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楔荘 序~七罪と戦争~  作者: 智額 護/作者 字
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第六話 対極秘会議

「この組織のこの班の目的は、過去に地球から追い出したとされる異生物が再び侵攻してくるため、それを破壊もしくは追い出す形で厄災を防ぐもの。つまり、SF映画のヒーローってとこだね!」

 ケイが元気よく解説する。

「な? わかりやすいだろ? 稔!」

 ケイの鼻先が稔の鼻に触れるほどに顔を近づけられる。

「鼻息荒いよ……」

「フン!」

「まあ、簡単に言えばケイの言ったとおりだね」

 殺欺はそう言ってニッコリ微笑み、

「小難しく言えば……まあ、所々秘密事項が多いから隠す部分多くなるけど、この世界にいる異生物なるモノを殺すか追い出すかするんだ。この異生物、極秘って呼んでるんだけど。それについては組織が長年研究してきてて、組織の存在理由の柱とも言えるんだ。そいつを研究することによって、医療や科学に貢献するってわけ。最近、がん治療が随分進んだと思うでしょ? アレ、一部は組織のおかげでもあるんだよ。それに、極秘の存在は未だ謎が多くて、どんな危険を持っているかわからないから、組織が取り締まっているんだ」

 フフフ……と殺欺は怪しく微笑んだ。

「因みにその異生物というのが……」

 殺欺が続けて話そうとすると、

「殺欺」

 禊に呼ばれ、鋭い視線を突き刺された。

「ハハ……これ以上は機密事項だから言えない」

 ウインクして口元に指を置く。

「理解できたか?」

 禊が稔に話しかけると、

「あっ。えっと……なんとか」

「まあいい。わからなければ命令に従っていればいい」


 対極秘作戦では、極秘は隕石となって第二本支部の真上、つまりランドに落ちてくる。大きさは直径300メートルほど。それを護が受け止め、被害を70%カット。その際に裏拏が隕石にヒビを入れ、殺欺が隕石を破壊。そこで極秘と対面。

 表子と稔は極秘から半径20キロ内にいる人間を、日本支部のシェルターへ避難させる。

 禊子はぎりぎりまでエネルギーを蓄え、七穂は対極秘弾の銃で極秘の傷口に打ち込む。その際、極秘から半径10メートル内に入らないこと。もし入ったら、触手が当たり、あっという間にミンチにされるそうだ。

 ケイは対極秘用ミサイルなどをヘリから討つ。禊は本支部から指揮と獣撃砲を討つ。獣撃砲は禊の血液などを使って使用する。どう使用するかはわからないが。ちなみに、七穂が使う銃の弾は、禊の血液を腐敗させ100%濃縮したものが入っており、その中に禊の爪と髪が入っている。なぜこんなものを使うのかというと、禊の血液は使いようには薬にも猛毒にもなり、爪は相手に深く刺さり、体内の奥まで血液が入る。そして、髪には呪いの効果があるらしく、よくわからんが良いらしい。

 隕石が落下してくるのが明日9月14日。もしこの作戦が失敗したら、まず日本が消える。極秘は禊を殺したら、人間のいない世界に、人間のいない穢れの無い大地に禊を埋葬するつもりだそうだ。

 極秘は七ヶ月で世界から人間を消すような力をもった相手だ。そして、禊も、現に七日で国を一つ消したそうだ。この話はかなり曖昧だが。

「以上が作戦の内容だ。細かい動きは当日私が言う」

 禊がケイを見る。

「ほいほい。わぁーってるよ! おめーと極秘の接触を防ぎゃいーんだろ」

「うむ。もしだめならまた追い出せばいい」

「あのっ」

 稔が手を挙げた。

「ふむ、なんだ稔」

「極秘は、殺すんですか? そもそも、極秘はそんなんで死ぬんですか?」

「ふむ……」

 禊さんは閉じた扇子を口元に当て考える体勢になった。

「あいつは、そう簡単に死なないだろうし、私としてはできれば殺したくはない。だからあの時殺さなかったんだ……」

 禊が悲しそうな顔をする。

「あの時……?」

 禊には聞こえなかったのか、

「それから、あいつは私に夢中で回りが見えていないだろう。だからこそ隙がかなり多い。そこを狙え」

「はい!」

 一同が返事をした。

 会議が終了し、稔は護に話しかけられた。

「えと……七穂も」

 七穂も呼び止められた。

「ごめん、何か……」

 護は申し訳なさそうな顔をして、高い背丈を少しかがめて視線を合わせた。

「きゅ、急にどうしたんですか!?」

 七穂は驚いて声が裏返っていた。

「いや……この極秘やら厄災ってのは、大昔に元々俺らが作った事態なんだ。それに……一応一般人のお前ら巻き込んじゃって……なんか、申し訳ないっていうか……」

 護は言葉が出なくて困っていた。

「別に構いませんよ。だって、大好きな楔荘の皆さんのお役に立てれるの、本望でしたから!」

 七穂は拳を握って言った。だが、急に改まり、

「ほ、本望だなんて、気持ち悪いですよね!!」

 急いで言葉を取り消そうとした。

「あ、いや……ありがとう、七穂」

 護は心から感謝しているのか、そっと微笑んでくれた。

「実は、母から組織の話は聞いたことがあるんです。昔、組織に勤めていたことがあったらしく、とても強い七人がいるって……。稔は覚えてない?」

「あー、微妙」

「今のこの世の中を安全に暮らしていけてるのは世界のおかげなんだって、教わりました。だから、私は世界のために役に立ちたいんです」

 稔は七穂の言葉に心底驚いた顔をする。

「ご、ごめんなさい! 私ずっと一人でしゃべってて……」

「……ぐぅ」

「寝てる!?」

 護の鼻から大きな花提灯が出ていた。

「すげえ。触れても割れねぇ」

 七穂はやれやれ、と小さなため息と笑みをこぼした。

 ふと、稔は何か違和感を感じた。何か引っかかるような、記憶に引っかかる何かが。だが気のせいだと思い、それ以上は考えないことにした。

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