能力者の反旗 From:練消大魔王
「俺は!アイツらが生き残る為なら自分の命なんざドブにでも流すさ!」凩に力が宿る。
「馬鹿な?!!確かに死んだはずじゃ」【ヤツ】が驚きを顔に浮かべる
「ふん!この程度で死んでたまるか!」
「しかし、ヌシももう限界のようだな」
「ふっ、そういうアンタも辛そうだぜ」
「この一撃で全てが決まる。そうだな」それぞれの肉体にパワーが宿る。
「行くぞっ!うぉぉぉぉ!!!!」
「あぁ、ドゥラァァァァァァァ!」双方の技がぶつかり合う。
凩の右半身が消し飛んだ。
「ぐはっ……」
【ヤツ】は膝から崩れ落ち全身から血を吹き出した。
「ふっ、お前が先か……だが後を追うぞ。凩……愛しい───」
「お、お前は……まさか」
今となっては亡き物となった【ヤツ】に縋るが返答はない。
こうして世界に平和は訪れるが、それを救った彼の心に平和が訪れることは無かった。
事の始まりはあのドリンクを飲んだせいか。
新西暦1-100年file.6月6日
凩は歩いていた。毎日毎日学校に通う縛りから解放されたくか。
「あぁ、暇だな。結局学校サボったらサボったでやる事ないな」
昼を食べてないからか、空腹を感じた凩はコ▇ビニへ向かった。
自動トビラをくぐると軽快な音楽が流れ店員が「いらっしゃいませ」とこちらに声掛けをしてくる。
「ふむ」
って左に曲がり本コーナーを通り過ぎ奥の飲み物コーナーへと進んだ。
「ん?スーパーめちゃくちゃすごいドリンク?」
本日入荷!の触書。
430ml300円と、普通ならこの手の物を買う人は居ないだろうが凩はカゴに入れた。
その後食品コーナーでおにぎりを仕入れレジへ向かった。
「お会計584円になります」
「1000円札でお願いします」
「お釣り416円となります」
会計を終え出口に向かうとまた軽快な音楽が流れた。
帰りは店員の挨拶はなかった。
凩は近場の公園のベンチで一息着くことにした。
「ふぅ、さてさて。この謎の飲み物から」
ゴクゴクと一気に飲み干した。
「いやぁー美味いっ!高いけども」
おにぎりを平らげゴミをゴミ箱に入れ公園を後にした。
「どーしようか。んー、今更学校に行くのもなんだしな」
なんて考え事をしていた凩の方にブレーキ音を鳴らしながら車が突っ込んできた。
ドンッ!
凩は後方へぶっ飛ばされた。
「だ、大丈夫ですか?」
「ち、血が出てない?いや、ん?あ、大丈夫です」
「えっと……ごめんなさい!こんな時間子供がいると思わず飛ばしてました」
「いや、いいですよ!それより車に傷は?」
凩は車に目をやると少し呆れた。
「いやー、運転苦手でねぇ良くぶつけるんだ」
「あ、はい……」
「一応、君を病院に連れてかないと僕捕まるけど。どう見ても怪我も何もないし逆に僕が怪しまれそうだね。だからこの名刺を受け取っといてくれ」
「えっと民間軍事会社?」
「そ、そこの社長の柊だ。HPMCってんだけど知らない?」
「あ!ニュースで見たことある」
「まぁ主な活動拠点は海外なんだけど。どうも合わなくてね、それに今回の仕事はコッチだし」
「なんかやばめの事でもやるんですか?」
「企業秘密っても、まぁ君ももう関係者か」
「え?」
「君を轢いてしまったのは不慮の事故で狙ったものでは無いが、ここ出会ったのも何かの縁かも知れない。話してあげよう」
