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私だけのモノ  作者: 綾小路隼人
日本編

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27/53

連携

友達のノートパソコンを借りて書きました。

時刻は9時41分。

京子は血が目立たないように赤いTシャツと黒いミニスカートに着替え、ナイフを手に持った。


彼女にとって、隼人を殺したのは練習にすぎない。

本番はこれから。そう思っている。

空腹も相まって、京子は狩りをする事にワクワクしている状態だった。


「準備は出来たかしら?」

「バッチリよ」

「それじゃあ、行きましょう。素早く、つ慎重にね」


2人は顔を見合わせてコクリと頷いた。



※ ※ ※ ※ ※



10分ほど歩いて河川敷に差し掛かり、沙樹の背中だけを見てしばらく後を付いて行くと、沙樹が急に立ち止まってその背中に鼻をぶつける。

沙樹の嬉しそうな表情を見るに、どうやらターゲットを見つけたようだった。


「痛ぁ……良いターゲットが見つかったの?」

「ええ。食べ応えがありそうな男よ」


そのターゲットは、クラスメートの大倉拓矢(おおくら たくや)である。

彼はバスケ部のエースであり、成績も良く、その上沙樹に一目惚れしていた。

誰が見ても沙樹は正しい人間ではないのだが、恋にウブな拓矢は大して気に留めていなかったのだ。

彼女が食人鬼だという事を知らずに………。


「ふふふ、今なら誰も見ていないから堂々と狩りができるわ」

「そうね」

「いい? 刃物で身体を刺す事は出来るでしょう? あたしが囮になるから京子はタイミングを見計らって殺して頂戴」

「分かったわ」


それだけ返事すると、京子は拓矢から見えない位置に隠れてしゃがみ込んだ。

そして沙樹は拓矢の方に駆け寄り、笑顔で話しかけた。


「拓矢君、久しぶりね」

「岩下さん!? 最近見かけないからどうしたんだろうと思ったけど、元気そうで良かったよ」

「そう?」


拓矢は心無しか嬉しそうだ。自分の想い人に会うとは思わなかったから、当然といえば当然だろう。


「そういえば、京子ちゃんは学校をずっと休んでるみたいだけど、どうしたのかなぁ?」

「何でも、体調不良らしいわ」

「そうなんだ……」

「でもそのうち元気になるわよ。気を落とさないで。あたしも、元気になるよう祈ってるから」


沙樹は彼の手の甲に自身の手を重ね、優しい言葉をかけていく。

すっかり話し込んでいる2人を見て、京子は立ち上がったと同時にナイフを構えた。

それから音を立てないようにゆっくりと近付き、今がチャンスとばかりに遂に彼の首を刺した。


「うぅっ!!」


鮮やかな血が首から流れ、短く呻く拓矢。

京子はニヤニヤと唇を歪めると、顔を見られないように目を手早く潰した。

眼球は見事にグチャグチャになり、割れた風船のように萎んでいった。

そして(とど)めに心臓の辺りを深々と刺すと、拓矢は完全に動かなくなった。


「天国に行ってらっしゃい、拓矢君」


目を潰されて事切れた彼を見て、沙樹はほくそ笑んだ。

狩りが成功して、2人はどんなに嬉しかっただろうか。

京子は拓矢の死体を抱き起こすと、天使のような笑顔を浮かべたのであった。

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