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じゅうさん

カイル…勇者が現れると伝書で書かれているアルドルフ村の青年、20才。

レベッカ…アルドルフ村の村長の娘、17才。

ゼロ…アルドルフ村でおじいさんとふたり暮らしをしていた青年20才。

金色の髪の青年は首を横に振ると私の横をすり抜け、木刀を構えて偽勇者の前に立った。


「魔王を倒し世界を救う勇者は人々の希望でなくてはいけない。カイル、お前は勇者じゃない!」

「は、村が襲われていた時、お前は逃げていたではないか!皆お前のせいで死んだんだ!!」

「っ…」


どうやら偽勇者と金色の髪の青年は知り合いのようだ。

そんな二人の間に入ったのはさっきの可愛い女性だ。


「ゼロは逃げてなんかいない!」

「うるさい!現に聖剣は俺が見つけたんだ。俺が勇者にはかわりない!」


金色の髪の青年は顔を曇らせ何も言い返さない。

私は彼の背中に手を当てて軽く押した。

青年はちょっと驚き振り返ると私は青年の目を真っ直ぐ見つめた。

直感だけど、私にはわかる。


「大丈夫、大丈夫だよ」

「…ありがとう」


金色の髪の青年は偽物勇者の方に向きを変え少し瞳を閉じて決意をかため、瞳を開けると再び偽物勇者を睨んだ。


「確かに俺は皆を救えなかった、聖剣を見つけることも出来なかった。それでも、世界を救いたい、皆を助けたいんだ!」

「黙れ!!」


偽物勇者が青年に聖剣で斬りかかると、青年は木刀で受け流し、素早く切り返して偽物勇者の背後に攻撃をあてる。

苦痛と怒りに任せて攻撃をしてくる偽物勇者に比べて金色の髪の青年の強さは本物だった。


「くそー!くそくそ!!」


偽物勇者は金色の髪の青年に敵わないと悟り、すぐそばにいた私の存在に気が付くと突然、捕まえようと手をのばす。

私が捕まりそうになった瞬間、ぐいっと後ろに服が引っ張られ、レケの後ろに回された。


「あ、ありがとう」

「ぼーとしてたらダメですよ」


私を捕まえ損ねた偽物勇者は更に焦り、金色の髪の青年を見ると青年の振り下ろす木刀に対して聖剣を振り上げる。

バキッっと大きな音を出して木刀が折れた事で偽物勇者がニヤリと笑うと更に踏み込み攻撃を続けた。


「はっはっは!!!俺が勇者だぁ!!!」

「あ…」


私が心配して身をのり出すと金色の髪の青年は腰から下げていた短剣を引き抜き聖剣をひと振りで弾き返し、その直後、聖剣はまるで硝子のようにバラバラに砕け散った。


「な…に…」


呆然とする偽物勇者を金色の髪の青年は睨み付けた。


「俺は本物の聖剣を探しに行く。もしお前が本当の勇者だと言うのなら、偽物に頼らず、本物を手に入れろ」

「そんな…あ、あいつがコレは本物だと持って来たんだ!俺は選ばれた勇者だって…」


そういうと、偽物英雄を指差した。

偽物英雄はギョっとした表情をして、逃げようするとすぐに群衆に囲まれた。

肩を落とし力なく項垂れている偽物勇者も騙されていたのかもしれない。


金色の髪の青年が私の所にやってきた。


「あの…」

「えっと…」


お互い何か感じる物があるがどう伝えていいかとモゴモゴしているとレケが助け船を出してくれた。


「わたしはスージス村のレケです。英雄さまと勇者を探しておりました。貴方は…アルドルフ村の方ではないですか」

「その通り、アルドルフ村のゼロ。ただ、俺は勇者ではない。」


そんなことない。

私は直感で彼が勇者だと感じていた。


「爺さんが聖剣を取りに行けと言った洞窟で聖剣を見つけきれなかった。俺の元に現れなかった…その間に村は襲われ皆殺され…生き残ったのは俺とレベッカとアイツだけだ。」


そう言うと項垂れている偽物勇者を見た。


「アルドルフ村に勇者が現れる。これはスージス村の伝書にも書かれておりました。」


レケの言う通り、それを頼りに数か月前アルドルフ村を訪ねた時廃墟と化していたので私たちはかなり落ち込んだ。


「英雄さま、マコ。どう思いますか?」

「え、あ、うん、その間違いない。貴方は勇者だと」

「…俺は村の皆を守れなかった…」


俯き勇者ではないと否定をする彼にレベッカが抱き付く。


「ゼロ…違う、違うんだよ。おじいさまはワザと何もない洞窟に貴方を行かせたの。」

「え?」

「あの日の前日、おじいさまと父が話しているのをたまたま聞いたの。「魔物が迫っている、皆村を捨てて逃げろって」あの時、父がおじいさまを信じて皆避難していれば、あんなことにならなかったのよ。」

