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楔荘 序~七罪と戦争~  作者: 智額 護/作者 字
18/34

第十六話 存在の罪

 やあやあ

 また会ったね

 前にあったのは何時かって?

 ほら、嫌好を倒した時。

 そのあと俺が出てきた。

 俺が誰かって?

 誰でしょう。

 まだ皆が知らない禊……かな?

 そうだね……

 うん。

 BGMを鬱っぽい曲に変えようか。

 その方が雰囲気出るし、盛り上がるし♪

 仕方ない。

 それじゃあ俺の話。

 自分から名乗るのはあまり趣味ではないけど……。

 存在の罪。

 それが俺の正体。

 ……まぁ禊自身、つまり怨とか禊子とかに分裂する前の、七つの罪を背負ったときに、ちょうど存在の罪を背負った。

 その罪が俺。

 実態を持たない俺。

 実態にならないなれない罪。

 イカレタ感情の存在の罪。

 あ、今のでわかった?

 うん。

 つまり、今みんなと和気藹々と楽しくやってる禊をプラスだとすると、俺はマイナス。

 其々の罪は感情で思考。

 憤怒の罪は真面目で怒りっぽい。

 怠惰の罪は面倒臭がりで睡眠不足。

 傲慢の罪は傲慢で冷徹、だけど異性に弱い。

 嫉妬の罪はウザい。すぐ嫉妬して殺そうとする。

 色欲の罪は異性が嫌いで、全てを愛そうとする。

 強欲の罪は様々な条件を出して意地でも願いを叶えようとする。

 暴食の罪はほんっとに、ただの犬。何時もは甘えてくるけど、自分を失うと狂犬。

 あ、そうそう。こいつらの名前決めたのも俺。

 だってそうじゃないと、纏まり付かないし。

 皆バラバラだから、悩んだり考えたりするといろんな感情と思考が脳ミソん中で暴れんの。

 特に酷かったときなんか、吐血してたし……!

 面白いのなんのって!

 アッハハハ!

 ……え、自分の吐血した姿見て何が面白いかって?

 これ、俺の姿じゃないし。

 俺ら八つの罪が入ってる入れ物みたいなもん。

 今は七つに分かれてるけど。

 俺はどこ居るかって?

 ……ナイショ。

 だって、言ったところで君にはわからないだろう?

 まだ科学とかそんなんで解明できない域。

 神の領域……とは言いたくないかな。

 俺は君ら人間と同じじゃないから。

 やだよ~人間なんかとお揃い一緒って!

 気持ち悪!!

 アッハッハァ!!

 聖女教徒なら理解できているかと思ったら、残念だったよ。

 結局人間は罪人なんだよ。

 この宇宙万物の世の中で自分ら人間が中心にいると思っていやがる。

 あーヤダヤダ。

 ……それに、この先出てくる書庫の中にあるはずなんだけど、俺の書いた論文を読めばこれから言う事が理解できるはず。

 『一者と二者は絶対理論上本当の理解はしあえない』

 つまりお互いを理解することは不可能なんだよ。

 なのに俺を知ろうとしたり矛盾を知ろうとしたり……。

 挙句、神をも知ろうとする。

 知らぬが仏って言葉作ったのお前らのくせに?

 クッソ笑える!

 結局知ったところでお前らが絶望するのは目に見えてるんだよ。

 『無知は幸いである』ってやつ?

 どこぞの愚者が唱えてたなァ。

 ま、そんなことクソほどどうでもいいんだけど。

 あー、なんかつまんねぇ。

 また神話の話でもしてあげよっか?

 気が向いたらまた話そう。

 今日は俺が疲れた。

 こんなに笑った日は久々だよ。

 死は常に側にいて、歯車の知らせを待っている。

 またおいで。

 何時でもここにいるから。

『君がそう望むなら』

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