京子の調理
もう6時台だし調理に取り掛かろうと、京子は里恵の制服を脱がし、数分かけて首を包丁で切断した。
流しはあっという間に血の海と化し、里恵の死体はただのプヨプヨした肉となっていく。
「皆は今頃天国にいる所かしら。良かったわね、勉強から解放されて」
里恵の肉を掌でなぞり、満面の笑顔で窓の外を見る。
夜空には数えきれないほどの星がキラキラと輝いており、まるで京子を見下ろしているかのようだ。
「さて、調理に戻らないと」
里恵の肉に視線を戻し、一口大に四角く切っていく。
それらをある程度焼くと、冷蔵庫からケチャップと卵と野菜を取り出し、黙々と調理を続けていった。
控えめだった京子が、今では沙樹と同じく人食いである。
カニバリズムに対する抵抗が全く無くなった事が嬉しくて、沙樹はダイニングルームで京子の背中をそっと見ていた。
※ ※ ※ ※ ※
「やっと、出来たわ」
「やるわね。ここのところ上手くなったんじゃないかしら」
出来上がったのは、オムライスだった。
卵の上にはケチャップでハートマークが描いてあり、肉はほぼ完璧に焼けている。
卵が少々ボロボロになっている事以外は上出来で、沙樹は媚びるように褒めた。
「本当に、できる子ね」
「ありがとう。そういえば、岩下さんは今日何しに行ったの?」
「……実はね、退学届を出したのよ。これでもう学校に行く必要は完全に無くなったわ。逆に言えば、この先ずっと2人でここにいられるってワケね」
「そうなの」
退学届を提出した事により、学校に行く事はもちろんだが沙樹の意向上、元の家に帰る事も自動的に無くなった。
それでも京子は辛いと思わなかった。寧ろ、嬉しかった。
なぜなら、死ぬまで沙樹と共に暮らせるし、大好きな人肉を毎日食べていられるからだ。




