狩り
悪い事は言いません。
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翌朝、京子は薄切りにした腹肉を乗せたトーストを静かに食べていた。
沙樹はというと、黒いTシャツと赤いショートパンツに着替え、化粧をしている。
淡いピンクのチークに、赤い口紅。
睫毛はマスカラで黒く長くなっていた。
「あ、そうそう。狩りに行くならナイフを持っていかないと」
思い出したように両手を合わせると、台所の引き出しから果物ナイフを取り出した。
「ねえ、それってまさか……」
「ふふふ、そうよ。人間を狩るの。京子も来てほしいの」
「ふぇ?!」
沙樹は不敵に笑うと、京子の手を引いて外へ連れ出した。
※ ※ ※ ※ ※
外に出てから10分経った頃。
閑静な住宅街の中で、小学3〜4年生ぐらいの1人の少年が泣いているのが見えた。
恐らく、迷子になったのであろう。
「あの子がいいわ。あなたは気付かれないように付いて来て頂戴」
沙樹は軽やかな足取りで少年の所へ駆け寄った。
「ねえ僕、迷子になっちゃったの?」
「うん…」
「大丈夫よ。ママの所まで連れてってあげるから」
「ほんと!?」
「本当よ」
沙樹は優しげな笑顔で少年の手を引いて歩き出した。
だけど、その表情には影が宿っていた……。
そして5分後。
沙樹は人気のない路地裏に入り、少年を電柱に追いやっていた。
「お姉さん、何するの!? やめてよ!」
彼女の手には鋭利な果物ナイフが握られており、キラリと光るそれは吸い込まれるように少年の首元に刺さった。
「あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!! やだよぉぉぉぉ!!!」
沙樹は笑って更に首元に傷を刻む。
無慈悲にも少年の悲鳴を無視して、目や胸にもナイフを刺していったのだ。
その様は、殺人鬼以外の何物でもない。
彼女の目はひどく冷めていて、もはや人間を人間として見ていないようだった。
京子が恐る恐る様子を見に行くと、そこには凄惨な光景が広がっていた。
少年は目をグジャグジャに潰され、胸や首には穴が空き、ピンク色の生肉が見えてしまっている。
穴からは血が吹き出し、沙樹の服も血生臭くなっていた。
※ ※ ※ ※ ※
「い、岩下さん……」
何をするかは見当がついている。
だけど、モラリストの京子には夢かと思ってしまうほど信じられないものだった。
そして何より、子供が殺されたという出来事が彼女の精神に大きなダメージを与えた。
「いい? 人間を殺すには人気のない場所がいいのよ。それに、子供の肉は柔らかくておいしいから」
それだけ言うと、沙樹は少年の死体を背負って家路についた。
京子は只々愕然として彼女の後ろを付いて歩いていったのだった。