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じゅうなな

バトルシーンは難しい…

ドラゴンの背中に乗って、約半日飛び続けてやっとの事で鬼山付近にたどり着いた。

空から鬼山に近づくにつれて空気が重く熱くなる。

空を旋回しながら山の頂上付近の様子を伺うと、魔族やその他の生き物がいる様子はなかった。


「ライラ、降りれそう?」

「さすがに溶岩が近い所は熱で危ないから…あ!あそこなら降りれるかも」


そういうと頂上から少しだけ離れた崖にゆっくりと降りた。

私はライラの背中から滑るように地面に降り立つと、魔王との決戦の場所を遠目で眺め、あの時の記憶が鮮明に戻り、恐怖を感じた場所にひとりでいる事に寒気がした。

そんな弱気な自分の頬を両手で叩き、気合を入れると決戦の場所に向かって歩き出した。

私の後を人間の姿に戻ったライラも追いかけて来ると、魔王が最後落ちた溶岩付近にたどり着く。


「あつ…」


体が解けそうな熱い空気に長居は出来ないと思い、急いで辺りを見回した。

しかし、特別なにもなかった。

見当違いだったのか…そんなまさか…と落胆をしそうになった時、陸路の入り口から声が聞こえて来た。


「まさか、こんな所で逢えるとは…」


その声に私は聞き覚えがあり、振り向くと黒いフードを深くかぶり、両脇に二匹のウルフのような魔獣を従えている。

昨日見た魔族の者よりもさらに濃い黒いオーラを纏っている。

私は身の危険を感じた。

でも…でも、その声は…


「マコ、下がって!」


ライラはドラゴンの姿に変身をして、こちらにゆっくり向かってくる魔族に咆哮を出すと魔族の魔獣も威嚇をしてくる。


「お前を仕留めれば、あのお方もさぞ喜ぶだろう。やれ!」


そう言うと二匹の魔獣が一斉に襲い掛かり、ライラは口から炎を出して応戦した。

私は黒いフードの男を凝視して動けないでいた。


「マコ――!逃げて!!」


傷を負いながら戦っているライラに私はハッと我に返り走って頂上に向かうと一匹魔獣が追い駆けてきた。

魔獣は私の背中に飛びかかり首に噛みつこうとした瞬間、剣を持った青年が空から降ってきて、魔獣の頭を剣で貫いた。

オレンジ色の髪の青年はすぐさま剣を引き抜き魔獣の首を切り落として、ライラと戦っている魔獣にむかって駆けて行く。

上空にはドラゴンが1匹旋回をしており、オランの見事な攻撃に私は関心をしていた。

黒いフードの男は魔獣がやられると思ったのか来た方向に去って行くと、オランがもう一匹の魔獣を仕留めていた。


「ロイ!大丈夫ですか?」

「マコ?」


私はその場にぺたんと座って黒いフードの男が去っていた方向を眺める。

あの声は…あの声は間違いない…なんで…

戸惑い混乱している私の心に何かが話しかけてくる。


『救えるのは…あなただけ…』


そこ言葉を感じて溶岩の方を見ると白く輝く玉が溶岩からゆっくりと浮上してくる。

そして、虹色に輝くと光は弾けて、魔王と一緒に消えたはずの聖剣が輝きを増して現れた。

蒼柄には、勇者の証が刻まれている。

以前魔王を倒したときの聖剣よりも更にバージョンアップしていた。

私とオランとライラは、その暖かい光を放つ聖剣の復活が勇者が復活する希望だと感じた。

私達は聖剣を回収して、急いでドラゴン村に戻るが半日かかった。

ドラゴン族の一人が慌てた様子で駆け寄って来る。


「ライラ嬢、大変です!ドラガル街が魔族に襲われています!」

「なんてこと…」

「まだ、ライデン家の兵が応戦して何とか防いでいるらしいですが…時間の問題かと…」


私はレッドやシンバルさんや気のいい酔っぱらいのおじさんの顔が浮かんだ。

しっかりしなければ…混乱している場合じゃない…

助けに行こうと言おうとした瞬間、ドラゴン族の皆がライラに申し出た。


「俺たちはライデンの人たちに助けてもらいました。」

「ライラ嬢、行かせてください!」

「俺も、このまま見殺しになんて出来ない!」


ライラは悩んでいた。

ドラゴン族の皆をこれ以上犠牲にしたくない、その思いと助けに行きたいという思いで。

私もやっと手に入れた聖剣を早くゼロの所に持って行きたい。

でも、ここで彼らを見捨てて行っては、本当に皆を救えることになるのだろうか?


