いわ今週のミーティングで見せてあげる」


そして旧空港(単走)(同乗走行)

ほんとの、スポーツカーと彼女の実力をみせつけられる。


「どうだった?」

「すごい……操作が忙しいけど……車とダンスをしてるみたいだ」

「車とダンス……面白い表現ね……」


読んでいただき、ありがとうございます。

『車に興味ない僕が、カーオーディオ、はじめました。』

第十二部『アップグレード・十月』

いかがでしたか? 気に入っていたたけたなら是非

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とてもうれしく、励みとなります。よろしくお願いします。


by.メガネ君(作者)

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