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ろく

黒い玉…魔王が倒された時に現れた玉。特別な力が宿っている。

side レケ


この黒い魔王の玉を壊せば道は塞がる。

そうすれば、マコが帰る道はなくなり、この世界にとどまる。

壊せ、壊せ、壊せ、壊せ!


頭の中に毎日毎日同じ言葉がグルグルと回る。

これはきっと魔王の呪いだ。

この玉を壊してしまったらきっとまた魔王が復活する。

そんなことわかっている…

マコはちゃんと役目を果たしたじゃないか、今度は俺がちゃんと役目を果たす時だ。

だけど、どうして…

俺をおいて行かないで…

俺を見て、俺に笑いかけて欲しい。


マコ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

挨拶周りと手紙の投函を終えて、私は部屋の荷物を片付けた。

とは言っても、ずっとレケと旅暮らしだったので、殆ど荷物はなく、ドレスや装飾品などシャルナにあげてポケットに入る宝物数個だけ残した。

元の世界に持って行けるかは、わからない。

元の世界に帰る道が開いてから、あまり長く居ても別れが辛くなるばかりで、私は思い切って今日旅立つことにした。

ただひとつ心残りが、レケとまともに話が出来ていないことだ。


「ゼロ、レケをどこかで見なかった?」

「いや、王家側も探し回っているけど、ここ数日姿が見えない」


異世界への出口が開いてから姿をくらましたらしい。

私は心配になり元の世界に戻るのを遅らせようか悩んでいるとシャルナに忠告された。


「マコ、ここでキリをつけて帰らないと帰れなくなるわよ」

「え…」

「レケのこと一番よく知ってるのは貴女でしょ?」


レケは頭がいい。

私の2つ3つ先を考えて発言して行動をする。

シャルナは私を引き止める為にレケが姿を消したのだと言いたいようだった。

私の性格をよく知っているレケならあり得る話である。


「大丈夫だ。俺達がここにいる。レケのことは任せろ」


アガゼウスがそういうと私の肩をバンっと叩いた。

かなり痛い…

私は悩んだ末に異世界への出口に向かった。

魔法陣は輝き黒い玉とその周りの空間が歪んでいる。

どうやら正常に機能しているようだ。

私はゼロとシャルナとアガゼウスに見守られ魔法陣に近づくとザワっと嫌な感じがした。

それを同じように感じたゼロとアガゼウスが即座に私のもとにかけ寄り周りを警戒する。

そういえば、ゼロとアガゼウスとシャルナはどうして武装しているの…?

魔法陣の向こうから現れたのは、生気を失ったレケだ。

目は虚ろで何処を見ているのか焦点が合っていない。

黒とも白ともいえないオーラを纏い、痩せてフラフラと歩いている。


「レケ…」

「…」


呼んでも返事がなく聞こえているのかいないのかもわからない。

ただ、レケが普通ではないという事はハッキリしていた。


「マコ…言いにくいが、あれはレケだが今までのレケではない。味方じゃないんだ」


ゼロが苦痛な表情をして武器を構える。

え?レケに剣を向けるの?


「伝書どおりの展開か…け、もっと根性がある奴だと思ってたのに」


アガゼウスも盾を構えてレケを警戒している。


「どういうこと??」

「異世界への出口を開く代償として、玉に心を奪われる。その者は正気を失い狂気となり次なる魔王の道しるべとなる。伝書にそう書かれているとレケから知らされていた。アイツはあの日自ら牢屋に入り自分を拘束したのに…」

「な…なに言ってるの?」


ゼロの表情から冗談を言っているようには思えない。

私を帰す為の代償?レケの心?拘束?


「来るぞ!!!」


レケは武術も魔法もそれほど強くはない。

しかし、いつもみんなをあっと驚かす戦略で魔物たちを倒してくる。

そして今回も…レケが魔法攻撃をしてくる構えをしたかと思ったら、森から召喚獣が飛びかかりゼロとアガゼウスは吹き飛ばされ私一人になる。

虚ろな目のレケはお構いなしに私に魔法攻撃を放つと私に直撃する瞬間別の魔法攻撃に相殺された。

後方にいたシャルナである。

シャルナは詠唱を唱えていたようで連続して魔法攻撃を放つとレケを魔法陣からはじき出し、駆け寄ってきて私の背中を押した。


「マコ!行きなさい!!」


詠唱で溜めた力を結界に注ぎこみ、黒い玉の魔法陣と私以外は結界の外に追いやった。

シャルナは満面な笑みを浮かべて私に手を振るとレケとの戦闘態勢に入った。

レケとゼロとアガゼウスとシャルナの三人が戦っている。

仲間同士なのに…みんな…

私は心臓を締め付けられて涙が止まらない。

いたい…心が痛い…

あと一歩、踏み込めば歪んだ空間に入る所で私は踏みとどまる。

このまま帰ってもいいの?レケはこのままでいいの?

レケの召喚獣との闘いで傷を負っているゼロやアガゼウスは?

魔法で対戦しているレケとシャルナは?

私だけ帰ってもいいの?


「行け!!!マコ!!!レケの願いを叶えてやれ!」


ゼロの声に私はハッと気が付いた。

レケの願い、レケの思い、レケの…

レケを見ると虚ろな目に一筋の涙が流れているのが見えた。

そして…少しだけ口元が笑っているように見え、私は両手を口に当てて震えながら泣くのを必死に堪えた。

みんな…ありがとう…

皆に深くお辞儀をして最後の一歩を踏み込むと景色が歪んでいく…


「ぅ…レケーーーーー!!!」


最後に一言叫ぶと目の前が真っ暗になった。


最後まで読んで頂きありがとうございます(*^_^*)

この調子だと毎日2回更新出来る~かも!

って思ってると失敗するので、ぼちぼちやります~(^_^;)

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