「そんなことが…」


泣きじゃくる少女の頭を撫でている青年も俯き黙って泣いていた。


せっかく見つけた勇者を逃してはいけないと思い、私とレケは勇者と次の日も会う約束をして宿に戻った。


「やっぱり、ここは聖剣を、探すのを手伝わせてくれといって同行してもらうしかないかと」


勇者と認めない勇者に私とレケは作戦を考えていた。


「それなんだけど、聖剣はもうすでに勇者持ってるんだよね」

「どう言うことです?マコ」

「ほら、あの短剣。あれが聖剣だよ」

「あの地味な短剣ですか?確かによく鍛えられている剣でしたが…」

「あれに強い力っていうのかなーなんか凄いオーラを感じる。道しるべが言うから間違いない!」


あーだこーだと作戦を考え次の日青年に会いに行ったら、なんと青年が頭を下げてきた。

私とレケはキョトンとしていると


「俺を勇者一行の仲間にして下さい!お願いします!」


私とレケは顔見合せ、プッと笑ってしまった。

なんだ、こんな簡単に仲間になってくれるなんて。

勇者ゼロの伝説はここから始まった。


そして、色々な事があり、勇者としての自覚が芽生えて、成長していくゼロを私達は共に戦い支えながら私達も成長して行った。

魔王を倒す最後の一撃は神々しく成長した、あの聖剣。

最後は溶岩の中に魔王と共に消えていく。


聖剣は勇者としての役割の終わりと共に…


※※


遠くから地響きが聞こえた私は目を覚ました。

目の前にオランが険しい顔をして辺りを警戒している。


「…何の音?」

「ロイ、どうやら此処を探して洞窟を爆破しているようです」


ゼロの眠るこの空間はとても深い所にあるようで、まだ遠い爆発の音だったが、いつ此処が見つかるかも知れない。

リースがスイッーと飛んで来た。


「マコ、出口に案内するわ、今のうちに早く逃げて。」

「でも…ゼロとフラワー姫も一緒に」


リースは首を振った。


「ゼロはあの場所だから命を繋ぎ止めていられるの。生命の泉だから。大丈夫、私達だけなら、なんとか隠れ続けることが出来るから。さあ、急いで」


リースが空間の隅に飛んで行くと、私とオランは走って追いかける。

その途中、ゼロが眠る場所が見えフラワー姫が頭を下げてお辞儀をした。


「フラワー姫!!ゼロをお願いします。必ず、私が目覚めさせるから!!」


私は右手を振ってフラワー姫に背を向けてリースの元に走った。

横穴を抜け、一回洞窟の川の中に潜り、さらに洞窟の穴を抜ける。

出口に近いのか風を感じる所にたどり着くとリースは立ち止まった。


「私の案内はここまで、この先まず左を通って、次の分かれ道で右に行って、さらに上に上がってね」

「う…」


私は覚えられないという顔をするとオランが


「わかりました。」


と言ったので安心した。


「マコ…私達は最善を尽くすわ。でも、それでもダメなとき貴方は元の世界に帰りなさい」

「リース…」

「ありがとう、マコ。これでも感謝してるのよ」

「リース…気持ち悪い。」

「な!人がせっかく!」


もう諦めに近い弱気な発言をするリースに私はわざとらしく笑ってやった。


「私は英雄さまよ!この世界の道しるべよ。よく皆忘れてるけど…私が示す先は皆が幸せになること。リース、ゼロとフラワー姫を頼んだわよ!絶対私がなんとかする!」

「ふ、レケのお飾りと思ってたけど…まぁ、今もそうだけど!…期待して待ってる」


リースは手に力を込めると小さなブローチを作り出し、私の胸元に着けてくれた。


「お守り。またね!マコ」


そういうと、私の返事を聞かずにリースは飛び去ってゼロたちの元に戻って行った。

私はオランの案内のもと洞窟を出ると街とはかけ離れた川沿いに出た。

街に戻るのは危険と判断して、そのまま別の村を目指すことにした。


「この先はどちらに向かいますか?」

「…前、魔王との最終決戦をした鬼山に行きたいんだけど…」


あそこは最終決戦の場所だけあって、とても危険な場所だ。

うろついている魔物はとても狂暴で所々溶岩が溢れだし、休憩できる場所も少ない。

フルパーティで念入りに準備をして行くような所だが、私はあそこにもしかして聖剣があるのではと思ったのだ。


「鬼山は難しいですね…行くために準備が必要です」

「うーん。あ!」


そういえば、空から行ければ…

魔王が居たときは結界があり空から行く方法はなかったけど、今はあそこに結界はないはず!

空からとなると、やっぱりドラゴンしかない。

私達はドラゴンに変身できる民がいるドラゴン族の村に向かった。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

わかりにくい所が多々あると思います…私自身が後から読んでも「は?」と思うことも…凹ほんとスミマセン。ああ、私に文才があったらな…勉強嫌いが悔やまれます。。。

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