「ライラ、私もライデン家の人達や…ドラガル街の民を助けたい!」

「マコ…そう、そうだね…英雄様の導きを信じる!行くわよ!!」


ドラゴン族の皆は一斉にドラゴンへと変身をしてドラガル街に向かった。

オランは私を引き止め、物凄く怖い顔で睨んでいる。


「ロイは行ってはダメです。ここに残って下さい」

「私が助けに行こうって言ったのにそれは出来ないよ」

「いいえ、正直この戦いに勝機があるとは思えません。ここでみすみす英雄を差し出す訳にはいきません!」


確かに魔族が街を攻め落とす時は一匹二匹の魔族ではない…

その大勢の魔族に対抗する兵士がドラガルの兵士とドラゴンを足しても勝てるかどうか…


「…オラン、頼みが」

「お断りします!」


まだ頼みの内容も言ってないのに間髪入れずオランは断って来た。

私は聖剣をギュッと握りしめて、願いを込めてオランに差し出した。


「これをゼロに渡して欲しいの」

「ダメです。これはロイが渡すべきです」

「私はここで戦わなくてはいけないの。だから…」

「っ…あなたは、何も分かってない!!自分の命がどれほど大切なものか!人々にとって英雄がいることでどれだけの希望を与えているのか!俺にとっても…」


オランは顔を赤くして、これまでで一番真剣に私を叱っている。

私はそんなオランの気持ちを真剣に受け止め、聖剣をオランの胸に当てた。


「私は”道しるべ”。私がこうするべきと思ったのだから、それを信じて欲しい。お願いオラン、貴方に託したわよ!」


私は無理やり聖剣をオランに預けて、ドラゴンになって私を待っていてくれたライラの背中に乗って飛び去った。

きっとオランなら聖剣をゼロに渡してくれるはずだ。

上空から見ると、ドラガルの街の半分はすでに魔族に占領をされていた。

無残に建物は壊され、中央にある塀とゲート付近で魔族とドラガルの兵士が応戦をしている。

ライラの指示の元、ドラゴン族の皆は一斉に口から炎を出して、今にも塀を抜けようとしている魔族たちを一掃して後方の魔族は一旦退避をした。

大きな歓声とボロボロになった兵士たちは泣いて雄たけびを上げていた。

ライデンの兵が集まる所にドラゴンたちは降りたち、武装してボロボロになっているレッドがライラの元にやって来る。


「なぜ戻って来た…折角チャンスを与えてやったのに…」


その表情は怒りと悲しみの表情で声も少し震えていた。

私がライラの背中から降りるとライラはドラゴンから人間の姿に戻り、レッドに負けじと睨み返している。

ライラの美しさにため息を出す兵士やざわつく周りを気にもせず、ライラはレッドの頬に平手打ちをした。

レッドは驚き目を丸くしているとライラがレッドの胸に自分の額を当てた。


「これで今までのは全部帳消しにしてあげる。みんなを助けてくれて…ありがとう…」


レッドはみるみると顔を赤くして目が泳いでいる。

私と数名の兵士はニヤニヤして二人を眺めているとシンバルさんに話し掛けられた。

シンバルさんは片目と頭に包帯を巻いており、負傷している姿に私は息をのんだ。


「なんとか大丈夫ですよ、そんな顔をしないで下さい」

「あ、ごめんなさい」

「戻って来てしまったのですね…」

「すみません、せっかくのご好意を…」

「いえいえ、本当にありがとうございます。しかし、一旦は引きましたがまた魔族は攻めて来るでしょう、ここはもうダメです。どうか今のうちに…」

「…もうじき、勇者が復活します。諦めずに持ちこたえて下さい。希望を持って下さい。私には戦う力はありませんが、共に希望を持つことは出来ます!」

「英雄様…」


勇者は復活する。

聖剣が蘇ったように、奇跡は必ず起きる。

私は道しるべとしての直感がそう告げていた。

ただ、ここの戦いに勝てるかどうかは正直解らないし、ゼロが復活したとして助けに来る保障もないけど…

それから2度の魔族との交戦を行い、戦いの疲労が積もって行った。

私は戦う事が出来ないので、救護の手伝いにあたり傷つき命を落とす人々に心を痛め、自分の無力さを悔やんだ。

私がもっとアガゼウスの様に強ければ。

私がもっとシャルナの様に回復魔法が出来れば。

私がもっとオランの様に戦えれば。

私がもっとレケの様に戦略が出来れば。

私がもっと、勇者ゼロの様に皆を助ける事が出来れば…


3回目の魔族の攻撃にとうとう壁が壊され魔族がなだれ込み、戦況は最悪な事態になりつつあった。

戦えない民やけがをした兵士は出来るだけ地下の抜け道を使って逃がし、最後まで戦う兵士やドラゴンのみを残して攻め込まれていた。


「…マコ、ありがとう。もう十分よ」


綺麗な肌が傷だらけになり、ドラゴンの羽根が所々破れているライラは私に頭を下げた。


「誰かマコを連れて逃げて」


そうドラゴン族の仲間に告げたライラに私は首を横に振る。


「ライラ、私は戦うと言った。ここで逃げる訳にはいかない!」

「英雄どの、その気持ちは感謝する。しかし、ここで貴方を失う訳にはいかない」


ライラの横にいたレッドもフラフラになり刀を杖にして立っているのがやっとの状態だった。

10名ぐらいの兵士とドラゴン族が3人しか残っていない状態でじりじりと魔族に詰め寄られている。

こんな絶体絶命の時って、前の旅の時もあったなっと私は思い出していた。


「私は最後までレッドと戦う。マコ、私の一生のお願いだから逃げて…」

「わたしからも頼む」


私はグッと目に涙を溜めて自分たちはボロボロなのに私を心配している二人に深く感謝した。

助けたい…私は助けたいんだ…

いつも助けられ、守られて、私が出来る事はもうないのか…こんなときレケなら…

一斉に魔族たちが襲い掛かってきて、ライラとレッドは私を背中で匿うように応戦した。

ひとりのドラゴンが私に近づき私の服を咥えて飛び立とうとした時、私は涙を流して胸元に付いていた花のブローチを強く握りしめて願った。


「お願い、助けて!!!」


すると花のブローチから渦を巻くような空間が広がり、そこから現れた蒼い柄の剣が一直線にライラを襲っていた魔物の胸を貫くと柱に剣が突き刺さる。


最後まで読んで頂きありがとうございます(*^_^*)

自分で書いててなんですが…展開早くない?!て内容です(;・∀・)

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