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なな 元の世界

黒永蒼斗…25歳、真子と同じ会社の一年先輩。営業だが物腰が柔らかくてしっかり自分の意見を言うことが出来る。身長170センチ少し細身。目が細くイケメンではないがその並なゆえに隠れファンがいるらしい…

物語にはハッピーエンドな終わり方とアンハッピーエンドな終わり方がある。

たまには、微妙な終わり方もあるけど…

私の場合、功績はハッピーエンドだけど気分はアンハッピーエンドだ。


目が覚めるとそこは見慣れた私の部屋のベットの上だった。

寝ていたの?

あれが夢ってこと?

パジャマだし、髪の長さも3年前の髪型の長さ。

ベットの近くにある鏡で自分の姿を見ると3年前の姿だった。

念のためテレビも付けてみるとやはり3年前のまま。


「ゆめ?ふ、ふふふ、あははははは!」


私は狂ったように笑い転げる。

だって、あんなに大変だったんだよ?

あんなに苦しくて辛くて…暖かくて幸せで…

それが夢だって…


「ぁーーーやってられん」


私はボロボロと泣いた。

泣きすぎて目を腫らしてコレは仕事にいけないレベルだったので仕事も仮病をつかって休んだ。

一日休み気持ちの整理しようとすると、不思議な事にドンドンと記憶が薄れていく。

ああ、夢って、そうだよね…。


「忘れちゃうのかな…」


その事が怖くなって気持ちを紛らわそうとお風呂に入る事にした私はパジャマを脱ぐと脱いだ服からジャラっと音がした。

恐る恐るパジャマのポケットを見る。

旅の途中で貰ったお守りとブレスレットに死にゆく仲間から託された願い玉、そして…レケからもらった手作りのネックレス。


「な…ぅーもーーーレケ…」


私は再び涙を流して、それらを大事に握りしめた。

そんな日が数日続き、流石に心配した彼が私の部屋を訪ねて来た。


ピンポーーンと鳴るドアチャイムに私は鍵を開けて扉をあけるとスーツ姿の少し細めの目をした男の人が立っている。

彼の名前は黒永蒼斗(くろながあおと)25歳、私の人生初めての彼氏にてプロポーズしてくれた人。

心配そうにしている彼の手にはコンビニの袋があり、プリンやゼリーを買って来てくれた。


「真子大丈夫?目真っ赤じゃん」

「んーちょっと涙がでる病気らしい」


そんな病気聞いたことないが…適当に誤魔化した。

長く離れ離れになっていたのがウソのように自然な感じがして私は複雑な心境になった。

他の人に彼が取られてなかったという点では喜ばしいのだが、どうも気持ちがここに付いてこない。

蒼斗は私の部屋に上がり、いつもの定位置に腰をおろすとテーブルに買って来たスイーツを並べた。


「どれ食べる?」


私が今食べたいものは見た目固いレンガの様なスイーツで食べると口の中で溶けるチョチョマという異世界のスイーツだ。

ふと私が悲し気な表情になったのに気が付いたのか蒼斗は私を抱き寄せた。


「大丈夫、すぐに良くなるよ」


頭をナデナデしてくれる蒼斗の胸に私は顔を埋めて目を閉じた。

こんなに辛いのならいっそ記憶から消えてしまえばいい…


それから数日が経ち、私の心は落ち着いてきて記憶もほとんどなくなっていた。

ただ、どこか心にぽっかり穴が空いたようになってしまい、ふとした時に気持ちが込み上げ落ち込む。

ちょっとした情緒不安定な女になっている。

しかし、以前の様に小さな事をグチグチ気に病む事もなくなったし、自分に自信がなかった時がうそのように自分は自分、人様は人様とどこか強くなっている自分がいた。


「真子、今晩泊まりに行ってもいい?」

「うん、いいよ」


同じ職場の彼との帰り道、おうちデートのお誘いを受けて私は承諾すると蒼斗は喜んだ。

夜ご飯は何がいいかとか、挙式は何処がいいかとか幸せの絶頂だろうこの時期なのに私の心はどこか晴れない。

それは男女のいい雰囲気の時も一緒で…


「真子…」

「…ごめん、蒼斗…」


蒼斗が迫って来ても、まったく気分が乗らない。

このままでは色々ダメな気がして私は思い切って蒼斗に相談してみる事にした。

そう、これは賭けだ。

ここで蒼斗は頭がおかしくなった彼女にどう対応するのだろうか?

最悪気持ち悪がられて愛想つかされて婚約破棄もあり得る…

でも、私のモヤモヤした気持ちがここにある限り、この先上部だけの幸せは手に入るけど、本当の幸せは手に入らないと思った。


「…真子大丈夫?」


そうだよね、その言葉が一番正解だよ…

妄想?空想?夢?で頭がおかしくなった彼女に一番最初に聞く言葉だよね。


「結構重症みたい…ホント、やばいよね」

「うーん。そのレケ?だっけ?そいつが俺の邪魔してるってことであってる?」

「え!」


どうやら蒼斗は私の話に付き合ってくれるようだ。


「そういう…ことになるのかな?」

「じゃ俺は魔王側につくな」

「いやいや、それはダメだよ。」


冗談ぽく言った蒼斗に私は真剣に否定すると蒼斗はちょっと驚いていた。

だって、魔王側は殺戮や強奪が当たり前の酷い奴らだ。

あんなやつらの仲間に蒼斗がなってたまるか。

ハッと我に返り蒼斗を見ると確実に引いていた。

私はシュンっと小さくなり反省すると蒼斗は私を抱き寄せる。


「そのレケとこんな事もしてた?」


うーんこれが難しい所で寒い日とか夜確かにくっついて寝てたし、抱き寄せるってより抱き付いてた事もあるし…

私が悩んでいると蒼斗の目が少しすわって私を睨んでいる。


「あ!えっとレケは子供だったから~」

「だったから?何歳」

「たしか15~18かな」

「それ子供だったからで済む歳?」


不機嫌になった蒼斗はぐいっと私の頬を掴みちょっと強引に口づけを奪った。

何度も蒼斗とキスをしたことがあるが、私は久々に深い口づけをされて息をすることを忘れていた。

チュと音をたて唇を離すと蒼斗は意地悪そうな顔になっている。


「まさか、こんなこともしてないよね?」

「はぁ…するわけない!!」

「そっか良かった」


その流れでベットに連れて行かれたが、やはり私の心はどこかで引っかかっていた。


最後まで読んで頂きありがとうございます!

とうとう元の世界に帰って来ちゃった~異世界?夢?に行ってた間の月日が戻るという暴挙…ふ…それなら記憶も戻せって思うよね?私は思いました(苦笑)まだまだ続きます(^_^;)

お付き合い頂けますと幸いです!

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