「あ、はい」
「求める人材は自然とその行動を取る」
凩は柊の話を半信半疑で聴き始めた
「超能力を得れる人間は決まっている。どれだけランダムにCPUに選ばせても毎度おなじ人が選ばれる。国は10年かけ適合者を絞り出し、如何に自然に手に入れさせるかを考えた末。あの変な名前のドリンクに至った」
「えっと……俺の飲んだ変なドリンクは超能力を手に入れる為の薬?」
「まぁそう捉えてもらっていいぞ、適合者が何時そこに現れるかは全てスパコンで決まっているから後はなすがままに。」
「もし俺が買わなかったら?」
「それは無い。最初の能力者の遠田マサシゲ第4代総理は【演算決定能力】を得ているからな」
「なんじゃそりゃ」
「彼は全ての事を予測し決定出来る。いい例に隣国との関係も解消したでしょ?まぁ僕らが動いたのもあったけど」
「確かにあのタイミングでアレをするのは未来予知者くらいだもんな」
「そ!それで彼は世界を能力者による支配権の国に変えようとしている。なぜ力のある物が虐げられるのか?とね」
「なんて事を……」
「でもね、彼はゲーム好きらしい。未来の確定を阻止するような最っ高なものがね」
「つまりアンチ側も必要と?」
「正解。君みたいな人たちがアンチとして働く事により大きく未来は変わる」
「未来予知できて───つまりソイツはアンチが出来ることは予想出来てもアンチの内容までは把握出来てないと?」
「YES!まぁっ君がどっちに着くは気にしてないけど。君は多分アンチに着くね」
「その言い方じゃ柊さんは敵みたいだな」
「んー、僕は中間持ちかな」
「ほんとかな」
「まぁやってる事は向う側、理由は君たち側と思えばいい。事件解決は平和的だろ?だけど武装投与は非平和的って所かな」
「お、おう」
「一応電話があればいつでも君の助けになるよって言っておこうか」
そう言って柊はオンボロ車に乗り込み走り去って行った。
「あ、うん……こんな展開もあるんだね」
後日学校にてfile.6月7日
「凩君、次からはちゃんと来なさいよ?」
「ん、はい」
学校に着いてそうそうに先生に呼び止められ職員室へ連行された。
凩はこの時能力の存在を完全に忘れていた。
「そーれとっ!休む時は先生に連絡ください!先生に言えない事情なら友達でもいいですから!」
「はーい」
「まったく……」
「おやおや、ミサノ先生。朝から叱責ですか」
「あ、イソシマ先生。凩君が新記録を更新して」
「?それは素晴らしい事では?」
凩に怒っている先生は少しゲームに浸かり過ぎて用語が出るが相手の先生は少し年配なので通じないようだった
「いえ彼は、遅刻欠席の常習犯なんです」
「そうですか、では私直々に説教をしましょうか?」
「げ、イソシマの説教は勘弁だぜ」
「こら!じゃっ、私は朝の当番がありますのでイソシマ先生お願いしますね」
「はい!」
「あの、イソシマ先生僕も用事が」
「たっぷり絞るぞ。さっ、生徒指導室に」
「ギャァァァ」
「あら、給食には間に合いましたのね」
「ミサノせんせー、イソシマほんとやばいです」
「でも素晴らしいですよ。イソシマ先生程生徒の事を考えている先生は居ませんから」
「はぁ……」
ガラガラ!
