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私だけのモノ  作者: 綾小路隼人
イタリア編

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43/53

挑戦

まさか病み上がりにこんな話が思い浮かぶとは。

時刻は6時22分。

京子は湖で髪と身体を洗い、沙樹は小さく切った尻肉をトマトソースと一緒に煮込んでいた。

その肉を調理するのは、食人鬼の沙樹ですら初めてである。

それも相まって、京子は冷たい湖の中で成功を祈っていた。


クツクツと煮込まれている白い肉は、ついさっきまでは生きた少年の身体の一部なのだ。

そんな彼は今や、頭蓋骨を砕かれて血と内臓を抜かれてバラバラにされて、ただの肉の塊となっている。

そして頭部だけは辛うじて原型を留めているものの、肌は血に塗れ、サラサラだった髪は溢れた血で固まり、舌は切断されて短くなっている。

使い道が見つからないだけに、調理される肉よりも惨めに思えた。



※ ※ ※ ※ ※



「やっと、完成したわ♪」


沙樹は試合に勝ったボクサーのような笑みを浮かべ、タオルで額の汗を拭った。

小さな火が通った、海外の美少年の柔らかい肉。

その白い肉はみずみずしく輝いて見え、血のように赤いトマトソースと粉末バジルがそれを鮮やかに彩っていた。


「どんな味なのかしら……」


京子の脳内で徐々に興味が湧いてきて、口内に肉を一口含むと、今まで味わった事のない人肉の食感と味に驚いた。

肉自体は味が薄くて多少水っぽいが、濃厚なトマトソースがそれを見事にカバーしている。

トマトの酸味と甘味が縄の如く絡み合い、2人はこの調理法を選んで正解だったと大層喜んだ。


「岩下さん……凄いわ、こんなに完璧な料理を作れて。初めてでここまで上手く作ったという事は、ちゃんと考えてるのね」

「まぁね♪」


沙樹は誇らしげに口角を上げて髪をサラリとかきあげた。

己のため、京子のためと考えて人肉料理を極めていく彼女。

京子への愛が深まれば深まるほど、狩りへのやる気に拍車がかかっていくだろう。

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