無抵抗な舌
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加工が一段落した京子は、赤黒い内臓が露わになり、氷のように冷たくなった少年の死体を愛おしそうな表情で見つめていた。
暇を持て余して遊び始めたのだろう。
溢れた血で固まった髪の毛に指を沿え、彼の舌にスプーンをあてがった。
「痛くしないから、怖がらなくても大丈夫だよ。さぁ、あーんして~」
子供をあやすような口調と、いつもより微妙に高い声。
生首と歯医者さんごっこしている光景自体おぞましいが、患者を診察する看護師のような優しい表情が怖さを際立たせていた。
彼の口内には虫歯ひとつ無く、ケアを1日たりとも怠らなかったのが見て取れる。
京子はナイフを片手に握ると、刃先を彼の舌に沿えた。
「綺麗なお口だね~。でも、べろを切っちゃおうね。いい子だからじっとしてて♪」
そう言われて、少年の生首は心なしか怯えているような表情を浮かべていた。
そもそも、死体だから話す事はもちろん動く事もないはずだが。
「痛くないからね~」
ナイフの刃が舌に喰い込み、何の抵抗もなく裂けていく。
痛くないと言っているものの、それは切られている少年が既に死亡しているからであって、もし彼が生きていたらとんでもない激痛を感じて悲鳴をあげただろう。
やがて舌は真っ二つに切れてポトリと落ち、少年の口内は血に塗れていった。
「言われた通りにしてくれて、ほんとにいい子ね〜♪ さぁ、治療が終わったから、ねんねしましょうね〜」
京子は草の上に厚手のタオルを敷くと、少年の生首をそこに置いた。
その一部始終を、食材調達から戻った沙樹が物陰からそっと見ていた事に気付くのはそれから1分後の事である。




