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私だけのモノ  作者: 綾小路隼人
イタリア編

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各々の悦楽

あれから30分後。

男性はベッドの上で倒れ込み、高いびきで寝ている。

彼が視線をずらした隙に、強力な睡眠薬をカプチーノに混ぜたからだ。


彼のいびきを聞いた京子はしめしめと言わんばかりに口元を緩め、そっと男性の傍らに寄ると、持っていたナイフで頸動脈を掻き切った。

赤くてキラキラした鮮血が流れ、生き物のように鎖骨を伝っていく。

死んだかどうか確認するために彼の左胸に手を這わせると、電池が切れたように心臓が止まっている。

どうやら成功したようだ。


容姿も心も天使のような少女を捕まえて、一つ屋根の下で2人きりになった時の男性はこの上なく幸せだっただろう。

もっとも、その少女は天使の皮を被った食人鬼なのだが……。

そして食人鬼の目前で無防備にも眠りに落ちたのが運の尽き。

首を切られている事にすら気付かないままこの世から旅立つ事になったのだ。

そんな彼の死に顔は、心無しか幸せそうに微笑んでいるように見えた。


「意外と簡単だったわね。もしかしたら次も成功するかも♪」

「京子、慢心は禁物よ。ここは海外だし、全部が全部上手くいくとは言い切れないわ」

「それもそうね……」


自分より年上の男性を殺められた事に思い上がる京子を見た沙樹はピシャリと諭し、冷めたばかりの男性の死体をバスタオルに包んだ。

そうしている間にも血は止め処なく流れ、バスタオルを赤く染めていく。

バスタオルに包まれ、両腕で抱かれている男性の姿はさながら赤ん坊のようだった。


「さあ、もう帰りましょう。時間も時間だから」

「ええ」


2人は男性の家を後にし、彼の遺体を抱えて山へ戻っていった。

これから彼はバラバラに解体され、魚の如く塩を擦り込まれて食べられるのだろう。

若く新鮮な肉が手に入って、京子達の顔は歓喜に溢れている。


『新たな問題』がじわじわと近付いている事も知らずに………。

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