互いの喜び
あまり進展はありませんが。
沙樹の期待通り、京子の狩りは見事に成功となった。
拓矢は両目をグジャグジャに潰され、苦悶の表情を浮かべている。
それと相反するように、2人は満面の笑みでハイタッチをした。
「よく頑張ったわね。嬉しいわ、こんなに効率よく殺めてくれて」
沙樹は京子の頬に軽く口付けをすると、拓矢の死体を背負った。
彼の胸や首からは鮮血がドロドロと流れ出ており、沙樹の服を黒く染めていく。
幸い、彼女が着ている服は紺色なのでさほど目立たない。
「さあ、周りに人がいないうちに帰りましょう」
「ええ」
今がチャンスとばかりに早足で帰路につき、閑静な住宅街に入って住み慣れた家へと辿り着く。
家の中に入ったと同時に、沙樹は拓矢の死体を床に下ろしてキッチンへ引きずっていった。
ひとまず流しに置くと2人は幸せそうに抱き合った。
「京子が狩りをできるようになって嬉しいわ。あたしでも流石に1人では限界があるし、とても助かるのよ」
「こっちも、こんなにやりがいのある事ができて楽しいな」
彼女達は優しげな笑みを浮かべて喜び合っている。
沙樹がいるから京子は人肉を食べられるし、京子がいるから沙樹は効率よく狩りができるのだ。
学校にも仕事にも行かずに、この生活は2人が死ぬまで終わらない事だろう。




