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私だけのモノ  作者: 綾小路隼人
日本編
4/53

熱き接吻

京子の身だしなみがだらしなくなっているのに対し、沙樹は随分と綺麗な身なりをしていた。

長く艶やかな黒髪、ピンク色のシンプルなピアス、シミひとつ無い純白のワンピース。

その美しさは、高校生には見えないほどのまばゆいものだった。



「ところで京子。あなたは私だけのモノだから、私だけを愛すると約束してくれる?」

「ふぇ?」

「他の人の事は見ない。他の人の事は考えない。他の人に話しかけない。

 この3つの条件を守って頂戴ちょうだい。絶対にね」


沙樹は骨が付いたままの子供の腕にかぶりつきながら、自分だけを愛するよう京子に強要した。

腕の断面から流れる血が、沙樹の腕を伝ってフローリングの床に滴り落ちる。

その様は、まるで動物の死骸を貪り食うライオンのようだった。

差し詰め、京子はライオンに追いつめられたウサギといったところだろうか。


「私は、裏切られる事が誰よりも嫌いなの。もし裏切ったら……どうなるか分かってるわよね?」


沙樹は口周辺に付いた血をハンカチで拭うと、まだ少し血がこびり付いている手で京子の頬を撫でた。

そして…………。


___チュッ


唇から伝わってくる、柔らかい感触。

京子は自分が置かれている状況を必死に整理しようとしたが、それより先に沙樹は京子の唇に舌を入れた。


(こ、これはまさか!? い、岩下さんに……キスされてるの!?)


「んっ…ぁ…っふ、ぅ……」

「…はぁ……っ……ん……」


沙樹から唐突に仕掛けられた、京子への熱いキス。

やがてそれは段々と深くネットリとしたものへと変化し、今や2人は互いの唇を吸い合っていた。




それから数分して、沙樹は唇を離した。


「…は…ぁ……うぅ……」

「うふふ、良かったわ。あなたのその表情…」


彼女は舌なめずりをしながら小さく笑うと、愛おしげな声で囁いたのだった。

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