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私だけのモノ  作者: 綾小路隼人
日本編

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23/53

寝起き

ある秋の日。


雪のように白い曇り空の下で、京子と沙樹は大柄な男達に連行されていた。

15分ぐらい歩き続けて、着いた場所は不気味なぐらい静かな死刑場だった。


「お前達は大変な罪を犯し続けてきたな。その上反省の色が全く見えないから、その報いとしてギロチンで首を切ってやる」

「イヤよ、放して!!」


2人は男に羽交い締めにされ、暴れて抵抗しようにも細身の彼女達には到底不可能だ。

とりわけ京子は小学生のように小柄で、男達との体格差を見れば勝てる訳がない。


先に首を切られるのは京子だった。

彼女は首を固定され、情けない声で必死に許しを乞うた。

やがてそれを無視するように刃が落とされ、切断される寸前に見えたのは、哀れむような沙樹の泣き顔だった…………。




$ $ $ $ $



「っは!」


唐突に視界が反転し、目を擦ればそこは見慣れた地下室だった。

額にはジットリと寝汗が滲み、枕やパジャマも濡れてしまっている。

自身の嘔吐物(と言ってもごく少量だが)の付いたタオルで汗を拭くと、頬に沙樹の手が置かれた。


「京子、随分うなされてたわね」

「ええ。とても恐ろしい夢を見たのよ」

「どんな夢なの?」

「何人もの男に死刑場へ連れられて、ギロチンで首を切られたの……」


京子はコアラのぬいぐるみを抱き締めて瞳を潤わせた。


「そう……怖かったわね」


タオルを手に取った沙樹は、一気に溢れ出た京子の涙を拭い、首から下に肌掛け布団を被せた。


「でも、夢は夢、現実は現実よ。もう忘れなさい」

「ん……」

「あなたはまだ寝てていいわよ」


そう言うと、沙樹はスポーティーなTシャツとショートパンツに着替えて地下室を出ていった。

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