じゅう
オラン…15歳小柄で真子より背が低い。少しブラウンが入ったオレンジ色の短髪、瞳が大きい。
戦闘能力が高く、冷静な所もおり王都軍の副団長をしている。
私は予定通り、夜部屋を出てオランの部屋に向かった。
色々な事を言われたが、思ったよりも騒ぎが少なく、どうも戦士、騎士男同士の逢い引きは普通レベルらしい。
私は知らなかった…リアルBLが常識だったという事を。
これで、アガゼウスとセシルの件もしっくりくる…ような、違うような。
決して、負けて悔しいとか、そういったものではない。
部屋を出る頃には色々なメンズからオイルやジェルを渡されて重たいが、私は仕方なく受け取り持って行った。
オランの部屋は洞窟基地の深いエリアにあり、扉をノックするとオランが顔を出した。
扉を開き私を招き入れられると、私が持っていた手持ちの荷物が気になる様子だったのでいらないからオランあげることにした。
きっと、何かの役にたつだろう。
「色んな人にもらっちゃって」
「ありがとうござ…」
お礼をいいながら中身を確認すると、みるみるとオランの顔が赤くなった。
さっきキスをする真似をしたから、こういうことは慣れているのかと思ったが、以外とウブなようで少し安心した。
オランは私と同じぐらいの身長で恐らく年齢も若い。
出会った頃のレケぐらいだろうか。
そんな彼も、生死をわけた戦いの第一線に立っている。
私はチクリと胸が痛くなった。
オランは私からもらった袋を一旦おいて、部屋の奥に行くと私も来いと手招きをした。
そして、クローゼットの中に入ると秘密の抜け道があった。
これは、もしもの時、王族を逃がすための通路らしい。
その通路を進み、何度か別れ道を進むとひとつの部屋にたどり着く。
そこには十数名の武装した隊員と10年経っても相変わらず天使のように可愛いシャルナ、そして奥に椅子に腰をかけているエリック王子の姿があった。
数十人の武装隊員は私達に気が付くと警戒をして構えるとシャルナが先頭に出て遠くから私を観察している。
「オラン、その者が私に申し入れがあると?」
「はい。ロイ、前に出て」
「っ…」
私はシャルナの声を聞いた瞬間から、感極まって涙を堪えていたが、もう限界だった。
俯いて隠していた顔を上げてつい、いつものように両手を広げてシャルナに駆け寄ってしまった。
「シャルナぁぁーー」
「!?」
「な!」
シャルナがギョッとした顔をして、私とわかると同時に警戒していた隊員達が私に総攻撃を仕掛けてきた。
オランは必死に数名の隊員達の剣を防ぎ、シャルナも私に攻撃が当たりそうな隊員4人を持っていた杖でついぶっ飛ばしてしまった。
「止め!!!ダメ!」
シャルナの声に隊員はピタリと動きを止めて、私の頬にはツーっと運良くスレスレに避けた剣の傷がついた。
私は青ざめて固まっていると、シャルナが真っ赤な顔をしてガバっとわたしに抱きつく。
そして、めずらしく声を上げて泣いていたので、私も強く抱き返して一緒に泣いた。
ひととおり泣き終わる頃、エリック王子がゆっくりと歩み寄って私とシャルナの肩に手を乗せ、隊員達とオランに下がるよう指示を出した。
「ぅっ、エリック王子…」
「よくぞ、戻ってきてくれた英雄よ。まるで、夢でも見ているようだ」
「そんな…だって…」
私のせいだと言いたかったが、シャルナが私の口に手を当てた。
「違う、違うのマコ。ちゃんと説明させて」
「え?」
「貴方が帰ったあの時、レケは貴方の声で正気を取り戻したの。そして、魔王の球が悪用されないように封印しようとしたのよ」
「なら、どうしてこんな事に…」
エリック王子は思い詰めた顔をして口を開いた。
「王族策士の仕業だ…あいつらは王族の中での権利を手に入れる為にレケにウソの情報を与えて、魔王の球を暴走させたのだ。予定では暴走した魔王の球を王族策士たちが治め権力を手に入れる予定だったらしいが、そんな浅はかな考えはあの強力な魔力にかなわず、より力を与えて暴発寸前になった。あの時魔王の球が爆発していたら、この世界は闇の中だっただろう…」
「だから…レケは自ら魔王の球の器になって爆発を防いだの…私達は何も出来なかった…ごめん、ごめんねマコ。本当にごめん」
何度も泣いて謝るシャルナに私は悲しみと悔しさと、レケが世界を守るために魔王なったと聞いて、ほんの少しだけ嬉しかった。
私のせいで魔王になった訳じゃなかった。
レケは…やっぱり、レケだ。
