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私だけのモノ  作者: 綾小路隼人
日本編

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25/53

人肉フライ

「委員長、永遠におやすみなさい…」


とどめだとばかりに隼人の心臓に包丁を深々と刺し、それから彼の服を脱がせる京子。

まだ少し体温が残っている身体に手を這わせると、彼女は笑って胸の傷を切り開いていった。

傷を広げていくと、赤やピンクの内臓が徐々に露わになり、何本か折れている白い骨も見える。

切り開く時に胃をたまたま切ったのか、赤黒い血と共にスパゲティーの麺らしき未消化物まで出ていた。


「京子、ついに狩りができるようになったのね」

「ええ。嬉しいわ、やりたかった事が出来て」

「そう……後はあたしがやるから、京子は休んでていいわよ。体力使って疲れたでしょう」

「分かった」


京子はソファーに座ると、エアコンのスイッチを入れて小説を読み始めた。

先程とは打って変わって、いつもの穏やかな彼女に戻る。まさに天使と悪魔だ。


「それにしても、派手にやったわね……」


バラ色の唇から溜め息が漏れ、呆れたように笑う。

沙樹は内臓と骨をズブズブと取り出すと、油とパン粉を用意して腹と腕の肉を削いでいった。




あれから何十分時間をかけただろうか。

プヨプヨとした肉は熱く揚げられ、キツネ色に輝いている。

表面には味付けにウスターソースが掛かっており、横には千切りにしたキャベツが添えられていた。


「岩下さんって、何でも出来るのね」

「揚げ物はあまり作らないからちょっと下手だけど、でも嬉しいわ。ありがとう」


沙樹は心底嬉しそうに微笑み、コクリと頷く京子の髪をそっと撫でた。

京子はというと、よほど空腹だったのかキャベツと一緒にフライを頬張っている。

まるで猛獣のように肉をガツガツと喰らっていて、沙樹ですら驚いていた。


「すごい食欲ね…」

「パンだけじゃ物足りなかったの。ただ、委員長の肉って他のと比べてしょっぱいのね。ソースが掛かってない所もあるのに」

「きっと、彼の身体は塩分が人より多いのよ。食生活の問題かしらね…」

「でも美味しい事に変わりはないし、お店のものみたいに仕上がりが綺麗ね」

「それは良かったわ」


そんな会話をしながら、2人は穏やかな食事時間を過ごした。


結局、沙樹が京子に残酷な扱いをしたのは最初だけで、今では少し優しくなったようだった。

京子の方も沙樹を姉のように慕っており、厳しくされる事もあるが、彼女は心から沙樹の事を愛している。

彼女達の生活は実に平和なものだ。

文字通り、人間を食い物にしている事を除いては………。

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