いち
早中真子=25歳で異世界に召喚された主人公
レケ・スージス=スージス村長の孫、15歳。英雄召喚を伝書で受け継いでいる一族
異世界に召喚された私が、勇者と共に魔王を倒す英雄。
そんな無茶振りなと思っていた私だったが、それはもー伝記本三冊出来そうなくらい色々あって、なんと魔王を倒した。
え、そこ省略するの?と思うかもしれないが、正直私としてはその後のことの方が大問題だった。
現時点で異世界に来て三年が経過している。
もといた世界でもやはり三年が経過しているのだろうか…
プロポーズしてくれた彼は、もう私のことなんて忘れて、他に彼女作って、もしかして結婚してるとか…
私がこの異世界で頑張れたのは、レケの言葉があったから。
「魔王を倒せば、元の世界に戻れるかもしれません。伝書に異世界への扉が開かれると記載がありました」
レケは出会った時はまだ幼さが残っていた少年だったが、今ではすっかり大人の姿になり、身長も私よりも頭ひとつ分高くなり175センチぐらい、顔立ちも大きな目は変わらないけど凛々しさがプラスされて、冷静に状況分析を行い的確に指示をくれる立派な策士だ。
正直、私がいなくてもレケが勇者パーティーにいることの方が魔王討伐の貢献率は高かったと思う。
ついでに、魔王を共に倒した仲間も紹介しておこう。
勇者は平民だが実は王族のゼロ。
彼と合流するのはかなり大変だったので省略。
正義感が強く、優しすぎて周りが見えなくなることもあるが本当に良いやつだ。
黄金色のちょっと天然パーマが入った髪に意思の強い瞳が特徴で、身長は私とレケの間ぐらい。
神官のシャルナは生まれも育ちも神官一家の三女。
もー天使みたいに可愛い。
透き通る白い肌に少し赤みかかった絹のような桃色のような髪色。
こんな儚い少女が魔王討伐とかダメでしょうと思ったのは出会った初日だけ。
半端なく格闘技が強く、更に魔力も桁違い。
戦闘が始まれば鬼神のごとく一番無双している。
可愛いのに…強いってギャップ萌通り越して、引きましたよ私。
そんな彼女が私の一番の親友になったので驚きだ。
最後に、こってこての戦士、アガゼウス。
一言、筋肉バカ。
いや、本来は由緒正しい戦士一族のエリートらしいのだが、やたら筋肉鍛えすぎて、それを自慢するのごとく、度々上半身裸になっている。
途中で手に入れた伝説の盾を装備させた時は、戦闘中裸に盾持ってた…本人いわく盾と筋肉が鎧を上回った結果だと言ってたけど、その光景は異様でしかなかった。
このパーティーの中で、私の役割が気になる所だろう。
私の早中真子はなんと…
ただの道しるべだった。
最初は気がつかなかったが、この異世界で「次に何処に向かったらいいか」がわかる能力があった。
矢印が見えてると言うべきか、とにかくぼんやりと何となくわかるのだ。
しかし、この能力は魔王を倒すために発動している能力だったらしく、魔王を倒した段階でぶっちゃけ無能になった。
しかし、倒すことに貢献したことには間違いないので、王様は私を含むパーティーのメンバーを今現在、城でもてなしてくれている。
魔王を倒して祝賀パレードが終わり、数日経ったある日、私は城の中でレケを探していた。
基本、英雄様になった私は自由でどこを歩き回っても怒られないらしい。
言い方を変えれば放置状態ともいうが…
他の皆は色々と大変そうだ。
ゼロは予想通り姫と結婚させられそうになっているし、シャルナは王子に見初められてるらしいし、アガゼウスだって騎士団長の後継者にと引っ張りだこ。
それはレケも同じで、色々なお偉いさんから呼び出されて私とゆっくり話をする暇がないとか…
私?
わ、わたしだって、色々大変で、縁談の話をもらって断っている。
まぁ、相手は50歳のおじさまでしたが…オホン。
いや、私には元の世界に彼がいるのだ!
今日こそはレケを捕まえて、元の世界に帰る方法を教えてもらわなければ!
待女さん達に聞き込みをして、なんとかレケの居場所を突き止め向かうと、そこは城の素敵な庭園の中にポツリと建っている白いガゼボだった。
中のベンチに見える二つの影に私は目を細めて誰か確認する。
ひとりは間違いなくレケ、もうひとりは美しい空色のサラサラ髪の女性だった。
明らかにいい感じのふたりの雰囲気に私は話しかけずらく、後退りながら静かにその場を離れた。
そうか、そうよね、レケも今まで大変だったから、これからは恋のひとつやふたつ、あってもいいものね。
私は親心になりながらひとり頷き部屋に戻ろうとすると、背後から肩をガシッと捕まれた。
「マコ、なに勘違いしてるのですか」
その聞きなれたレケの声に私はハハと乾いた笑いをして、振り向いた。
「いやーお邪魔しちゃいけないかなーと」
「あの方は王族に支える策士です。情報交換をしていただけです」
「そ、そうなんだ。」
ちょっと疲れ顔で少し不機嫌なレケに私はバツが悪くなって、早速本題を聞くことにした。
「ところで、私の元の世界に戻る方法って何かそろそろ教えてもらえないかなーと思って。」
私が少し控えめに質問すると、レケはピクリと眉を動かし、更に顔を曇らせる。
レケが忙しいのはわかるけど、私だってここで引き下がる訳にはいかない。
「その、そろそろちゃんと準備しないといけないかと思って。ほら、何か必要な物があるとか?」
「…そんなに元の世界に帰りたいですか」
「そりゃ、もちろん」
「…彼…ですか。もう待ってないかもしれませんよ」
いつものレケより、冷たい言葉がストレートに刺さる。
私はグサリと傷ついた表情をした。
泣きそうなのを我慢して、声を絞り出した。
「そうかもしれないけど…待ってるかもしれないし、仮に待ってなかったとしても、やっぱり色々置いてきたから帰りたいな…」
「っ…じゃ、ここにこれから残していくモノはどうするんだよ…」
いつもは丁寧すぎるぐらい丁寧な言葉づかいのレケは、実は年相応の言葉にかわる時、心の叫びだと私は知っている。
「レケ…」
「…もう少しだけ待って下さい。ちゃんと調べていますから」
レケは私の顔を見ずその場を去って行った。
私もわかっている。
正直、皆と別れるのは寂しいし、辛い。
何度、この世界で生きていこかと悩んだことか。
でも、どうしても彼にもう一度会いたいのだ。
それだけ、ただその望みだけ…
最後まで読んで頂きありがとうございます!
この物語は結構一気に最後まで書きました。なので、じっくり読みなおすと変な所がポツポツと…し、指摘してくださいね(;・∀・)
出来れば優しくお願いします凹




