お昼寝タイム
祝☆連載2周年です。
時刻は11時32分。
血と嘔吐物に塗れた男性の肉を貪り食っている沙樹を前に、京子は子猫のように草の上で寝転がっていた。
パジャマのままでゴロリと横たわって、まだ体力が戻っていないのだろう。
「京子、まだ体調戻りそうにないの?」
「ん……もうちょっとで良くなるかも……」
「そう」
最初に狩った男性の死体は徐々に肉を失っていき、骨がむき出しになっていく。
噛み砕かれた肉は沙樹の食道を滑り落ち、彼女の胃の中はそれだけで満たされていった。
それに対し京子は、青々と生い茂った草をベッドにして夢の世界に入っていた。
「早く良くなって頂戴、あたしの大切な京子……」
スースーと寝息をたてて眠る京子の胸と腹を掌でなぞり、彼女の肩にバスタオルを被せる沙樹。
それから数時間前に塩漬けにしておいた肉を容器から取り出し、キッチンペーパーで余分な水分を拭っていった。
「あともう少しね。京子の体調が戻ったら食べさせてあげたいわ」
新しい加工法により、狩って間もない青年の肉には塩分が擦り込まれていく。
それと比例するように、まだダルそうではあるが京子の体調は確実に回復しているのだ。
眠りの海に沈んだ彼女の寝顔は、心無しか微笑んでいるように見えた。




