眠りの海
グロくない代わりに短いです。
時刻は6時37分。
京子の具合が落ち着きつつある事を確認した沙樹は、腹痛の薬と水を飲ませた。
沢山吐いた後だからか京子の目は虚ろになっていて、くたびれたぬいぐるみのようにだるそうにしている。
沙樹は京子がくるまっているバスタオルの中に入ると、狩った男性の服を枕代わりにしてピッタリと寄り添った。
「明日までは狩りを出来そうにないわね……あたしがやるから、ゆっくり休んでなさい。嘸つらかったでしょう」
京子の頬に口付けをし、更には彼女の尻を右手でゆっくりと撫でた。
体力を消耗したのと、沙樹がいつも傍にいるという安心感で京子の意識は溶けるように薄れかけている。
そして沙樹は眠りへ誘うように、やや小さめの声でイタリア語の歌を歌った。
春が来たような心地良いメロディーと、愛情を含んだ柔らかな声。
京子の眠気と比例するように太陽が沈んでいき、ものの2分後にはスースーと寝息をたてて夢の世界へと旅立っていった。
「寝るにはまだ早い気もするけど……折角狩りができるようになったのにあの状態じゃつまらないし、早く治るといいわ…」
薬が効いたのか、京子は気持ち良さそうな表情を浮かべて熟睡している。
沙樹は京子の具合が良くなるように祈り、やがて彼女も眠りの底へと落ちていった。