「責任は我ら王族にある。シャルナは悪くない」
必死にシャルナを庇うエリック王子は相当シャルナに惚れているようだ。
私はシャルナの頭を撫で微笑んだ。
「まだ、諦めてないんでしょ?レケを私は取り戻したい」
「マコ…」
シャルナは涙を拭って泣くこと我慢して、私の手を両手で握った。
「もちろんよ、マコ。英雄様がここに帰ってきたんだもの、諦める訳ないじゃない!」
いつもの強気で可愛い天使のようなシャルナが帰って来た。
その後、現在の情勢を聞くとかなり深刻な状態で、人々の生きる希望がどんどんと無くなっているらしい。
エリック王子は各地の力がある者に協力を求めているが、皆自分を守るのに精一杯のようだ。
「やっぱり、戦力が絶対的に足りないわ。たとえ、戦力が増えても物資が足りなくて飢えてしまうし」
「んー、食料はつくればいいんじゃないかな?」
「作るとは?」
「そのままの事、畑仕事よ。幸い種や土地はありそうだし、仕事が欲しい人もいるだろうし、何よりお腹が空いてたら戦はできぬってね」
「農業か、確かに必要だ」
エリック王子は私の意見に頷いた。
「で、それを元に交渉を進める。魔族から民を守る組織を作るって訳ね」
「魔王討伐は人数が多いければ、良いってものじゃない、少数精鋭がいいってレケが言ってた」
「その為には…勇者が必要ね…」
「うん。シャルナ、ゼロに会いに行こう」
「行きたいのは山々だけど、私がエリックの護衛を抜けるわけにはいかないわ。彼に何かあったら…」
おっと、お熱い二人になっているのか。
しかし、他に腕がたつ人は…
「私でよければ、お供します」
話を聞いていたのか、オランが声を掛けてきた。
オランは私達に近づくと膝を床に着けて、王子に忠誠を表す。
「オラン…貴方の実力は確かに認めるわ、でも、まだ若すぎる」
シャルナが言うことも解る。
解るけど、…
「レケと旅を始めた時、このくらいでしたよ」
私はニッと笑うとシャルナは仕方がないとため息をついて、私とオランが勇者に会いに行く事が決まった。
早速、次の日に出発をして3日かけて東のジャッカル村西たどり着いた。
昔っから盗賊や野生動物、野生魔族が多い土地柄だったが、今回も中々の多さで、オランの高速攻撃が神に見えた。
「…副団長、鬼強ですね…」
魔獣の山を横にオランは息をあげていた。
「逆に、ロイが弱すぎて驚きです…」
嫌みか、嫌みを言うのか!
私は小さくなって魔獣から使えそうな素材の回収を始めた。
ジャッカルの洞窟にたどり着いたが恐らくそんな簡単にはゼロに逢わせてくれないとわかっている。
ここは正直に英雄さまが帰って来たぞをアピールするべきか?
どうしようかとジャッカルの町のお店で食事をしながら悩んでいると、ボッキュボーンのナイスバテイなお姉さんが話しかけてきた。
「ねぇーお兄さん達、私と遊ばなぁい?」
「我々は忙しい。」
オランは興味がないと邪険に扱っていると、お姉さんは今度は私の腕を掴んで大きな柔らかい胸を腕に押し当てた。
「甘くて美味しい花の蜜をたぁーぷり味わせてあげるからぁん」
「花の蜜…」
お色気ムンムンのお姉さんのウィンクに私は頷いた。
「オラン、疲れているでしょ?お姉さんに癒されに行こう」
「は?いや、わたしは」
「二人一緒に相手してもらってもいい?」
「もちろーん、いやん、楽しみ~」
「ちょ、ロイ。そんな事している場合では…」
オランは顔を赤くして私に抗議をするが、私は聞く耳を持たなかった。
「大丈夫、私も一緒にヤルから怖くない」
「え、いや、それは…まずいのでは」
戸惑いモジモジするオランの腕を引っ張り、ムンムン姉さんのお店に入ると中は完璧な大人のお店だった。
甘い声が色々な場所から聞こえて、色々な想像を掻き立てる。
ムンムンお姉さんは奥の個室に私とオランを案内すると、準備をしてくると言って部屋を出ていった。
「ろ、ロイ…わたしはこういう行為はあまり経験がないので、その…」
「ん?あ、大丈夫、心配しないではじめは驚くけど、何度もやれば結構慣れるから」
「な、な、な、何度も!?」
私の言葉にオランが興奮した瞬間、座っていたソファがバコっと外れて下に落ち、私とオランは穴に落ちて行った。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
本日9時に予約掲載したつもりが出来てなかった…あるあるですよね凹
寝ぼけてたのかなーうーん。