唐突にツインテールの女が扉を開けた。
「イソシマか?!」
「臭うわ」
「ん?違った」
「あのー白光露さん?給食中ですよ?」
「居た、君に用があるの」
白光露と呼ぼれた女は同じクラスのイトウに睨みを効かせながら言った
「あの、誰ですか……?」
小柄なイトウは萎縮している
「白光露すずねよ、貴女に用があるの」
「先生無視されてますね」
「そうね……多分この展開は告白イベですね。それならモブは黙るってもんですよ」
「そんなイベ学校で起きるわけないでしょ」
「なら宿敵イベ?」
「あ、先生ふざけてる間に連れてかれましたよ」
「あらっ!えっと皆さん!私はイベント消化に向かいます。ごちそうさまは各自で!では凩君行くよ!」
「俺もかよー」
凩は先生に手を引かれ校舎裏まで連れられた
「あんたが【反響】の能力なのは知ってるわよ!」
「ご、ごめんなさい……」
「謝るならその能力を見せなさい」
『先生、なんか違う展開ですよ』
『そうね、彼女なりの告白の仕方かも』
『そんなわけ』
「わっ!!!!」
イトウが叫ぶとキィィィィンとモスキート音が響き渡る
「つっっ、理解したわ」
「だ、大丈夫ですか?」
「さて、で?貴女は私の仲間になる気はあるかしら?」
「な、なんですか。私は吹奏楽で忙しいので」
「そうね、なら貴女が二度とその能力を使わないと示すなら見逃してあげるわ」
「つ、使いません!だからどうか」
「なら。この場で喉を潰しなさい」
「ひぃっ」
「出来ないなら私が!」
『凩君!突撃!!』
ドンッと先生に押され物陰から凩はとび出た
「おっととと」
「誰よあんた」
「こ、凩くん」
「別の匂い。アンタも能力者ね」
「え?」
『今よ!イトウさん!こっち』
白光露が凩に気を取られている隙に先生がイトウを救出した。
「ちっ、まぁいいわあれだけ脅せば使う気も起きないでしょうし」
「ま、まぁ落ち着こう」
「あんた、能力は?」
「なんだ、あー」
凩は昨日の事を思い出した。
「まて、仮に俺が能力者だとする。お前はなんで分かる」
「匂いよ。能力者は他と違う匂いがする」
「さっきイトウの能力を当ててたが俺のは分からないのか?」
「イトウのは聞いたのよ」
「何を?」
「【特定Q&A】対象の思考に問い掛けをし答えを導く能力よ」
「ならそれで俺も探ればいいだろ」
「貴方に聞いても貴方は能力について知らないと返ってくる」
「そりゃそうさ知らないからな」
「だけど持ってるのはわかった」
「で?実力行使って訳か。なら先手を──」
凩が前のめりに倒れた
足を切られたようだ。しかしすぐにくっついた
「なるほどね、超再生か」
「そうなのか?」
「どの程度のものかしらね」
スパッと首が吹き飛ぶ
「まぁ安心して、死んでも細胞さえ生きてればすぐ直せるから」
「その心配は無用だぜ?」
「な?!ってまぁある程度は想定済みよ」
「まてまて、俺を倒せないのは分かっただろ?それにあそこの2人が然るべき機関に連絡したらお前は困るだろ?」
「ぐっ、今日の所は引くわ。それとあんたを含め3人!もしこの事を言ったら殺すよ」
「言わねぇよ。おかしな奴と思われるだけだ」
「私も言いません!」
「そうね!これは秘密の共有イベよ!私は守る!」
「は、はぁ。まぁアンタらが悪用する様には見えないし……やっぱ急に得た力に浮かれる人は1部だけのようね」
「そりゃそうだろ。ってかお前も自治厨してる辺り浮かれてるだろ」
「うっ……」
「まぁなんだ。手伝おうか?能力者の抑制」
「え?いいの!」
「アンタを抑制する目的もあるがな」
「なんか言った?」
「いえ」
「わ、私は何か必要があれば呼んでください……行けたら行きます」
「そうねー、先生も一応能力関係ぽい話を聞いたら教えるわ」
「よーし!ここに正義の支社結成ね!」
すずねは高らかに宣言をした。
「お、おー!」
「先生、アイツ厨二……」
「いいのよ、だって中二でしょ!私もよく玩具の剣を持って街を駆け抜けたわ」
「さて、改めて自己紹介するわ!私は白光露すずね!白く光る露とかいて、すずねは鈴の音よ」
「俺は凩奏真だ」
「私は伊藤 響奈です……」
「知っての通りそこの2人の担任の水沙野 律美よ」
「よーし!チーム名みたいなの決めよ」
「フルートとか?」「ダサい」
「能力結社」「ありがちなのは」
「超能力現象調査部」「いいね!それ楽しそう」
「そうね、部活なら私が顧問できるし。それに早めに顧問しないと上からの圧力がね……先生的にも上手い話なのだ」
「ところで先生、さっきからなってる放送って」
「あ、あぁぁ!!授業よ!授業!急いで戻らないと!」
四人組は慌てて校舎へ戻ってゆく。その姿を2人組が観察していた事を彼らは知らない。
いいネームが浮かばなかったので練消大魔王のまましばらく行きます
作品名の案があるよーって方は青い鳥の方に是非