静寂の夜
タイトルは、某ボカロ曲とは関係ないです。
時刻は9時32分。
風呂から上がった京子は、地下室のベッドの上で横になっていた。
風呂上がりからしばらく時間が経つと眠気が来るものである。
胎児のように身体を丸めてウトウトしていると、鼻歌混じりに沙樹が入ってきて、隣でゴロンと寝転がった。
「もう寝たいようね」
「ん……」
声を出してはいるが首だけしか動いておらず、やっと起きている感じである。
夢の世界に入りかけていた京子は、目を擦って沙樹の顔を見た。何だか真剣な表情だ。
「実は、家を明日1日空ける事にしたのよ。理由は敢えて言わないわ。あたしがいないからって浮気しないで頂戴」
「わかったわ……」
「そう」
沙樹は京子の頬に手をあてがうと、静かに口付けをした。
「おやすみ、京子」
京子は目をゆっくりと閉じ、しばらく経つとスースーを寝息をたてて深い眠りの海へと沈んでいった。
一方、沙樹は彼女の肩まで肌掛け布団を被せて地下室を出て、ダイニングルームの椅子に腰かける。
テーブルの上には、ある1枚の書類があった……。




